窓が古いマンションは売るとき不利?省エネ性能が売値に影響する場面と対策

窓が古いマンションは売るとき不利?省エネ性能が売値に影響する場面と対策

窓が古いマンションを売るとき、「この窓のせいで安く買いたたかれるのでは」と心配になる人もいるでしょう。

実は、窓の古さが売値に響くのは、買主が近くの新しいマンションと比べたときです。

この記事では、省エネ性能で変わる買主の住宅ローン減税の差と、お金をかけずに売値を守る5つの方法を説明します。

古い窓のマンションが不利になるのは「よそのマンションと比べられたとき」

窓が古いマンションを売るときに不利になるかは、買主が何と比べるかで変わります。

窓は共用部分なので、同じマンションならどの部屋も同じ窓

同じマンションの部屋どうしを比べても、窓の古さで値段に差はつきにくいといえます。

マンションの窓は、住む人みんなで持つ「共用部分」とされているからです。共用部分とは、廊下やエレベーターのように、持ち主全員で持っている部分のことです。

国が作ったマンション管理規約のひな型(標準管理規約)でも、窓枠と窓ガラスは専有部分に含まれず、共用部分として扱われます。多くのマンションの管理規約は、このひな型にならっています。

窓の取り替えも、管理組合が建物全体の工事として行うのが原則です。そのため、同じマンションなら、どの部屋にも同じ年代の、同じ種類の窓が付いています。

同じマンションの中で部屋ごとに差が出るのは、内窓を付けた部屋と、結露のカビやシミが残っている部屋です。内窓とは、今ある窓の部屋側にもう1枚付ける窓のことです。

出典: 国土交通省「マンション標準管理規約」

同じマンションで過去に売れた値段には、窓の古さがすでに含まれている

同じマンションで過去に売れた部屋の値段は、窓が古いことも込みで決まっています。

これまでの買主も、窓が古いことを知ったうえで、その値段で買っています。実際に売買が成立した値段(成約価格)は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で誰でも無料で調べられます。

このサイトでは、マンション名は伏せられています。次の3つの条件で絞り込むと、自分のマンションで成立した取引を見つけられます。

  • 町名(自分のマンションがある町)
  • 建築年(自分のマンションと同じ年)
  • 面積と間取り(自分の部屋に近いもの)

こうして見つけた成約価格が、窓の古さも込みの、このマンションの相場です。不動産会社から査定額が出たら、この相場と比べておくと、高すぎる査定や低すぎる査定に気づけます。

ただし、同じマンションでも、部屋の向きや階、室内の状態によって、売れる値段は上下します。査定額を相場と比べるときは、自分の部屋と向きや階が近い取引を選ぶと、ずれが小さくなります。

出典: 国土交通省「不動産情報ライブラリ」

値段に差が出るのは、築浅や断熱の良いマンションと比べられたとき

買主が同じ駅の近くで築浅のマンションも見ていると、窓の古さが値段の差につながります。

家を探す人は、同じ駅の近くで予算に合う物件をいくつか見て回ります。その中に築10年ほどのマンションがあると、買主は窓の違いにすぐ気づきます。

新しいマンションの窓は、ガラスを2枚重ねた「複層ガラス」が一般的です。

買主が2つの部屋を見比べた例(架空のモデルケース)

