子供の誕生で住み替え(買い替え)|時期・賃貸か購入か・お金の判断

子供の誕生で住み替え|時期・賃貸か購入か・お金の判断

子どもが生まれると、住まいの広さや階下への音のことが頭を占めます。

住み替えるかどうかは、物件を探す前に、今のマンションを売るか貸すか広げて住むかを決めると、動く時期を選べます。

動く時期の選び方と、賃貸か購入かの分かれ目、産休や育休のころの資金の備え方を説明します。

子どもの誕生で住み替え(買い替え)を考えるとき最初に整理すること

子どもの誕生をきっかけに住み替えを考えるなら、物件探しから入る前に「今のマンションをどうするか」「いつ動くか」「賃貸か購入か」「お金をどうするか」の四つを先に切り分けると、判断がぶれません。

この四つは互いに絡み合います。たとえば産後は収入が一時的に下がりやすく、その時期に買い替えという大きな決断を重ねると負担が集中します。いま持っているマンションを売るのか貸すのか住み続けるのかによっても、資金計画は変わります。だからこそ、今の住まいの扱い・時期・住まいの形・資金を一度分けて考え、そのうえでつなぎ直すと全体が見通せます。

「手狭」を今のマンションの具体的な不満に言い換える

住み替えを考え始めた動機は、いまのマンションの部屋数や収納、騒音、動線といった具体的な不満に分けると、あとの住まい選びの条件にそのまま結びつきます。

「なんとなく狭い」という感覚のままでは、次の家に何を求めればよいかが定まりません。子どもが生まれてから、分譲マンションで起きやすい不満を、一つずつ具体的な言葉に置き換えてみると、探すべき条件が見えてきます。

  • 子ども部屋やベビースペースを置くと部屋数が足りない
  • おむつやベビー用品が増えて、クローゼットや収納が追いつかない
  • 夜泣きや足音が階下や隣戸に響かないか気になる
  • ベビーカーの出し入れや、玄関からエレベーター、エントランスまでの動線が窮屈

これらは育児の工夫で乗り切る話に見えて、実は住まいそのものの条件です。部屋数の不足なら間取り、収納の不足なら収納量、騒音の気がかりなら建物の遮音や角住戸かどうか、動線の窮屈さなら玄関からエレベーターまでの通路の広さ、というように読み替えられます。マンションは専有部の広さだけでなく、共用部の動線も暮らしやすさに関わるため、ベビーカーでエントランスまで無理なく移動できるかも見ておくと安心です。ここで書き出した条件が、そのまま後の住まい選びの入口になります。

今の分譲マンションをどうするか(住み続ける・売る・貸す)

いま分譲マンションを持っているなら、住み替えの前に、そのマンションを「広げて住み続ける」「売る」「貸す」のどれにするかを決めることになります。手狭さの度合いや、いまの価値と住宅ローンの残債から考えると、選びやすくなります。

マンションは、住み続ける限り管理費・修繕積立金が毎月かかり続けます。売れば手放せますが、貸しても所有者の負担として残ります。

全体の水準としては、令和5年度のマンション総合調査で月/戸当たりの管理費が11,503円、修繕積立金が13,054円、合わせて24,557円でした(使用料等からの充当額を除く系統)。ご自身の額は毎月の請求書に載っています。 まず、いま売るといくらか、いま貸すといくらか、住宅ローンの残債がいくら残っているか、毎月の保有コストがいくらかを把握してから、三つの選択肢を比べていきます。

出典: 国土交通省「令和5年度 マンション総合調査結果」

今のマンションに住み続ける(間取りの見直し・リフォーム)

手狭さが部屋の使い方や収納で解消できる程度なら、住み替えずに、今のマンションに住み続ける選択もあります。

たとえば、間取りの変更や収納を増やすリフォームで、子ども部屋やベビースペースを確保できる場合があります。リビングの一角を仕切って子どものスペースにする、壁面の収納を増やすといった工夫で、住み替えの費用や手間をかけずにしのげることもあります。ただし、分譲マンションでは、間取りの変更や設備の工事に管理規約上の制限があり、専有部の工事でも届け出や制約がかかることがあります。大がかりなリフォームを考えるなら、管理規約や使用細則で認められる範囲を先に確かめておくことになります。

