リースバックで後悔したら?相談事例4件でわかる原因と、契約後にできること

リースバックで後悔した実例と原因|後悔しない契約前の手順と契約後に取れる手

「後悔した」という声を見て契約をためらっている方も、すでに契約して早まったと感じている方もいるでしょう。

後悔の原因は、リースバックでセットになる「家を売る契約」と「その家を借りる契約」、そして強引な勧誘の3つにあります。

リースバックを扱う会社ではない当サイトが、公的な相談事例をもとに、今の状況で次に何をすればよいか決められるようにまとめました。

まず読むところ

  • これから契約する → 「契約する前に確かめる3つのこと」
  • 契約したが、まだお金を受け取っていない → 「売る契約をやめたいとき」
  • 売ったあと、そのまま住んでいる → 「住み始めてから困ったとき」
  • 家族が契約していたと知った → 「家族が契約していたら、当時の記録を集める」

相談事例でわかる、後悔の3つのパターン

国民生活センターが公表した相談事例4件を見ると、後悔は「売る契約」「借りる契約」「強引な勧誘」の3つから起きています。

リースバックの相談は2024年度に200件を超え、契約した人の約7割が70歳以上です。

事例売った家と金額困ったこといつ起きたか比べていれば防げたか
1(80歳代)築40年のマンション・1,200万円やめたいと伝えたら、計100万円を求められた契約の直後防ぎにくい(12時間勧誘され、比べる時間がなかった)
2(90歳代)マンション・3,000万円(家賃 月25万円)やめるなら違約金600万円と言われた契約の直後防げない(何に署名したか分からない)
3(70歳代)マンション・約1,600万円(家賃 月約6万円)3年後に家賃が月約11万円になり、払えなくなった3年後気づけた可能性がある(家賃が上がる時期を書面で見ていれば)
4(80歳代)戸建て・400万円(家賃 月4万円)認知症の父が、相場よりかなり安く売っていた家族が知ったとき本人には防げない

上の表は、国民生活センターが2025年5月に公表した報告書にある相談事例の要約です。

「比べる」とは、他の会社や普通の売却と条件を比べることを指しています。

売る契約は、やめるのにお金がかかる

売る契約を後からやめるとき、かかるお金はやめる時期で大きく変わります。

手付(契約のときに買主から先に受け取るお金)がある場合、期限までなら、受け取った手付を返し、さらに同じ額を払えばやめられます。

これを「手付倍返し」といいます。期限を過ぎると、売却額の1〜2割ほどの違約金がかかる契約が一般的です。

実は、事例1で求められた100万円は、手付50万円を返し、さらに50万円を払う手付倍返しと同じ額です。返す50万円はもともと受け取ったお金なので、実際に失うのは50万円になります。

一方、事例2の違約金600万円は、売却額3,000万円のちょうど2割にあたります。

不動産会社が売主の取引なら、違約金は法律で売却額の2割までと決まっています。ところが、個人が会社に家を売るリースバックは、この決まりの対象外です。

契約に迷いが出たら、まず手付でやめられる期限を確かめておきましょう。

出典: 国民生活センター「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!」報告書本文

借りる契約は、数年後に家賃で困る

借りる契約で困りごとが起きやすいのは、家賃が上がるときや、契約の期間が終わるときです。

事例3では、月約6万円だった家賃が、3年後に約11万円になりました。会社は、3年後に上がることは契約のときに説明済みだと答えています。

相談者は説明をよく覚えておらず、売ったお金もすでに生活費で使い切っていました。そのうえで、払えないなら出ていくよう求められています。

問題は値上げそのものより、値上げのときに売ったお金が残っていなかったことだと考えられます。

では、売ったお金は何年で家賃に消えるのでしょうか。売却額を1年分の家賃で割ると、その年数が分かります。

事例売却額1年分の家賃売ったお金が家賃で全部なくなるまで
23,000万円300万円10年
3(値上げ前)約1,600万円約72万円約22年
3(値上げ後)約1,600万円約132万円約12年
4400万円48万円約8年

