戸建てに移れば、毎月の管理費と修繕積立金がなくなり、家計が楽になりそうに見えます。けれども、光熱費や税金、保険料、そして家の修繕のお金はどう変わるのでしょうか。
新築の一戸建てに30年以上住んだ人の修繕費は平均554.0万円で、9割以上の人がその分を積み立てていなかったという調査があります。維持費の差は毎月の支払いではなく30年の合計で比べ、管理費と修繕積立金がなくなった分を修繕費として積み立てると、戸建ての家計は安定します。
この記事では、国の調査と制度をもとに、変わる維持費の項目、修繕費の目安と積み立て方、光熱費と通信費、固定資産税と保険料の仕組み、維持費を抑える方法を順に見ていきます。
マンションから戸建てに移ると変わる維持費の項目
マンションから戸建てに移ると、維持費は「なくなる費用」「新しく増える費用」「金額が変わる費用」の3つに分かれます。
| 分類 | 主な項目 |
|---|---|
| なくなる費用 | 管理費・修繕積立金・マンションの駐車場使用料 |
| 新しく増える費用 | 修繕費の積立・庭や外回りの手入れ・町内会費・地域によって浄化槽の点検など |
| 金額が変わる費用 | 光熱費・固定資産税・火災保険と地震保険・インターネット |
毎月の支払いは減ったように見えても、修繕費を自分で積み立てるかどうかで、長い目で見た負担は大きく変わります。
なくなる費用(管理費・修繕積立金・駐車場代)
戸建てに移ると、マンションで毎月払っていた管理費と修繕積立金がなくなります。国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、1戸あたりの月額の平均は次のとおりです。
| 項目 | 駐車場使用料などからの充当額を除く平均 | 充当額を含む平均 |
|---|---|---|
| 管理費 | 11,503円 | 17,103円 |
| 修繕積立金 | 13,054円 | 13,378円 |
「充当額」は、管理組合が駐車場使用料などの収入を管理費や修繕積立金に回している分です。住民が毎月払う額に近いのは充当額を除く平均で、2つを足すと月2万4,557円になります。管理費の平均は、単棟型で11,580円、団地型で10,394円(いずれも充当額を除く)と、マンションの形でも違います。
車を持っている家庭は、マンションの駐車場使用料もなくなります。駐車場使用料は物件ごとに決まるので、自分の明細で金額を確かめます。
ただし、なくなるのは「毎月決まって払うお金」です。国が示す管理規約の見本(標準管理規約)では、管理費は共用設備の保守、清掃、共用部分の火災保険料や地震保険料などに使われます。こうした手入れと修繕への備えは、戸建てでは自分で受け持つことになります。まずは、今のマンションで払っている3つの金額を、明細で確かめておきます。
出典: 国土交通省 令和5年度マンション総合調査結果〔概要編〕 出典: 国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型・令和7年改正)第27条
新しく増える費用(修繕費・外回り・地域の費用)
戸建てで新しく増える費用の中心は、建物の修繕費です。外壁や屋根、給湯器などは、年数がたつと修繕や交換が必要になり、その費用は自分で用意します。
次に、外回りの費用です。庭の草取りや植木の手入れ、駐車場やフェンスなどの外構の補修は、マンションでは管理会社が受け持っていた作業です。
地域によって増える費用もあります。
- 町内会費・自治会費
- 下水道が通っていない地域では、浄化槽の保守点検・清掃・水質検査の費用
- 私道に面した家では、私道の補修の負担
- 雪の多い地域では、除雪の費用
浄化槽は、浄化槽法で、持ち主などの管理者が毎年1回(省令で定める場合はその回数)の保守点検と清掃を行い、毎年1回、指定検査機関の水質検査を受けることになっています。下水道か浄化槽かで、毎年の費用が変わります。
物件を選ぶときに、どの費用がかかる地域かを不動産会社に確かめておくと、住んでから慌てずに済みます。
出典: e-Gov法令検索 浄化槽法(第10条 保守点検及び清掃・第11条 定期検査)
金額が変わる費用(光熱費・税金・保険料・通信費)
マンションでも戸建てでもかかるものの、金額が変わる費用もあります。
1つ目は光熱費です。戸建ては外気に触れる面が多く、冷暖房に使うエネルギーが増えやすくなります。
2つ目は固定資産税です。戸建ては敷地を1軒で持つので土地の税額が増えやすい一方、木造の建物は評価が早く下がります。
3つ目は保険料です。マンションでは共用部分の保険を管理組合が掛け、その保険料は管理費から払われています。戸建てでは建物全体に自分で火災保険と地震保険を掛けます。建物の構造でも保険料が変わります。
4つ目はインターネットです。マンションで全戸一括の契約だった場合、戸建てでは自分で契約することになります。
それぞれの仕組みは、後の章で詳しく見ていきます。
30年の合計で比べる手順
マンションと戸建ての維持費は、毎月の支払いではなく、30年などの長い期間の合計で比べます。戸建ての修繕費は、毎月ではなく、10年や15年ごとにまとまって出ていくからです。
比べる手順は次のとおりです。
- マンションの毎月の費用(管理費・修繕積立金・駐車場使用料)を12倍し、30倍する
- 戸建てで毎月増える費用(光熱費の増加分・インターネット・町内会費など)を12倍し、30倍する
- 2に、戸建ての30年間の修繕費の見込みを足す
- 固定資産税と保険料の30年間の差を、増えるほうに足す
仮の数字で計算してみます(すべて仮定の値です)。