一方で、部屋数そのものが足りない、立地や広さに限界があるといった場合は、リフォームでは解決しきれません。そのときは、売るか貸すかを含めて、住み替えを本格的に検討することになります。

今のマンションを売って住み替える

いまのマンションを売って新しい住まいの資金に充てれば、住宅ローンを一本にまとめやすく、管理費・修繕積立金の負担からも離れられます。

損か得かを分けるのは、売って見込める金額と住宅ローン残債の関係です。売却額が残債を上回っていれば、売って残りを新居の資金に回せます。逆に、残債が売却額を上回るオーバーローンの状態だと、売却の際に不足分を手元資金で補う必要があります。マンションは、戸建てに比べて売却の見当を付けやすい住まいです。理由は2つあります。1つは、一戸ごとの個別性が戸建てより小さいことです。同じ棟の別の部屋や、近隣の似た条件のマンションが、そのまま価格の物差しになります。もう1つは、取引事例が多いことです。東日本レインズによれば、首都圏の中古マンションの成約件数は2025年の1年間で49,114件でした。残債は、金融機関から届く返済予定表や残高証明で確認できます。

ただし、複数の会社に査定を頼めば同じような金額が並ぶという意味ではありません。会社ごとの査定額のばらつきを集計・公表している統計は確認できていないため、この記事では査定額が揃うかどうかには踏み込みません。金額そのものより、その額をどの成約事例から出したかを各社に説明させてください。

売却で、買ったときより高く売れれば売却益が生じます。マイホームを売った場合には、税負担を軽くしうる制度が用意されています。

ひとつは3,000万円の特別控除で、譲渡益から最高3,000万円を差し引けます。所有期間の長短は問われません。以前に住んでいた家の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件です。

もうひとつが買換え特例で、売却益への課税を新居を売るときまで繰り延べる仕組みです(非課税ではありません)。適用期限は令和9年(2027年)12月31日までの譲渡で、令和8年度の税制改正で令和7年12月31日から2年延長されました。要件は居住期間10年以上、売った年の1月1日で所有期間10年超、売却代金1億円以下などです。

逆に売って損が出た場合の譲渡損失の特例(買換え等の場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除/特定居住用財産の譲渡損失)も、同じ改正で令和9年12月31日まで延長されています。

ここで注意していただきたいのが、3,000万円特別控除・買換え特例と、新居の住宅ローン控除は併用できないことです。国税庁の要件の逐語では「居住年およびその前2年、その後3年の計6年間」に譲渡所得の課税の特例の適用を受けていないこと、とされています。起点は売った年ではなく新居に入居した年で、住み替えでは売却と購入の年が近いため、ほぼ確実にこの範囲に入ります。子育て世帯等の借入限度額の上乗せを使いたいなら、売却側で3,000万円特別控除は使えません。 どちらが得かは金額しだいなので、売却益が出そうな場合は税理士に確認してください。

なお国税庁のタックスアンサーNo.3355 は 2026年8月時点で改正前の「令和7年12月31日」表示のままです。

出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例国税庁 No.1211-1 特定のマイホームを買い換えたときの特例財務省「令和8年度 税制改正の解説」

売却と購入をどちらの順番で進めるかは、次の章のタイミングで扱います。

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今のマンションを貸して住み替える

いまのマンションを貸せば家賃収入を得られますが、管理規約での賃貸の可否や住宅ローンとの関係、貸したあとも残る保有コストに注意が必要です。

まず確かめたいのが、マンションの管理規約です。分譲マンションは、第三者へ貸すことに条件や制限を設けている場合があります。次に、住宅ローンとの関係です。住宅ローンは本人が住むことを前提とした金利で貸し出されているため、住宅ローンが残る住戸をそのまま賃貸に回すことは原則できず、賃貸用のローンへの借り換えなどが必要になることがあります。取り扱いは金融機関によって異なるため、貸すことを考えるなら、まず借入先に相談して条件を確かめておくことになります。

家賃はまるごと手元に残るわけではありません。固定資産税に加えて、管理費・修繕積立金は所有者が払い続けます。入居者がいない期間の空室リスクや、募集・契約・入居後の対応を管理会社に任せる場合の管理料も差し引かれます。

