子どもが走るたびに「下の階に響かないかな」と気になる。部屋も収納も足りなくなってきた。そろそろ戸建てに移る時期なのかと、迷い始める家庭は多いはずです。
戸建てに移ると、下の階への気遣いは消え、部屋と収納も増やしやすくなります。その代わり、防犯や子どもの事故への備え、通勤や送迎の距離、子どもが独立した後の広さと建物の価値を、家族で引き受けることになります。
この記事では、子育て世帯が戸建てに移るメリットとデメリット、子どもの年齢別の移る時期、子育て後まで見た戸建ての選び方、2026年の改正を含む子育て世帯向けの制度を順に見ていきます。
子育て世帯がマンションから戸建てに移るメリット
子育て世帯が戸建てを選ぶいちばんの理由は、音です。
アットホーム株式会社が2021年12月に加盟店599店へ行ったアンケートでは、子育て世帯に戸建てを勧めると答えた不動産会社が挙げた理由(複数回答)の1位が「子どもが家の中で騒々しくても周囲に気を遣いすぎなくて良いから」で、70.0%でした。4年ほど前の調査なので、傾向をつかむ材料として読むのがよいでしょう。
出典: アットホーム株式会社 不動産のプロが選ぶ!「一戸建てとマンション 子育て世代におすすめの理由」ランキング(2022年4月19日発表)
ほかにも、広さ、駐車場、暮らしの自由度といった利点があります。それぞれ「どこまでよくなるか」も含めて見ていきます。
- 足音や泣き声で下の階に気を遣わずに済む
- 子供部屋と収納を増やしやすい
- 駐車場と外遊びの場所が玄関の近くにある
- 管理規約に縛られずに暮らせる
足音や泣き声で下の階に気を遣わずに済む
戸建ては、家の下に別の住戸がない建物です。子どもが走っても跳ねても、下の住人に気を遣う暮らしから離れられます。マンションで「走らないで」と毎日言っていた家庭にとっては、大きな変化です。夜泣きの時期も、壁や床を通じて隣や下に響く心配が減ります。
ただ、音の悩みは形を変えて残ります。住宅地では隣の家との距離が数メートルのことも多く、窓を開けているときの泣き声や、庭や家の前で遊ぶ声は近所に届きます。
木造の戸建てでは、家の中で2階の足音が1階によく響きます。
気を遣う相手が「下の住人」から「家族」と「近所」に変わる。そう考えておくと、住んでからの思い違いを防げます。
子供部屋と収納を増やしやすい
戸建ては、同じ予算でもマンションより部屋数や延床面積を確保しやすい傾向があります。子ども一人ひとりに部屋を用意したい、ベビーカーや三輪車、季節の道具をしまう場所が欲しい。そうした希望は、戸建てのほうがかないやすくなります。
階段の下や小屋裏、外の物置など、マンションにはない収納の場所を使えるのも戸建ての特徴です。
押さえておきたいのは、広さと引き換えに、駅から遠くなったり、郊外寄りのエリアになったりしやすいことです。同じ駅の近くで、マンションと同じ価格の広い戸建てを見つけるのは難しいのが現実です。広さを取るのか、駅からの近さを取るのか。家族の優先順位で決めることになります。
駐車場と外遊びの場所が玄関の近くにある
戸建ては、駐車場が玄関のすぐ前にあることが多く、子どもを車に乗せ降ろしするのがぐっと楽になります。エレベーターを待ち、駐車場まで歩く手間がなくなります。雨の日に、子どもと荷物を抱えて移動する負担も小さくなります。
家の前や庭で、子どもが外遊びをしやすいのも利点です。ボール遊びや水遊び、自転車の練習を、すぐ目の届く場所でさせられます。
一方で、家の前の道路や駐車場は、子どもにとって危ない場所にもなります。駐車場や道路まわりの安全は、デメリットの章と戸建ての選び方の章で詳しく見ていきます。
管理規約に縛られずに暮らせる
マンションでは、管理規約や使用細則で暮らし方が決まっています。自転車の台数、ベランダの使い方、ペット、リフォームの範囲などに制限があり、子育ての中で不便を感じる家庭もあります。