30代の夫婦が、同じ駅から歩いて10分ほどの中古マンションを2つ内見しました。

1つは築35年で、窓は1枚ガラスのままでした。

もう1つは築12年で、窓は複層ガラスでした。

冬の内見で、築35年の部屋は窓際がひんやりし、サッシの下に黒いカビが見えました。

夫婦は「値段が近いなら、暖かくて結露しにくい方がいい」と考え、築35年の部屋には値引きを求めることにしました。

※説明のための架空のモデルケースです。

築浅の部屋と見比べた買主が気にする違いは、主に次の4つです。

  • 窓際の冷たさ
  • 外から聞こえる音
  • 冬の結露
  • 住宅ローン減税の額

最初の3つは、買主が内見で見たり感じたりする違いです。4つ目は、お金の違いです。

住宅ローン減税で安くなる税金の合計は、部屋の省エネ性能によって100万円以上違う場合があります。

売り出す前に、同じ駅の近くで売りに出ている築浅のマンションを不動産サイトで見ておくと、買主が比べる相手がわかります。

内見で買主の印象に残るのは、結露の跡と窓際の冷え

内見に来た買主は、窓の性能の数字より、結露の跡や窓際の冷えを気にします。

窓の性能は見ただけではわかりにくいので、買主は暮らしたときに困りそうなことを目で見て判断します。内見で買主の目に入りやすいのは、次の5つです。

見られる点買主が気づくところ
ガラスの枚数ガラスの端を見ると、1枚か2枚かがわかる
結露の跡・ゴムパッキンの黒カビ<br>・カーテンのすそのシミ<br>・窓の下の壁紙の浮きやはがれ
窓際の冷え冬に窓へ近づいたときのひんやりした感じ
外の音窓を閉めても聞こえる車や電車の音
サッシの動き・開け閉めの重さ<br>・鍵のかかりにくさ

表の5つのうち、窓際の冷えと結露の跡は、冬の内見でいちばん目立ちます。売り出しの時期が秋から冬に重なりそうなら、早めに窓まわりを手入れしておくと安心です。

なかでも売主が気をつけたいのは、結露の跡です。カビやシミを見た買主は、「手入れされていない家」と感じやすくなります。

その印象は、窓の古さそのものより強く残ることがあります。裏を返せば、売主は窓に手を入れずに、掃除や補修だけで買主の印象を良くできます。

窓の古さが値段に響きやすい部屋を、向き・階・買い手の層で確かめる

北向きや角部屋のように外の寒さや音を受けやすい部屋ほど、窓の古さが値段に響きやすくなります。

次のチェック一覧で、自分の部屋に当てはまる数を数えてみましょう。

  • 北向き、または日当たりが少ない
  • 角部屋か最上階で、外に面した壁や窓が多い
  • 西日が強く、夏に部屋が暑くなる
  • 冬の寒さが厳しい地域にある
  • 線路や大きな道路に面している
  • 同じ駅の近くで、築浅のマンションが売りに出ている
  • 50㎡以上で、子育て世帯や若い夫婦が買い手になりそう

当てはまる数が多い部屋ほど、窓の古さが買主の目に留まりやすくなります。0〜1個なら、窓の古さが値段に響く心配は小さいと考えられます。

4個以上なら、窓まわりの補修や内見の準備を早めに始めておくとよいでしょう。この個数の区切りは、あくまで目安です。

角部屋や最上階と反対に、両隣と上下に部屋がある「中部屋」は、外に面した壁や窓が少ないので、窓の影響を受けにくくなります。

一覧の最後の項目は、住宅ローン減税に関係します。子育て世帯や若い夫婦が50㎡以上の部屋を買うと、減税の計算に使える借入の上限が上乗せされる場合があります。

ただ、上乗せを受けられるのは、省エネ性能を書類で証明できる部屋に限られます。そのため、子育て世帯や若い夫婦は、部屋の省エネ性能を気にして選ぶと考えられます。

出典: 国土交通省「住宅ローン減税(令和8年度税制改正後)Q&A」

省エネ性能の差で、買主の住宅ローン減税の額が変わる

窓が古いマンションの部屋を買う人は、新しいマンションの部屋を買う人より、住宅ローン減税で安くなる税金が少なくなりがちです。

2026年から、省エネ性能の高い中古住宅は減税の期間が13年に延びた

2026年に入居する人からは、省エネ性能を証明できる中古住宅を買うと、住宅ローン減税を受けられる期間が13年に延びました。

住宅ローン減税では、ローンを組んで家を買った人の税金が、年末のローン残高の0.7%分安くなります。ただし、減税の計算に使えるローン残高には上限があります。

この上限と、減税を受けられる期間が、家の省エネ性能の区分で変わります。2026年から2030年に中古住宅へ入居する人の区分ごとの借入の上限と期間は、次のとおりです。

家の省エネ性能の区分借入の上限(一般の世帯)借入の上限(子育て世帯・若い夫婦)減税を受けられる期間
長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準3,500万円4,500万円13年
省エネ基準に適合2,000万円3,000万円13年
その他(証明のない家など)2,000万円2,000万円10年

※子育て世帯は19歳未満の扶養親族がいる世帯、若い夫婦は夫婦のどちらかが40歳未満の世帯です。上乗せを使うには、床面積50㎡以上が必要です。 ※ZEH水準は、断熱を強くし、省エネ型の設備を入れて、使うエネルギーを大きく減らした家の基準です。

2025年までに入居した人の場合、中古住宅の借入の上限は、省エネ性能の高い区分なら世帯を問わず3,000万円、「その他」なら2,000万円でした。期間は、どちらも10年です。