差し引かれる額の規模をつかんでおきましょう。令和5年度のマンション総合調査では、月/戸当たりの管理費が11,503円、修繕積立金が13,054円で、合わせて24,557円でした(使用料等からの充当額を除く系統)。この額はご自身のマンションの請求書で確認できます。 想定家賃からこの額と固定資産税、管理料を引いた残りが手残りです。空室の月は家賃がゼロになる一方、この固定費は変わらず出ていく点も見込んでおいてください。

なお、家賃の手残り率(家賃に対して最終的に何%が残るか)を集計した公表統計は見当たりません。自分の物件の数字で計算してください。

出典: 国土交通省「令和5年度 マンション総合調査結果」

子どもの誕生に伴う住み替えはいつがよいか(産前・産後のタイミング)

住み替えの時期に絶対の正解はなく、身体の負担・物件探しのしやすさ・子どもとの生活のイメージのしやすさ、どれを優先するかで産前か産後かを選ぶことになります。

妊娠中に動くか、産まれてから動くかで、それぞれ向き不向きがあります。ここでは両方の利点と注意点を見比べ、いまのマンションを売って住み替える場合の進め方の順番まで整理します。

妊娠中(安定期)に動く場合の向き・注意点

妊娠中に動くなら、つわりが落ち着きお腹が大きくなる前の安定期が現実的です。

安定期の目安は妊娠中期あたりとされますが、体調には個人差が大きく、時期の判断は主治医と相談しながら決めるのが前提です。

この時期に動く利点は、まだ大人だけで身軽に動けることにあります。子どもの世話に追われる前なので、内覧にも時間を割きやすく、転居に伴う役所の手続きもまとめて片づけやすいでしょう。

一方で、身体への負担は避けられません。荷造りや重い荷物の移動は無理をせず、家族や引っ越し業者に任せる前提で計画する必要があります。体調は日によって変わりやすいため、日程には余裕を持たせ、思うように動けない日があっても崩れないよう組んでおくと安心です。

産後(0〜2歳ごろ)に動く場合の向き・注意点

産後に動く場合は、子どもとの暮らしを具体的にイメージしながら住まいを選べる反面、育児と並行するため、体力が戻る時期を待つ判断が要ります。

実際に子どもと暮らし始めると、どれくらいの広さが要るか、どんな動線だと世話がしやすいかが実感でわかります。その感覚を持って住まいを探せるのは、産後に動く大きな利点です。

ただし、生まれて間もない新生児期は、母子ともに体調が不安定になりやすく、引っ越しのような大きな負担は避けたい時期です。授乳や夜間の世話が続くなかで転居の準備を進めるのは、現実的ではありません。体力がある程度戻り、生活のリズムが整ってきた頃を待って動くほうが、無理がありません。

産前・産後をどう選ぶかの考え方

時期は産前と産後の利点を並べて比べるより、家族の体調と、物件探しにかけられる時間から逆算すると決めやすくなります。

産前と産後では、優先される要素が入れ替わります。両者を同じ物差しで見比べると、次のように整理できます。

見る観点産前(安定期)産後(0〜2歳ごろ)
身体の負担動けるが無理は禁物回復を待つ必要がある
物件探しの余裕時間を取りやすい育児と並行で限られる
生活イメージのしやすさ想像で補う部分が多い実感で選べる
転居の手続きまとめやすい育児の合間になる

この比較から見えてくるのは、どちらが優れているかではなく、何を最優先にするかで答えが変わるということです。体調がすぐれない、あるいは物件探しにまとまった時間を取れないなら、無理に急がず時期をずらす判断も十分に理にかなっています。まず家族の体調を最優先に置き、そのうえで探せる時間の見通しから逆算すると、産前と産後のどちらが自分たちに合うかが定まってきます。

なお、この記事では乳幼児期の住み替えを中心に扱います。小学校の学区や進学を見据えた住み替えは論点が変わるため、ここでは先々の学区も頭の片隅に置いておく程度にとどめます。

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今のマンションを売って住み替えるなら売り先行・買い先行を選ぶ