戸建てなら、こうした決まりは基本的に自分たちで決められます。自転車を何台置くか、外に遊具を置くか、子どもの成長に合わせて部屋を仕切るか。どれも家族の判断で進められます。
その裏返しで、建物の修繕も自分たちで計画します。マンションの修繕積立金にあたるお金は、自分で積み立てておきます。外壁や屋根、給湯器などの交換時期を見越して、毎月いくら貯めるかを決めておくと安心です。
子育て中に戸建てへ移るときのデメリット
戸建ての弱点は、マンションの強みの裏返しです。
先ほどのアンケートでは、マンションを勧めると答えた不動産会社が挙げた理由(複数回答)の1位が「防犯面で安心できるから」で、62.9%でした。
出典: アットホーム株式会社 不動産のプロが選ぶ!「一戸建てとマンション 子育て世代におすすめの理由」ランキング(2022年4月19日発表)
ここでは、子育て中の家庭が戸建てに移るときに気をつけたい点を、確かめ方とあわせて見ていきます。共働きで帰りが遅い、駅の近くを離れにくいといった家庭ほど、これらの弱点が重くのしかかります。
- 防犯を家族で受け持つ
- 階段や駐車場での子供の事故
- 通勤や保育園の送迎が遠くなりやすい
- 子供が独立した後の広さと建物の価値
防犯を家族で受け持つ
マンションには、オートロックや管理人、防犯カメラといった、建物全体で守る仕組みがあります。戸建てでは、その役目を家族で受け持ちます。
警察庁のまとめでは、令和7年(2025年)の侵入窃盗を発生場所別に見ると、いちばん多いのは一戸建住宅で29.1%でした。事務所や店舗なども含めた侵入窃盗全体の中での割合です。住宅を狙った侵入窃盗は1万7,152件で、前年より7.2%増えています。
戸建ては、窓や勝手口など、外から近づける出入り口が多くなりがちです。子どもが一人で留守番をする年齢になると、防犯はいっそう気になります。防犯性の高い窓や鍵、センサーライト、防犯カメラ、録画機能付きのインターホンで備えられます。
物件を見るときは、周りからの見通し、夜道の明るさ、近所の人の目があるかも確かめておきます。
出典: 警察庁 住まいる防犯110番 手口で見る侵入犯罪の脅威(侵入窃盗の発生場所別認知件数・令和7年)
階段や駐車場での子供の事故
戸建てには、マンションでは起きにくい子どもの事故の危険があります。代表的なのが、階段からの転落、2階の窓やベランダからの転落、自宅の駐車場での事故です。
消費者庁は、ハイハイで動き回る時期から階段での転落が起こりやすくなると注意を呼びかけています。ベビーゲートが付いていなかったり、閉め忘れたりして子どもが階段から落ちた事故の情報も、医療機関から寄せられています。
- ベビーゲートは、使っていないときも常にロックをかけておく
- 階段の上には付けられない製品もあるので、置く場所に合う製品を選ぶ
- 子どもが乗り越えたり開けたりできるようになったら使うのを控える(対象年齢は24か月まで)
窓やベランダは、子どもの手が届かない高さに補助鍵を付け、窓の近くにソファなどの家具、手すりの近くにプランターなど足がかりになる物を置かないようにします。エアコンの室外機は、手すりから60cm以上離すか、上からつるす形にします。
自宅の駐車場では、車を出すときに、車の前にいた1歳の子どもに気づかずひいてしまった事故が起きています。小さな子どもは運転席から見えにくいので、車に乗せるときは子どもを先に、降りるときは大人が先に。荷物の積み降ろしは、子どもを車に乗せたまま行います。
車を動かす前に、子どもがどこにいるかを声に出して確かめる。家族でこの習慣を決めておくと、自宅の駐車場での事故を防ぎやすくなります。
出典: 消費者庁 子ども安全メール Vol.557 ベビーゲートを正しく使用し事故を防止しましょう! 出典: 消費者庁 子ども安全メール Vol.608 転落に注意!窓やベランダ周りを今一度確認を! 出典: 京都府警察 幼児の交通事故 どう守る?どう防ぐ?