リースバックの家賃は、売却額に、会社が毎年得たいもうけの割合(利回り)を掛けて決めることが多いです。

つまり、住みたい年数が表の年数より長ければ、売ったお金だけでは家賃が足りなくなります。

出典: 国民生活センター「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!」報告書本文

強引な勧誘は、比べるだけでは防げない

4件のうち3件は、条件を比べる前に、勧誘の場で契約を決めさせられていました。

事例1は、朝10時から夜10時過ぎまで勧誘が続きました。事例2では「玄関で10分だけ」と言われたのに、担当者2人が部屋に上がり込んでいます。

事例4は、認知症の疑いがある本人が一人で契約したケースです。

これらは、本人の確認不足ではありません。防ぐには、その日に署名しないことと、家族や信頼できる人に同席してもらうことが大切です。

なお、断ったあとも勧誘を続けることや長時間の勧誘は、宅地建物取引業法という、不動産会社のルールを定めた法律で禁じられています。

出典: 国民生活センター「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!」報告書本文

契約する前に確かめる3つのこと

相談事例の後悔は、値段、家賃の合計、やめるときのお金のどれかを、署名のときに分かっていなかったことから起きています。

署名する前に、次の3つを書面で確かめておきましょう。

  1. 普通に売ったら、いくらになるか
  2. 住みたい年数の分、家賃がいくらかかるか
  3. 契約をやめるとき、いくらかかるか

1つ目は、普通に売った場合の査定額です。これを知っておくと、住み続ける代わりにいくら安く売ることになるのかが見えてきます。

査定は、売ると決める前でも頼めます。頼み方は家の価値を知る方法、リースバックの価格の決まり方はリースバックの買取価格の決まり方で確認できます。

2つ目は、1年分の家賃に住みたい年数を掛けると分かります。家賃がいつ、どれくらい上がるかの決まりもあわせて見ておくと、先の家計を立てやすくなります(リースバックしたマンションの家賃)。

3つ目は、手付の額と期限、違約金の額で決まります。借りる契約が「普通借家」か「定期借家」かも、このとき確かめておくと安心です。

普通借家は期間が終わっても住み続けやすい契約で、定期借家は期間が来たら終わる契約です(リースバックのデメリットとトラブル事例)。

説明をしぶられたり、その日のうちの署名を求められたりした場合は、契約を見送る理由になるといえます。

リースバックのデメリット全体は、リースバックのデメリットは?実態調査で分かる条件と契約前の判断ポイントで確認できます。

売る契約をやめたいとき

会社に家を売る契約は、クーリング・オフ(一定の期間なら無条件でやめられる制度)の対象外です。

それでも、やめる方法はいくつかあります。「もう判を押してしまった」と感じても、期限のあるものから順に確かめましょう。

お金を受け取る前なら、手付の期限を確かめる

代金を受け取る前(決済の前)なら、手付倍返しでやめられる場合があります。

ただし、決済の前でも、相手が代金を用意して引き渡しを求めるなど、契約を実際に進め始めていると、手付倍返しではやめられなくなります。

リースバックには、不動産会社が売主の取引のような法律の決まりがないため、手付の扱いは契約書の書き方しだいです。

「手付でやめられるのは○月○日まで」という期限や、手付でのやめ方を認めない決まりが書かれていないか、契約書を見ておきましょう。

契約から決済までが短いことが多く、迷っているうちに期限が過ぎがちです。

自分でお金を送ったり、やめると伝えたりする前に、契約書を消費生活センターや弁護士に見てもらうと、進め方を間違えにくくなります。

出典: 民法(第557条)

高すぎる違約金と強引な勧誘は、法律で争える

個人が会社に家を売る契約では、消費者を守る法律(消費者契約法)を使って争えます。

この法律では、違約金のうち、会社が実際に受けるふつうの損を超える部分は無効になります。

リースバックには違約金の上限がないため、事例2の600万円も、会社の実際の損と比べて高すぎる部分があれば、その分の無効を主張できます。

「帰ってほしい」と言ったのに帰らない、「帰りたい」と言ったのに帰してもらえない。そんな勧誘で結んだ契約は、取り消せる場合があります。

取り消せる期間は、落ち着いて考えられるようになってから1年以内、契約から5年以内です。

ただ、結果は個別の事情で変わります。日時や相手の言葉、自分が断った内容、メールや録音を残しておくと、相談のときに状況を伝えやすくなります。

勧誘のやり方そのものは、その会社に営業の免許を出した都道府県にも申し出ることができます。複数の都道府県に店がある会社の場合、申し出先は国土交通省の地方整備局です。