いまのマンションを売って新居を買う場合は、売却を先に進めるか購入を先に進めるかで、資金繰りと仮住まいの要否が変わります。出産や育児の時期と重なるため、身体の負担も踏まえて選ぶことになります。

売り先行は、いまのマンションがいくらで売れるかが先に確定するため、その金額をあてに新居の予算を組めます。手元資金の見通しが立ちやすい一方で、売却の完了が新居の入居より早いと、その間の仮住まいが必要になることがあります。妊娠中や乳幼児を抱えた時期に仮住まいを挟むと、引っ越しが二度になり負担が重なる点には注意が要ります。

買い先行は、先に新居をじっくり選べて、仮住まいを挟まずに引っ越せる可能性が高い進め方です。ただし、売却が済むまではいまのマンションのローンと新居のローンが重なる、いわゆるダブルローンの負担を抱えるリスクがあります。どちらを先行させるかは、手元資金といまのマンションの売れやすさ、そして出産の時期を見て判断することになります。

売り先行・買い先行はどちら?住み替えで損しない選び方と実践テクニック 売り先行・買い先行はどちら?住み替え(買い替え)で損しない選び方と実践テクニック

賃貸で住み替えるか購入(買い替え)に踏み切るかの判断

子どもの誕生は住まいを買う一つのきっかけになりますが、この機に必ず購入すべきとは限りません。子どもの人数や進路が固まらない段階では、賃貸で必要な広さを確保する選択も十分に合理的です。いまのマンションを売って買い替える場合は、購入と売却が同時に動くため、資金計画はより慎重に組むことになります。

ここでは「買う」ことと「賃貸で様子を見る」ことのそれぞれが向く状況を、どちらにも偏らず見比べます。最後に、両者を分ける判断の軸を整理します。

この機に「買う(買い替える)」ことのメリットと注意点

購入は、毎月の住居費を資産に変えられ、住まいを子育て仕様に合わせやすいのが利点です。ただし収入が変動しやすい時期の大きな決断になるため、慎重さも要ります。

持ち家には、賃貸では得にくい自由度があります。子どもの成長に合わせて間取りを変えたり、階下への足音を過度に気にせず暮らせたりと、子育て期の暮らしやすさにつながる要素が多くあります。加えて、子育て世帯の住宅取得を後押しする公的な支えも用意されています。

一方で、注意すべき点もはっきりしています。購入の検討時期は、産休・育休で収入が一時的に下がる時期と重なりやすく、返済の負担が家計に集中しかねません。また、いったん買うと、状況が変わっても賃貸のように身軽には動けず、売却にも時間と費用がかかります。いまのマンションを売っての買い替えなら、売却と購入が重なり、一時的にダブルローンを抱える可能性もあります。人数や進路の見通しが立たないうちの購入には、こうしたリスクがついて回ります。

「まだ賃貸で様子を見る」ことのメリットと注意点

子どもの人数や進路、勤務地が固まらないうちは、住み替えやすい賃貸で必要な広さだけ先に確保する選択も理にかなっています。

賃貸の最大の利点は、身軽さにあります。子どもがもう一人増えるか、進学でどのエリアに住むことになるか。こうしたライフプランが定まる前でも、賃貸なら状況の変化に合わせて住み替えやすく、購入に比べて初期費用も抑えられます。いまのマンションをいったん貸しに出し、その家賃を賃貸の住居費に充てながら様子を見るという組み合わせも考えられます。買い替えるのは、暮らしの見通しがある程度固まってからでも遅くありません。

ただし、賃貸にも割り切るべき点があります。支払った家賃は資産として手元に残りません。また、ファミリー向けの広い賃貸は物件数そのものが限られ、希望のエリアや間取りで見つけにくいこともあります。この機に必ず買うのが正解ではないのと同じで、賃貸を続けることにも相応の割り切りが必要です。

賃貸か購入かを分ける判断の軸

賃貸か購入かは、目先の損得に加えて、ライフプランの確定度・世帯収入の安定度・その家に住みたい期間の三つで見極めると迷いにくくなります。

判断に迷ったら、次の点を自分たちの状況に当てはめてみると、どちらに傾くかが見えてきます。

見る軸賃貸が向きやすい購入が向きやすい
人数・進路の見通しまだ流動的ある程度固まっている
世帯収入の安定変動が大きい・見通しにくい安定して見込める
その家に住む想定年数短め・不確か長く住むつもり
頭金の準備これからある程度用意できる