通勤や保育園の送迎が遠くなりやすい
広い戸建てを予算内で探すと、駅から遠い場所や郊外寄りの場所になりやすくなります。すると、親の通勤時間が延び、保育園の送り迎えにも時間がかかります。
共働きの家庭では、朝夕の時間の余裕が大きく変わります。
保育園に通っている場合は、引っ越し先の自治体で、改めて入園の申込みが要ることがあります。希望の園にすぐ入れるかは、空きの状況しだいです(自治体ごとの扱いの違いは、年齢別の時期の章で見ていきます)。
物件を探すときは、通勤の経路と時間、保育園や学童までの道のりを、平日の朝の時間帯に実際にたどっておきます。
子供が独立した後の広さと建物の価値
子育ての時期は、思っているより短いものです。子どもが独立すると子ども部屋が余り、夫婦2人には広すぎる家の掃除や維持が負担になることがあります。
もう1つ知っておきたいのは、戸建ての建物の価値です。国土交通省は2014年に、中古の戸建てでは、建物の状態にかかわらず築20〜25年で建物の市場価値をゼロとみなす取引の慣行があると指摘し、建物の状態を見て評価する方向へ改めるための指針を出しました。木造の戸建ては、年数がたつと建物の評価が下がりやすく、売るときは土地の値段の比重が大きくなります。
点検や修繕の記録を残しておくと、売るときに建物の状態を説明する材料になります。
子育て期間だけで家を選ぶと、その後の20年、30年が合わなくなることがあります。夫婦2人で住み続けるのか、売って住み替えるのか。そこまで考えて立地や広さを選んでおくと安心です。
出典: 国土交通省 「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」の策定について(平成26年3月31日)
子供の年齢別に見た住み替えのタイミング
マンションから戸建てへ移る時期は、子どもの年齢によって、動きやすさとつまずきやすい点が変わります。
| 子どもの年齢 | 動きやすい点 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 保育園・幼稚園 | 学校の転校がない | 保育園の申込みと空き |
| 小学校に入る前 | 入学する学校を選んで移れる | 10月1日時点の住所と入学の手続き |
| 小学生 | 子どもの希望を聞ける | 転校と友達関係 |
| 中学生以降 | 子どもが自分で判断できる | 受験・部活・通学距離 |
子どもの生活の区切り(入園・入学)に合わせるほど、子どもの負担は小さくなります。
保育園・幼稚園のうちに移る
子どもが保育園や幼稚園に通っている時期は、学校の転校がないので、住み替えやすい時期の1つです。子どもも新しい環境に慣れやすい年齢です。
気をつけたいのは保育園です。引っ越し先が別の自治体なら、改めて入園の申込みをし、空きがなければ待つことになります。入園は自治体の利用調整で決まり、引っ越す前に申し込めるか、転入予定の人をどう扱うかも自治体によって違います。
たとえば東京都杉並区では、区外から転入する予定の人も、売買契約書の写し(転入先の住所と入居できる日が書かれたもの)などを付けて、区内の認可保育園に申し込めます。一方、東京都中央区では、利用したい月の前の月の末日までに転入届を出して手続きを済ませる必要があり、間に合わないと区民の調整が終わった後に回されます。
同じ自治体の中での引っ越しでも、通える園が変わることがあります。
引っ越しを決める前に、引っ越し先の自治体の保育の窓口に、申込みの方法と時期を確かめておきます。仕事の段取りを崩さずに済みます。
出典: 杉並区 転入に関する確認書(保育園) 出典: 中央区 転入予定・転出予定・区内在勤・区外在勤・里帰り出産で申し込む方へ
小学校に入る前に移る
小学校に入る前に移るのは、多くの家庭が考える時期です。通う学校を決めてから住まいを選べるので、入学してすぐの転校を避けられます。
公立の小学校は、住所のある市町村の教育委員会が、通う学校を指定します。物件を選ぶときは、その住所の通学区域の学校を確かめておきます。同じ駅の近くでも、道1本で学校が変わることがあります。