一般の世帯が「省エネ基準に適合」の部屋を買う場合、2026年からは上限が2,000万円に下がり、期間は13年に延びました。以前の制度を覚えている人は、この違いに注意しておくと安心です。

表のどの区分に入るかは、売り出す部屋の性能で決まります。買主は、売主の部屋の区分を知ると、自分が受けられる減税の額を計算できます。

制度の細かい条件は、年ごとに見直されることがあります。買主に説明する前に、国土交通省と国税庁の最新の案内で数字を確かめておきましょう。

出典: 国土交通省「住宅ローン減税(令和8年度税制改正後)Q&A」

出典: 国土交通省「令和4年度国土交通省税制改正事項(住宅局関係抜粋)」

子育て世帯が「省エネ基準適合」の部屋と比べると、減税の差は最大約133万円

子育て世帯や若い夫婦が「その他」の部屋と「省エネ基準に適合」の部屋を比べると、住宅ローン減税で安くなる税金の合計に最大約133万円の差が出ます。

古いマンションの多くは、区分の表の一番下にある「その他」に入ります。買主が比べやすいのは、少し新しいマンションに多い「省エネ基準に適合」の部屋です。

2026年に中古住宅へ入居する人が、上限いっぱいまで借りて毎年満額の減税を受けた場合、減税の合計は次のとおりです。

買主「その他」の家を買う「省エネ基準に適合」の家を買う差
子育て世帯・若い夫婦最大140万円最大273万円約133万円
一般の世帯最大140万円最大182万円約42万円

※計算は「借入の上限×0.7%×期間」です(例えば、子育て世帯が「省エネ基準に適合」の家を買う場合は、3,000万円×0.7%×13年=273万円)。上限まで借り、毎年満額の減税を受けたと仮定した最大額です。

あなたの部屋が「その他」なら、子育て世帯の買主から、この差を理由に値引きを求められることも考えられます。

ただし、表の金額は最大額です。年末のローン残高が上限より少ない人や、もともと納める税金が少ない人は、減税の額も小さくなります。

自分の買主に当てはめるときは、「年末のローン残高(上限まで)×0.7%」を、期間の年数分足し合わせると目安が出ます。実際の額は、買主の所得税と住民税の額で変わります。

区分の表の一番上にある「ZEH水準」などの部屋と比べると、減税の差はさらに広がります。ZEH水準の部屋は、中古ではまだ築年数のごく浅い物件に限られます。

出典: 国土交通省「住宅ローン減税(令和8年度税制改正後)Q&A」

減税の区分を決めるのは、省エネ性能を証明する書類

買主の住宅ローン減税の区分は、家の省エネ性能を証明する書類の有無で決まります。

買主が「省エネ基準に適合」の区分で減税を受けるには、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級(家で使うエネルギーの量の等級)が、どちらも4以上であることを書類で証明します。証明に使える書類は、次の2つです。

書類発行する人と時期中古で使うときの条件
建設住宅性能評価書新築のときに、第三者の機関が建物を調べて発行断熱と一次エネルギー消費量の両方の等級が書かれたものに限られる
住宅省エネルギー性能証明書建築士などが図面や現地を調べて発行買う日の2年前から、買った後6か月までに調査を終える

建設住宅性能評価書は、新築のときに発行される書類です。中古の部屋で新しく書類を取るなら、住宅省エネルギー性能証明書が候補になります。

書類で性能を証明できた家だけが「省エネ基準に適合」になり、それ以外の家は性能が良くても「その他」に入ります。古いマンションの多くが「その他」に入る理由は、性能の低さと書類の不足の2つです。

窓が古い部屋で新しく証明書を取るのは、難しい場合が多いと考えられます。断熱と省エネの2つの等級がどちらも4以上という基準に、古い窓のままでは届きにくいためです。

出典: 国土交通省「既存住宅を取得したとき」

出典: 国土交通省「住宅ローン減税(令和8年度税制改正後)Q&A」

省エネのラベル表示は、中古ではまだ推奨にとどまる

中古の家の広告に、省エネ性能が「低い」と書かれる心配は、今のところ小さいといえます。

国は2024年4月から、家の省エネ性能をラベルで表示する制度を始めました。新築の家を売る会社は、広告にこのラベルを表示することが求められています。

一方、中古の家を含む既存の建物では、表示は「推奨」にとどまります。表示しない場合も、国の勧告の対象からは外れています。

中古向けには、2024年11月から「省エネ部位ラベル」も始まりました。このラベルでは、窓や給湯器など家の部分ごとに、決められた性能を満たす部分にチェックが付きます。