もっとも、これらの軸はきれいに片方へそろうとは限りません。収入は安定しているが進路は不透明、というように判断が分かれることもあります。いまのマンションの売却代金を頭金に回せるかどうかも、購入に踏み切りやすさを左右します。個別の家計に踏み込んだ資金計画や、購入と賃貸のどちらが自分たちにとって無理がないかの見極めは、ファイナンシャルプランナーに相談すると、より具体的に整理できます。

子育て目線で後悔しない住まいの選び方

子育て期の住まいは、広さ・間取り・安全・周辺環境・保育園へのアクセスを、成長後の変化まで見越して選ぶと後悔が減ります。

ここで扱う観点は、賃貸でも購入でも共通します。今すぐ必要な条件に加えて、数年先の暮らしまで思い描きながら見ていきます。

必要な広さと子育てしやすい間取り

必要な広さは世帯人数からおおよそ逆算でき、家事や子どもの見守りがしやすい間取りが、後々の暮らしやすさにつながります。

広さの目安として参考になるのが、国が示す誘導居住面積水準です。これは、豊かな住生活を送るために望ましいとされる住宅面積の水準で、都市部の共同住宅を想定した都市居住型と、郊外や地方の戸建てを想定した一般型に分かれています。世帯人数に応じて、次のように計算されます。

区分単身2人以上の世帯
都市居住型(共同住宅想定)40㎡20㎡×世帯人数+15㎡
一般型(戸建て想定)55㎡25㎡×世帯人数+25㎡

たとえば夫婦と子ども1人の3人世帯なら、都市居住型で75㎡、一般型で100㎡が目安です。マンションから住み替えるなら、共同住宅を想定した都市居住型の数字が参考にしやすいでしょう。なお、この水準では3歳未満の子どもは0.25人、3歳以上6歳未満は0.5人として世帯人数を数えるため、乳幼児のいる家庭では上の計算より小さくなります。

その広さがいくらで手に入るかも見ておきましょう。東日本レインズの2025年度の集計では、首都圏の中古マンションの成約価格は専有面積帯別に次のようになっています。

専有面積帯成約価格成約㎡単価
〜50㎡3,980万円88.79万円/㎡
〜60㎡4,796万円86.76万円/㎡
〜70㎡5,108万円78.59万円/㎡
〜80㎡6,060万円82.09万円/㎡
〜100㎡6,898万円79.57万円/㎡
全体5,322万円84.63万円/㎡

3人世帯の都市居住型の目安75㎡なら「〜80㎡」の帯にあたり、成約価格の平均は6,060万円です。いま住んでいる住戸が「〜60㎡」の帯(4,796万円)なら、差額は1,264万円になります。これは首都圏の平均であって自分の物件の価格ではありませんが、広さを1段階上げるとどれくらい予算が動くかの見当はつきます。

あくまで望ましい水準の目安であり、この面積を満たさないと住めないという意味ではありません。

出典: 東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2025年度」表13-① 中古マンションの専有面積帯別件数[首都圏]

出典: 国土交通省「住生活基本計画(全国計画)参考資料・誘導居住面積水準」

広さの数字と合わせて考えたいのが、間取りです。子どもが小さいうちは、キッチンやリビングから遊ぶ様子が見渡せる配置だと、家事をしながらでも目が届きます。おもちゃや衣類、ベビー用品は年齢とともに増えるため、収納は今の量ではなく数年先を見て確保しておくと安心です。

子どもの安全と周辺環境(治安・公園・医療・買い物)

乳幼児期の住まいは、室内の安全と、日常的に使う公園・小児科・買い物のしやすさが暮らしの質を左右します。

室内では、子どもの思わぬ動きを想定した安全の視点が欠かせません。段差での転倒、ベランダや窓からの転落、浴室やキッチンまわりの事故など、動き回るようになると危険が一気に増えます。マンションでは、ベランダの手すりの高さや窓の位置、玄関の施錠のしやすさなども確かめておきたい点です。物件を見るときは、間取りのよさに加えて、こうした危険が防ぎやすい造りかどうかも見ておきたいところです。