入学までの手続きは、入学の前の年の秋から決まった順に進みます。
| 時期 | 市町村の教育委員会が行うこと |
|---|---|
| 10月1日 | この日の住所をもとに、翌年4月に入学する子どもの名簿(学齢簿)を作る(10月31日までに作成) |
| 11月30日まで | 就学時の健康診断を行う(原則) |
| 1月31日まで | 入学する学校と入学の期日を保護者に通知する |
10月1日より前に引っ越しを済ませておくと、健康診断から入学の通知まで、引っ越し先の市町村で一続きに進みます。健康診断の後に引っ越した場合も、まだ健康診断を受けていない子どもには、引っ越し先の教育委員会が速やかに健康診断を行う決まりになっています。
年長の1年間は、物件探しから売却、引っ越しまでを考えると、意外と短いものです。年中のうちから動き始めると、余裕を持って進められます。
出典: e-Gov法令検索 学校教育法施行令(第2条 学齢簿の作成・第5条 入学期日等の通知、学校の指定) 出典: e-Gov法令検索 学校教育法施行規則(第31条 学齢簿の作成期日) 出典: e-Gov法令検索 学校保健安全法施行令(第1条 就学時の健康診断の時期)
小学生の間に移る
小学生の間に移る場合は、転校が伴うことが多くなります。子どもにとっては友達や先生と離れることになるので、気持ちへの配慮が大切です。
転校するなら、学期の区切りや学年の変わり目に合わせると、子どもが新しいクラスに入りやすくなります。4月の新学年に合わせると、周りの子も新しいクラスで始まるので、なじむきっかけをつかみやすくなります。
同じ学区の中で戸建てを探せれば、転校をせずに住み替えることもできます。物件の数は限られますが、子どもの生活を変えたくない場合は、学区を絞って探す方法もあります。
子どもがある程度大きければ、住み替えの理由を話し、新しい家や学校を一緒に見に行くと、前向きに受け止めやすくなります。
中学生以降に移る
中学生以降は、子どもが自分の意見をはっきり持つ年齢です。部活動や友達関係、高校受験など、子どもの生活の事情が大きくなります。
中学校への入学に合わせて移ると、小学校の友達と別れる区切りと重なるので、負担を抑えやすくなります。中学校の途中での転校は、受験の準備の面でも、子どもの負担が大きくなりがちです。
高校生になると、通学は学区より学校までの距離の問題になります。今の高校に通い続けられる範囲で住み替え先を選ぶと、子どもの生活を保てます。
子どもが独立するまでの年数も短くなるので、広い戸建てに移っても、子ども部屋を使う期間は限られます。夫婦2人になった後の暮らしまで見て判断します。
子育て世帯に合う戸建ての選び方
子育て世帯の戸建て選びは、今の暮らしやすさと、子育てが終わった後の暮らしやすさの両方で考えます。
ここでは、間取り、買い方、周りの道路、立地の4つの観点から見ていきます。
- 子供の成長に合わせて変えられる間取り
- 新築・中古・注文住宅の違い
- 前面道路と通学路の安全
- 子育て後も住みやすく売りやすい立地
子供の成長に合わせて変えられる間取り
子ども部屋の数は、今の子どもの人数より、これから増える可能性と、独立した後のことで決めます。
おすすめなのは、広い1部屋を子どもが小さいうちは一緒に使い、大きくなったら壁や家具で2部屋に分けられる間取りです。ドアや窓、照明、コンセントを2部屋分用意しておくと、後から分けやすくなります。子どもが独立した後は、また1部屋に戻して、趣味の部屋や収納に使えます。
リビングを通って2階に上がる間取りにすると、子どもが帰ってきたときに顔を合わせやすくなります。
洗濯機から物干し場まで階段の上り下りが多いと、毎日の家事の負担が増えます。家事の動線も、内見のときに確かめておきます。
新築・中古・注文住宅の違い
戸建てには、主に3つの買い方があります。
| 買い方 | 予算の目安 | 入居までの期間 | 選べる範囲 |
|---|---|---|---|
| 新築建売 | 中程度 | 短い | 完成済みや建築中の家から選ぶ |