免許番号は、名刺や会社のホームページ、契約書に載っていることが多いでしょう。

出典: 消費者契約法(第4条、第7条、第9条)

家族が契約していたら、当時の記録を集める

自分のしていることの意味が分からない状態で結んだ契約は、無効になります。

事例4では、父が入院したときに認知症が分かりました。家族はそこで初めて、父が家を400万円で売り、月4万円で借りていたことを知りました。

相談者によると、父は以前から認知症の疑いがあり、自分の住所も書けない状態でした。

ただし、契約が無効になるかは、診断の有無ではなく、契約した日の状態で決まります。

契約日の前後の受診記録や介護認定の資料、本人の様子を書いたメモなどが、当時の状態を示す手がかりになります。

消費生活センターには、本人だけでなく、家族やヘルパー、地域包括支援センターの職員からも相談できます。

出典: 民法(第3条の2)

出典: 国民生活センター「強引に勧められる住宅のリースバック契約にご注意!」報告書本文

住み始めてから困ったとき

住み始めてから困ることは、主に家賃の値上げと、契約期間の終わりの2つです。

どちらも、借りる契約が普通借家か定期借家かで対応が変わります。まずは、賃貸借契約書のタイトルと期間の欄を見ておきましょう。

家賃の値上げは、契約書の決まりを見る

家賃の値上げにどう対応するかは、契約書に家賃の上げ方の決まりがあるかで変わります。

定期借家で家賃の上げ方の決まりがあれば、その決まりどおりに家賃が変わります。

普通借家や、決まりのない定期借家なら、家賃は話し合いで決まります。まとまらないときは、裁判所の調停に進む流れです。

話し合いの間は、自分が妥当だと思う額を払い続けていれば、家賃を払っている扱いになります。

「相談中だから」と家賃を止めると、滞納として契約を解除される理由になるおそれがあります。

マンションでは、管理費や修繕積立金の値上げを理由に、家賃の値上げを求められることがあります。

理由を書面でもらい、値上げ幅がその増えた分に見合っているか比べておくと、話し合いで根拠を示しやすくなります。

出典: 借地借家法(第32条、第38条)

退去を求められたら、知らせの時期を見る

期間が1年以上の定期借家では、貸主は、期間が終わる1年前から6か月前までに「契約が終わる」と知らせる必要があります。

この知らせがなければ、期間が来たことを理由に、すぐ出ていくよう求めることはできません。

知らせが遅れて届いた場合、貸主が契約の終わりを主張できるのは、届いた日から6か月たってからです。

また、契約の前に「更新がなく、期間が来たら終わる」と書面で説明されていなければ、定期借家として扱われず、住み続けやすくなります。

その説明の書面を受け取ったか、手元の書類を確かめておきましょう。

借りている側からも、病気の療養や家族の介護などで住み続けるのが難しくなったときは、申し入れから1か月で契約を終えられます。対象は床面積200㎡未満の住まいで、施設に入るときなどに使えます。

再契約や家の買い戻しには、会社との新たな合意が必要です。引っ越しも含めて次の住まいを早めに考えておくと、慌てずに動けます。

出典: 借地借家法(第38条)

相談先には、契約書と記録を持っていく

最初の相談先に迷ったら、消費者ホットライン「188」に電話すると、近くの消費生活センターなどにつながります。

相談は無料で、かかるのは通話料です。相談のときは、次のものを用意しておくと話が早く進みます。

  • 売買契約書・賃貸借契約書など、受け取った書類
  • 査定書、広告、メール、メッセージ、録音
  • 手付や代金を受け取った日と金額、次の期限
  • 説明と実際の条件の違いをまとめたメモ

書類は、全部そろっていなくても相談できます。強引な勧誘を受けている、期限が近い、というときは、手元の資料だけで先に相談しましょう。

法律の手続きが必要なときは、弁護士や法テラスを紹介してもらう方法もあります。法テラスの無料相談には、収入などの条件があります。

出典: 消費者庁「消費者ホットライン」