ラベルで示すのは、基準を満たした部分です。古い窓の家では、窓の欄は空いたままになります。

売主が売値を守るには、広告の表示より、内見で買主が感じる寒さや結露の跡に気を配る方が大切です。

出典: 国土交通省「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」

新築の省エネ基準は今後も上がり、古い窓のマンションとの差は広がる

新築の省エネ基準はこれからも上がるため、古い窓のマンションと新しいマンションの省エネ性能の差は、時間がたつほど開いていきます。

2025年4月以降に工事を始める新築の家は、省エネ基準を満たすことが義務になりました。国は遅くとも2030年までに、この基準をもう一段高い「ZEH水準」へ引き上げる予定です。

これから建つマンションほど、省エネ性能は高くなります。そうした部屋は、年がたつにつれて中古市場にも出てきます。

それでも、マンションの値段を大きく左右するのは、窓の古さより立地や管理の状態です。住み替えの時期に迷っているなら、性能の高い中古の部屋が増える前に売るという考え方もあります。

出典: 国土交通省「省エネ基準引き上げへ。脱炭素化も。」

窓の交換・内窓・何もしないの3つを、費用と売値への影響で比べる

窓にお金をかけるなら、売値を上げるためより、売るまでの暮らしを快適にするためと考えるとよいでしょう。

窓の交換は管理組合が決め、内窓も管理規約の手続きに沿って付ける

部屋の持ち主が自分で手配できる窓の工事は、主に部屋の内側に付ける「内窓」です。

窓そのものは、多くのマンションで住む人みんなの「共用部分」とされています。そのため、窓の交換は、管理組合が建物全体の修繕として行います。

国の標準管理規約では、断熱などの性能を上げる窓の工事は、管理組合が計画修繕として行うものとされています。管理組合がすぐに工事できない場合に備えて、持ち主が自分の費用で工事できるよう細則を定めることも示されています。

規約の説明(コメント)では、こうした工事の例に、今ある窓への内窓の増設も挙げられています。内窓とは、今ある窓の部屋側にもう1枚付ける窓のことで、窓が二重になります。

そのため、内窓も、マンションの管理規約や細則で決められた手続きに沿って付けます。内窓を付ける前に、次の3点を管理会社や管理組合に確かめておきましょう。

  • 管理規約や使用細則にある、窓や内窓の決まり
  • 工事の届け出や申請の要否
  • 工事の日のエレベーターや共用廊下の使い方

届け出の有無を先に管理会社に聞いておくと、工事の当日に慌てずにすみます。

出典: 国土交通省「マンション標準管理規約」

内窓の費用・補助金・売値への上乗せを比べる

内窓を付けても、かけた費用をそのまま売値に上乗せするのは難しいと考えられます。

中古マンションの値段は、主に立地や築年数、同じマンションで過去に売れた値段をもとに決まるからです。買主の減税の区分も、家全体の性能と証明の書類で決まるため、一部の窓に内窓を付けただけでは上がりにくいといえます。

窓の交換・内窓・何もしないの3つを、費用や売値への上乗せで比べると、次のとおりです。

選び方費用補助金暮らしの変化売値への上乗せ手間
窓の交換(管理組合の工事)管理組合の修繕積立金から出す管理組合として使える場合あり大きい交換済みなら買主に説明しやすい総会での話し合いが要り、何年もかかる
内窓を付ける窓の大きさと数で変わる国の補助金の対象寒さ・結露・音がやわらぐ費用分を取り戻すのは難しい管理会社への届け出と工事の日程調整
何もしない0円-今のまま今のまま-

内窓を付けるなら、国の「先進的窓リノベ2026事業」の補助金で費用を抑えられます。補助の上限は、1戸あたり100万円です。

補助金の申請は、国に登録された事業者が持ち主に代わって行います。申請できるのは、1回の申請の補助額の合計が5万円以上の工事です。

補助金の受付は、遅くとも2026年12月31日までで、予算の上限に達するとそれより早く締め切られます。公式サイトによると、2026年10月26日時点で予算の約31%が使われています。