| 中古戸建て | 抑えやすい | 短い | 建物の状態を確かめて選ぶ |
| 注文住宅 | 高くなりやすい | 長い | 間取りを自由に決められる |
新築建売は、入居までが早く、価格も分かりやすいのが特徴です。中古戸建ては予算を抑えやすい一方、修繕が要る場所を確かめる必要があります。建物状況調査(インスペクション)を使うと、国の登録講習を修了した建築士に、買う前に建物の状態を見てもらえます。
注文住宅は自由度が高い反面、土地探しから入居まで1年以上かかることもあります。子どもの入学などで時期が決まっている場合は、入居までの期間も大事な判断材料です。
どの買い方でも、住宅ローン控除や補助金の対象になるかは、新築か中古か、省エネの性能がどの水準かで変わります。制度の章で確かめてから候補を絞ると、後で予算が狂いにくくなります。
出典: 国土交通省 インスペクション(既存住宅の点検・調査)
前面道路と通学路の安全
戸建てを選ぶときは、家の前の道路が子どもにとって安全かを確かめます。
車の通りが多い道路に面していると、子どもが駐車場から飛び出したときの危険が大きくなります。抜け道になっていて、スピードを出す車が多い道もあります。平日の朝夕に、家の前の車の通り方を見ておきます。
通学路も大切です。小学校までの道を、子どもの足で歩いてみます。
- 歩道があるか
- 交通量の多い道路を渡る場所に信号や横断歩道があるか
- 人通りの少ない場所がないか
子どもと一緒に歩くと、大人の目線では気づきにくい危ない場所が見えてきます。公園や小児科までの距離も、あわせて見ておきます。
子育て後も住みやすく売りやすい立地
戸建ては、子育てが終わった後も長く住むか、いずれ売ることになります。どちらの場合も、立地が暮らしやすさと値段を大きく左右します。
駅やスーパー、病院までの距離は、年をとって車を運転しなくなったときの暮らしやすさに関わります。
売るときのことを考えると、土地の条件も大切です。木造の戸建ては建物の評価が下がりやすいので、売るときの値段は土地の比重が大きくなります。駅から近い、土地の形が整っている、道路に十分に面しているといった条件は、売りやすさにつながります。
子育て期間の広さを取って郊外の広い家にするのか、少し狭くても駅に近い家にするのか。子育て後の20〜30年を含めて考えると、選び方が変わってきます。
子育て世帯が使える住宅ローンと支援制度
子育て世帯には、住宅を買うときに使える優遇の制度があります。
制度には期限や条件があり、年度ごとに内容が変わります。同じ「子育て世帯」でも、子どもの年齢を数える日が制度ごとに違うので、上の子が17〜18歳の家庭は、1つずつ当てはまるかを確かめておくと安心です。
| 制度 | 子どもの年齢の基準 | 内容 | 確かめ先 |
|---|---|---|---|
| 住宅ローン控除の上乗せ | 19歳未満の扶養親族(入居した年の12月31日時点) | 控除の対象になる借入額の上限が上がる | 国税庁・国土交通省 |
| フラット35子育てプラス | 18歳未満の子(借入を申し込む年度の4月1日時点) | 当初5年間の金利が下がる | 住宅金融支援機構 |
| みらいエコ住宅2026事業 | 18歳未満の子(2025年4月1日時点) | 省エネ性能の高い新築に補助金 | 国土交通省・環境省 |
| 自治体の支援 | 自治体ごとに違う | 補助金など | 各自治体 |
住宅ローン控除の子育て世帯向けの上乗せ
住宅ローン控除は、住宅ローンを使って家を買ったとき、年末のローン残高の0.7%が、所得税などから差し引かれる制度です。2026年度の税制改正で5年延長され、2030年12月31日までの入居が対象になりました。
子育て世帯と若い夫婦の世帯には、控除の対象になる借入額の上限を引き上げる上乗せがあります。対象は、19歳未満の扶養親族がいる人、40歳未満で配偶者がいる人、40歳以上で40歳未満の配偶者がいる人です。年齢は、入居した年の12月31日の時点で判定します。