周辺環境も、子育ての負担を大きく左右します。ベビーカーで無理なく歩ける歩道があるか、気軽に行ける公園が近いか、小児科や休日・夜間に診てもらえる医療機関が通える範囲にあるか。日々の買い物のしやすさも含め、実際に子どもと出歩く場面を想像しながら、現地を歩いて確かめると、資料だけではわからない住み心地が見えてきます。

保育園・共働きの通勤動線から見た立地

共働きなら、保育園の入りやすさと、送迎を含めた通勤動線が、住むエリアを大きく左右します。

同じ市区町村でも、地域や年齢によって保育園の入りやすさは変わります。認可保育園の空き状況や待機の状況は、自治体の公式サイトや窓口で最新の情報を確認しておくと、住むエリアを絞り込む手がかりになります。

立地を考えるうえで見落としがちなのが、送り迎えと通勤を一筆書きでつなげられるかどうかです。自宅から保育園、保育園から駅や職場までの動きに大きな遠回りがあると、その負担が毎日積み重なります。駅に近い立地を選びやすいのはマンションの利点でもあります。朝夕の限られた時間を無理なく回せるかという目線で、住まいと保育園、職場の位置関係を地図の上でたどってみると、現実的なエリアが見えてきます。

住み替え先はマンションか戸建てか(今マンションに住む人の見方)

いまマンションに住んでいる人が住み替え先を考えるとき、次もマンションにするか戸建てにするかで、暮らし方の前提が変わります。

戸建てには、庭で子どもを遊ばせられる、土地が広く部屋数を確保しやすい、といった持ち味があります。ただ、庭の手入れや土地の広さといった戸建て固有の魅力は、駅近やフラットな一つの階での暮らしやすさ、共用部の管理や防犯といったマンションの利点を重視して住まいを選んできた人にとっては、優先順位が下がりやすい部分です。こうした戸建てならではの話は、マンションから住み替える人には関係が薄いことも多く、無理にそちらへ引っ張られる必要はありません。

マンションからマンションへ住み替えるなら、いまの暮らしで感じている手狭さや動線の不満を、次の住戸でどう解消するかに集中できます。管理費・修繕積立金や管理規約といった、すでに慣れた仕組みの延長で考えられるのも利点です。どんな暮らしを大事にしたいかを先に決めると、種別選びで迷いにくくなります。

住み替えるならマンションと戸建てはどっち?今の住まいで変わる判断軸 住み替え(買い替え)でマンションと戸建てはどっち?今の住まいで変わる判断軸

出産前後の資金と住宅ローンで押さえること

出産前後は収入が一時的に変わりやすいため、購入するなら、育休中の審査や返済に無理がないかを先に確かめておくと安心です。

ここでは、産休・育休期の収入の変化、育休中に住宅ローンを組めるか、そして子育て世帯が使える支援について整理します。お金の話は制度改正で内容が動きやすいため、最新の条件は必ず公的な情報で確認してください。

産休・育休で収入が変わる時期の資金計画

産休・育休中は、公的な給付があっても手取りが下がりやすいため、その前提で頭金や毎月の返済を組むと、後で苦しくなりにくくなります。

出産や育児で仕事を離れる期間には、健康保険からの出産手当金や、雇用保険からの育児休業給付といった公的な給付が用意されています。ただし、これらは働いていたときの収入をそのまま補うわけではなく、支給の割合や期間には条件があります。給付があっても、手取りは一定期間下がると考えておくのが安全です。給付の額や割合は改正で変わることがあるため、最新の内容は加入している健康保険や、ハローワーク・厚生労働省の公式情報で確認してください。

資金計画は、収入がもっとも下がる時期を基準に組むと無理が出にくくなります。いまのマンションを売って買い替えるなら、その売却代金を頭金に充てられるかどうかも見通しに関わります。頭金を出産・育児の出費で使い切らないよう手元資金を残し、毎月の返済は復職後の収入見込みから、負担が重くなりすぎない範囲に収めておくと安心です。どのくらいの返済なら無理がないかは家庭ごとに違うため、ファイナンシャルプランナーに相談すると、より具体的に見通せます。