工事を頼む前に施工会社から見積もりを取ると、補助金を引いたあとの費用と、補助金の受付の状況がわかります。

出典: 環境省「先進的窓リノベ2026事業【公式】事業概要」

内窓を付けて得をするのは、売るまで住み続ける人

売るまで冬を何度かその家で過ごす人なら、内窓の費用に見合う快適さを得られると考えられます。

内窓を付けると窓が二重になるので、冬の寒さや結露がやわらぎます。外から聞こえる音も小さくなります。

売り出してから買主が決まるまで、数か月かかることもあります。その間も、売主は暖かい部屋で暮らせます。

結露が減るとカビも出にくくなるので、内見のときに窓まわりをきれいな状態で見せられます。

内窓を付けるか迷った例(架空のモデルケース)

Cさん(60代)は、2年後に駅の近くのマンションへ住み替える予定でした。

当時の部屋は北向きで、毎年冬になると寝室の窓が結露し、カーテンにカビが出ていました。

Cさんは補助金を使って、寝室とリビングの2か所に内窓を付けました。

売り出すまでの2回の冬は結露が少なくなり、内見のときも窓まわりをきれいな状態で見せられました。

※説明のための架空のモデルケースです。

内窓を付けるかは、売るまでにその家で過ごす冬の回数を目安に考えるとよいでしょう。

判断当てはまる人
内窓を考えてよい・売るまでに冬を1回以上この家で過ごす<br>・結露やカビ、寒さに毎年困っている
内窓を見送ってよい・すぐに売る予定がある<br>・すでに引っ越していて、空き家で売る

内窓を見送る人も、窓まわりの掃除や補修なら、少ない費用で内見の印象を良くできます。

お金をかけずに売値を守る手は5つある

窓はそのままでも、次の5つを売り出しの前に進めておくと、値引きを求められる場面を減らせます。

  • 新築時の住宅性能評価書を探す
  • 結露の跡とカビを補修する
  • 内見の時間帯と室温に気を配る
  • 窓の状態を先に伝える
  • 管理組合の窓の改修予定を確かめる

どれも、売り出しの準備と同じ時期に進められます。

新築時の住宅性能評価書を探し、買主の減税に使えるか確かめる

新築時の「建設住宅性能評価書」が見つかれば、窓が古くても、買主が「省エネ基準に適合」の区分で住宅ローン減税を受けられる場合があります。

買主の減税の区分は、家の省エネ性能を証明する書類で決まります。評価書は、次の場所にしまわれていることがあります。

  • 部屋を買ったときの書類一式
  • 新築で売り出されたときのパンフレット
  • 管理会社や管理組合が保管する書類

部屋を買ったときの書類一式は、契約書や重要事項説明書と一緒にとじてあることが多くあります。新築時のパンフレットを見ると、そのマンションが性能評価を取ったかがわかります。

評価書で確かめたいのは、「断熱等性能等級」と「一次エネルギー消費量等級」(家で使うエネルギーの量の等級)の2つの欄です。両方が等級4以上なら、不動産会社に伝えて、売り出しの資料に載せてもらいましょう。

この2つの等級での評価は、2015年4月に始まりました。そのため、それより前に建った窓の古いマンションでは、条件を満たす評価書が見つかる見込みは低めです。

それでも、評価書探しは費用ゼロで始められます。

評価書のほかに、住宅省エネルギー性能証明書を新しく取る方法もあります。証明書を取れる見込みは、不動産会社に聞くとわかります。

証明書の調査には費用がかかるので、売主と買主のどちらが払うかも、あわせて話し合っておくと安心です。

出典: 国土交通省「住宅ローン減税(令和8年度税制改正後)Q&A」

結露の跡とカビは、補修と掃除で消せる

内見で買主の印象に強く残る結露の跡は、少しの手間と費用で消せます。

買主は、窓が古いことを築年数からある程度わかったうえで内見に来ます。値引きの交渉につながりやすいのは、窓の古さより「手入れされていない家」に見えることです。

売り出す前に、窓まわりの次の4か所を補修しておくと安心です。

場所直し方
ゴムパッキンの黒カビカビ取り剤で落とす。黒ずみが残ればパッキンだけ交換する
カーテンすその黒い点やシミが洗っても残れば買い替える
窓の下の壁紙浮き・はがれ・黒ずみのある面だけ張り替える
窓枠や窓台木の部分の水じみや黒ずみを拭き取る