上限額は、新築か中古か、省エネの性能がどの水準かで変わります。
| 住宅の性能(2026〜2030年入居) | 新築 | 中古 |
|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円(5,000万円)・13年 | 3,500万円(4,500万円)・13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円(4,500万円)・13年 | 3,500万円(4,500万円)・13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円(3,000万円)・13年 | 2,000万円(3,000万円)・13年 |
| その他の住宅 | 原則対象外 | 2,000万円・10年 |
※金額は控除の対象になる借入額の上限、( )内は子育て世帯・若者夫婦世帯の上限。年数は控除を受けられる期間。新築の省エネ基準適合住宅は、2028年以降の入居では、2027年末までに建築確認を受けたものなどに限り2,000万円・10年。
改正前(2024・2025年入居)は、中古住宅に子育て世帯の上乗せはなく、省エネの性能が高い住宅でも上限3,000万円・10年でした。新築の省エネ基準適合住宅は、上限3,000万円(子育て世帯等は4,000万円)から、2026・2027年入居では2,000万円(同3,000万円)に下がっています。
床面積の要件は、新築・中古とも40㎡以上に緩められましたが、子育て世帯の上乗せを使う人は、これまでどおり50㎡以上が必要です。
もう1つ、マンションから住み替える家庭が見落としやすい点があります。今のマンションを売って利益が出たときに「居住用財産の3,000万円の特別控除」などの特例を使うと、新居に入居した年とその前2年・後3年の間は、住宅ローン控除の対象から外れます。どちらを使うほうが得かは、売却益と借入額で変わるので、売る前に税務署や税理士に試算してもらうと安心です。
出典: 国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除) 出典: 国税庁 No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除) 出典: 国土交通省 住宅ローン減税
フラット35子育てプラス
フラット35は、住宅金融支援機構が民間の金融機関と組んで提供している、全期間固定金利の住宅ローンです。
子育てプラスは、子どもの人数などに応じて、借りた当初の金利を引き下げる仕組みです。対象は、借入を申し込む年度の4月1日時点で18歳未満の子ども(おなかの中の子どもも含む)がいる世帯と、同じ日に夫婦のどちらかが40歳未満の世帯です。
- 子ども1人(または若い夫婦): 当初5年間、年0.25%の引き下げ
- 子ども2人: 当初5年間、年0.5%の引き下げ
- 子ども3人: 当初5年間、年0.75%の引き下げ
ZEHなど住宅の性能による引き下げと組み合わせると、ポイントの合計で引き下げの幅と期間が決まります。機構の案内では、夫婦と子ども1人でZEHの住宅を買う場合、当初5年間の金利が年1.0%下がる例が示されています。新しく借りる場合に加えて、フラット35への借り換えでも使えます。
子育てプラスには予算があり、予算に達する見込みになると受付を終えます。終了日は、約3週間前までに機構のサイトで知らされます。
引き下げは当初の期間だけで、その後は元の金利に戻ります。6年目以降の返済額も含めて、返していけるかを確かめておきます。
国の住宅取得の補助制度
国は、省エネ性能の高い住宅を新築するときに、補助金を出す事業を行っています。2026年度は「みらいエコ住宅2026事業」(国土交通省・環境省)です。
| 住宅の種類 | 対象の世帯 | 補助額(1戸) |
|---|---|---|
| GX志向型住宅 | すべての世帯 | 110万円(寒冷地は125万円) |