育休中でも住宅ローンは組めるか

育休中でも、復職を前提とするなどの条件を満たせば住宅ローンを利用できる場合がありますが、取り扱いは金融機関によって異なります。

金融機関が審査で重く見るのは、育休中の一時的に下がった収入額そのものではなく、育休前の年収や、復職後に見込める収入であることが一般的です。このため、育休中であっても、復職の見通しが示せれば借入れの相談に応じてもらえるケースがあります。ただし、どこまで認めるかは金融機関ごとに差が大きく、育休や復職予定を示す書類の提出を求められることもあります。利用を考えるなら、早めに複数の金融機関に条件を確かめておくとよいでしょう。

夫婦のどちらが借りるかも、あわせて考えたい点です。夫婦それぞれがローンを組むペアローンや、収入を合算する方法もありますが、育休で一方の収入が下がる時期には、返済の組み方によって家計への影響が変わります。いまのマンションを単独名義で持っている場合は、買い替えにあわせて名義やローンの組み方を見直すこともできます。どの借り方が自分たちに合うかは、金融機関やファイナンシャルプランナーと相談しながら決めると安心です。

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子育て世帯が使える住宅ローン控除などの支援

住宅ローン控除では、子育て世帯や若者夫婦世帯に向けて借入限度額を上乗せする措置が設けられており、購入を後押ししています。

住宅ローン控除は、住宅ローンを組んで家を買った場合に、年末のローン残高に応じた金額が所得税などから差し引かれる制度です。控除率は0.7%、控除期間は認定住宅等なら13年です。

令和8年(2026年)から令和12年(2030年)に入居する場合、子育て世帯等には借入限度額の上乗せがあります。

住宅の区分一般子育て世帯等
新築等・認定長期優良住宅/認定低炭素住宅4,500万円5,000万円
新築等・ZEH水準省エネ住宅3,500万円4,500万円
既存住宅・認定長期優良住宅/認定低炭素住宅3,500万円4,500万円
既存住宅・ZEH水準省エネ住宅3,500万円4,500万円
既存住宅・省エネ基準適合住宅2,000万円3,000万円

子育て世帯等とは、19歳未満の子を有する世帯か、夫婦のいずれかが40歳未満の世帯です(特例対象個人)。判定は入居した年の12月31日時点で行います。

床面積の要件は原則50㎡以上ですが、合計所得金額が1,000万円以下であれば40㎡以上でも対象になります。ただしこの40㎡への緩和と、子育て世帯等への借入限度額の上乗せは、どちらか一方しか選べません。40㎡台の住戸を検討する場合は、どちらを取るかの選択になります。

このほか合計所得金額2,000万円以下という要件もあります。なお国税庁のタックスアンサーは 2026年8月時点で「令和7年4月1日現在法令等」の表示のままで、この改正が反映されていません。実際に検討するときは、財務省の税制改正の解説か国土交通省の改正概要で確認してください。控除を受けられるかどうかや、いくら戻るかといった個別の判断は、税理士に相談すると安心です。なお、いまのマンションで住宅ローン控除を受けている場合、買い替え後の新居でも重ねて受けられるかは状況によって変わるため、あわせて確認しておくことになります。

出典: 財務省「令和8年度 税制改正の解説」租税特別措置法等(所得税関係)の改正国土交通省「令和8年度税制改正概要」

出典: 国土交通省「住宅ローン減税について」

住み替えで住宅ローン控除は使える?2回目の条件と2026年改正を自己判定 住み替え(買い替え)で住宅ローン控除は使える?2回目の条件と2026年改正を自己判定

まとめ:子どもの誕生で住み替える順を立てるなら、住み替えのトビラ

子どもの誕生にともなう住み替えは、産前と産後のどちらが得かでは選べません。家族の体調と、物件を探せる時間がどれだけ取れるかで時期を決めます。

時期を選ぶには、収入が一時的に下がるころがいつなのかを先に書き出します。そこを外して買い替えを重ねると、負担が一度に来ます。

部屋を探し始める前に、いつなら無理なく動けるのかを二人で話しておきましょう。住み替えのトビラでは、子どもの誕生に合わせた住み替えの進め方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。