補修するのは、結露で傷んだところだけで十分です。どれも、窓の交換や内窓より、ずっと小さな出費ですみます。

カーテンを買い替えるなら、明るい色を選ぶと部屋全体も明るく見えます。

窓まわりは、売り出しのときに不動産サイトに載せる写真にも写ります。補修は、写真を撮る前に済ませておきましょう。

内見は明るい時間帯に入れ、部屋を暖めておく

窓の古さが気になる部屋でも、明るい時間に暖かい状態で見てもらえば、窓際の冷えや結露は目立ちにくくなります。

内見の時間は、買主の都合で決まることも多くあります。それでも、不動産会社に「できれば明るい時間に」と希望を伝えておくことはできます。

冬の内見の前に済ませておきたい準備は、次の4つです。

  • 日が差す昼前後の時間帯に入れる
  • 1時間ほど前から暖房で部屋を暖める
  • 朝のうちに窓の結露を拭き、少し換気する
  • 部屋干しの洗濯物を片づける

部屋干しを片づけるのは、湿気が増えると窓が結露しやすくなるためです。夏の内見で西日が強い部屋なら、先に冷房をつけ、カーテンやブラインドで日差しをやわらげておくとよいでしょう。

こうした準備の目的は、ふだんの暮らしに近い状態で部屋を見てもらうことにあります。冷え切った部屋や結露で濡れた窓を見た買主は、実際の住み心地より悪い印象を持ちがちです。

窓の状態は隠さず、不動産会社と買主に先に伝える

「冬は結露しやすい」「窓際が寒い」といった窓の困りごとは、聞かれる前に不動産会社へ伝えておきましょう。

部屋の見た目をきれいにしても、窓の困りごとそのものは、住み始めれば買主にわかります。先に伝えておくと、売主にとって良いことが2つあります。

1つ目は、引き渡しの後のトラブルを防げることです。住み始めた買主から「こんなに結露するとは聞いていない」と言われると、話がこじれてしまいます。

2つ目は、買主との話し合いが落ち着いて進みやすくなることです。不動産会社が事情を知っていれば、「築年数相応の窓です」「換気をするとこう変わります」と、買主に分かりやすく説明できます。

売るときには、売主が部屋の状態を書いて買主に渡す「告知書」を作ることが多くあります。結露やカビの書き方は、担当の不動産会社と相談して決めるとよいでしょう。

管理組合の窓の改修予定を確かめ、買主に伝える

管理組合が近いうちに窓(サッシ)の交換を予定しているなら、売主は買主に「この窓は数年後に新しくなります」と伝えられます。

窓の工事の予定は、次の2つの書類で確かめられます。

書類見るところ
長期修繕計画「サッシ改修」「窓改修」の項目と時期
総会の議事録窓の工事を話し合った記録や、決まった内容

長期修繕計画は、何年ごろにどんな工事をするかを、30年以上先までまとめた計画です。総会の議事録を読むと、窓の工事がまだ話し合いの段階か、もう決まったかがわかります。

2026年4月から、改正された区分所有法が施行されました。以前は、総会の決議は区分所有者全員を母数にした多数決で、欠席した人は賛成しなかったのと同じ扱いでした。

2026年4月1日以降に招集の手続きが始まった総会では、出席した人の多数決で決められることが増えました。窓の交換のような建物の工事も、以前より話し合いを進めやすくなっています。

窓の工事にどの決め方が必要かは、管理組合や管理会社に聞けばわかります。

ただし、窓の工事には大きなお金がかかります。窓の工事の予定が、修繕積立金の値上げや一時金の支払いとセットになっていることもあります。

積立金の値上げや一時金の予定も長期修繕計画で確かめておくと、買主にお金の話まで正しく伝えられます。

出典: 法務省民事局「区分所有法・被災区分所有法の改正について」(令和8年4月)

まとめ:窓が古くても同じマンションの中では不利になりにくく、差が出るのはよそと比べられたとき

窓が古いマンションでも、同じマンションの部屋どうしなら窓はほぼ同じなので、値段に差はつきにくいといえます。差が出るのは買主が近くの新しいマンションと比べたときで、内見での寒さや結露の跡と、住宅ローン減税の額の違いが値引きの理由になります。

次の一歩は、売り出す前に窓まわりの結露の跡やカビを補修しておくことです。この一歩を飛ばすと、内見に来た買主に「手入れされていない家」と受け取られ、窓の古さ以上の値引きを求められるおそれがあります。

あわせて、新築時の住宅性能評価書が手元にないかも探しておくと安心です。住み替えのトビラでは、窓の古さや省エネ性能がマンションの売値に与える影響と、お金をかけずにできる対策も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。