| 長期優良住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 | 75万円(寒冷地は80万円) |
| ZEH水準住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯 | 35万円(寒冷地は40万円) |
※寒冷地は建築物省エネ法の1〜4地域。新築にあわせて建て主(親族を含む)が持つ古い家を取り壊す場合は、長期優良住宅とZEH水準住宅に20万円の加算がある。
子育て世帯は2025年4月1日時点で18歳未満の子どもがいる世帯、若者夫婦世帯は同じ日に夫婦のどちらかが39歳以下の世帯です(2026年3月末までに着工した場合は2024年4月1日時点)。床面積50㎡以上240㎡以下で、2025年11月28日以降に基礎工事に着手した住宅が対象です。
申請は家を買う人ではなく、事業に登録した住宅会社などが行い、登録のない会社との契約は補助の対象外です。
受付は2026年12月31日までですが、予算の上限に達した時点で終わります。注文住宅でZEH水準住宅を建てる場合の受付は、2026年9月30日で終わりました。前の年度の「子育てグリーン住宅支援事業」では、GX志向型住宅の枠が予算の上限に達して受付を終えています。
家を探し始めたら、公式サイトで受付の状況を確かめ、契約の前に、補助の対象になる物件か、住宅会社が登録事業者かを確かめておきます。
出典: 国土交通省 住宅の省エネ化への支援強化に関する予算案を閣議決定!(令和7年11月28日) 出典: 国土交通省・環境省 みらいエコ住宅2026事業【公式】 出典: みらいエコ住宅2026事業 注文住宅の新築(対象要件) 出典: 国土交通省 子育てグリーン住宅支援事業【公式】
自治体の子育て世帯向けの住宅支援
国の制度とは別に、自治体が独自に子育て世帯の住宅取得を支援していることがあります。
たとえば千葉県船橋市は、令和8年度の「親世帯・子育て世帯近居同居支援事業」で、親世帯と子育て世帯が市内で近く(同じ小学校区か、直線で1.2km以内)に住むか同居するために住宅を建てたり買ったりした場合に、10万円を助成しています。18歳以下の子どもが同居していること、親世帯か子育て世帯が市内に1年以上住んでいることなどが条件です。
押さえておきたいのは、住宅の契約を結ぶ前に市へ届出を出すことが条件になっている点です。物件を決めてから制度に気づいても、間に合わないことがあります。
自治体の制度は、その自治体に住む人や、これから住む人が対象です。予算や受付の期間が決まっているものも多いので、引っ越し先の候補が決まったら、契約の前に調べておきます。
調べるときは、自治体の公式ホームページで「子育て 住宅 補助」などと検索するか、住宅や子育ての窓口に問い合わせます。
出典: 船橋市 令和8年度親世帯・子育て世帯近居同居支援事業について
まとめ:子育てで戸建てに移るなら子育て後の20〜30年まで見て選ぶ
戸建てに移ると、下の階への気遣いは消え、部屋と収納も増やしやすくなります。その一方で、防犯、階段や駐車場での事故、通勤や送迎の距離、子どもが独立した後の広さと建物の価値は、家族で引き受けることになります。子育ての十数年だけで選ばず、その後の20〜30年も合う立地と広さを選ぶことが、後悔を減らすいちばんの近道です。
次の一歩は、移る時期を子どもの入園や入学から逆算し、引っ越し先の自治体で保育園の申込み方法と、小学校の名簿が作られる10月1日の時期を確かめることです。ここを飛ばすと、保育園の調整で後回しにされたり、入学の直前に転校が重なったりしやすくなります。
制度は年度ごとに変わり、補助金や金利の引き下げは予算で受付が終わります。契約の前に、住宅ローン控除の対象になる性能、フラット35子育てプラスと補助事業の受付状況、自治体の事前届出の有無を確かめておきましょう。住み替えのトビラでは、子育て世帯がマンションから戸建てに移るときの判断と時期、使える制度も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
住み替えのトビラ 