- マンション:管理費・修繕積立金・駐車場使用料が月3万5,000円 → 3万5,000円×12か月×30年=1,260万円
- 戸建て:修繕費の見込みが30年で500万円、光熱費などの増加が月6,000円 → 500万円+6,000円×12か月×30年(216万円)=716万円
- 差:1,260万円−716万円=544万円(この例ではマンションのほうが多い)
光熱費の増加を月6,000円としたのは、環境省の調査で戸建てと集合住宅の光熱費の差が年7.3万円(月にならすと約6,100円)だったことに近い値を置いたためです。自分の家庭では、次の式に置き換えます。
マンションの30年=毎月の管理費・修繕積立金・駐車場使用料×12×30
戸建ての30年=修繕費の見込み+戸建てで毎月増える費用×12×30+固定資産税と保険料の30年の差
固定資産税は納税通知書、保険料は保険会社の見積もりで、実際の金額を確かめて入れます。維持費のほかに、住み心地や売りやすさも含めてマンションと戸建てを比べたい場合は、次の記事で整理しています。
戸建ての修繕費の目安と積み立て方
戸建ての維持費でいちばん大きいのが修繕費です。マンションのように毎月決まった額を払う仕組みがないので、いつ、いくらかかるかを知り、自分で積み立てることが大切です。
築年数ごとに必要になる修繕
戸建ての修繕は、築年数に応じておおよその時期があります。
| 築年数の目安 | 主な修繕 |
|---|---|
| 10年前後から | シロアリの防除・給湯器の交換・外壁の継ぎ目(シーリング)の補修 |
| 15〜20年ごろから | 外壁と屋根の塗装・トイレなど水まわりの設備の交換 |
| 25〜30年ごろ以降 | 屋根の葺き替え・外壁の張り替え・配管の交換 |
表の時期は、国が一律に決めた年数ではなく、目安です。使っている材料や地域の気候、住み方によって前後します。たとえば、外壁の塗装の周期は塗料の種類で変わります。
新築の場合は、住宅会社が定期点検の時期と内容を決めていることが多いので、その点検の結果を見ながら修繕の時期を判断します。長期優良住宅の認定を受ける家は、構造や設備の点検の時期と内容を計画に定めることが、認定の基準になっています。点検の記録は、将来売るときにも役立つので、保管しておきます。
出典: e-Gov法令検索 長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行規則(第5条 維持保全の方法の基準)
30年でかかった修繕費の実績
戸建ての修繕費が実際にどれくらいかかったかは、住んでいる人への調査で分かります。
注目したいのは、修繕費を積み立てていない人が9割以上だったことです。積み立てていない人が修繕に充てたお金(充てる予定を含む)は、「日常の生活費の中から捻出」が45.9%で最も多くなっていました。
同じ調査では、3人に1人が修繕費の高騰や資材不足の影響を受け、その内容は「見送った」が46.3%で最も多くなっています。また、住宅を買うときに修繕について不動産会社から説明を受けていない人が81.7%いました。修繕の時期と費用の目安は、買う前に自分から聞いておくと安心です。
戸建てに移って管理費や修繕積立金がなくなると、その分を毎月の生活に使ってしまいがちです。修繕費は、マンションと同じように積み立てておくほうが、家計は安定します。
毎月の積立額の決め方
毎月の積立額は、30年間の修繕費の見込みを月数で割って決めます。
毎月の積立額=30年間の修繕費の見込み÷360か月
たとえば、30年で500万円かかると仮定すると、500万円÷360か月で月に約1万3,900円です。上の調査の平均554.0万円をあてはめると、月に約1万5,400円になります。マンションの修繕積立金の平均(充当額を除いて月13,054円)と同じくらいの金額を、戸建てでも積み立てておくイメージです。
見込みの立て方は、次の2つです。
- 新築なら、住宅会社の点検・修繕の計画や、上の実績を目安にする
- 中古なら、これまでの修繕の記録と建物の状態から、残りの修繕を見積もる
積み立てる口座は、生活費と分けておきます。修繕の時期が近づいたら、複数の業者から見積もりを取り、積立額と比べて足りるかを確かめます。
中古戸建ては修繕の履歴で費用が変わる
中古の戸建てを買う場合は、前の持ち主がどこまで修繕してきたかで、これからの修繕費が大きく変わります。
たとえば、築20年の戸建てでも、外壁と屋根を最近塗り直していれば、しばらくは大きな修繕が要らないことがあります。反対に、一度も修繕していなければ、買ってすぐに大きな工事が必要になることもあります。
買う前に、売主に修繕の履歴(いつ、どこを、どう直したか)を確かめます。あわせて、建物状況調査(インスペクション)を使うと、国の講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)に、建物の劣化や不具合の状態を見てもらえます。調べるのは、基礎や柱などの骨組み(構造耐力上主要な部分)と、屋根・外壁・開口部など雨水の入りを防ぐ部分です。給湯器などの設備の寿命は、別に確かめます。
修繕が近い物件なら、その費用を見込んで価格の交渉をしたり、購入の予算に入れたりしておきます。
出典: 国土交通省 既存住宅状況調査、既存住宅瑕疵保険関係資料(令和5年9月版)
光熱費と通信費がマンションと戸建てで変わる理由
光熱費は、戸建てに移ると上がりやすい費用です。上がり幅は、家の性能や広さ、使うガスの種類で変わります。通信費も、マンションの契約の形によって変わります。
外気に触れる面が多く冷暖房費が増える
戸建ての光熱費が上がりやすい一番の理由は、外気に触れる面の多さです。
マンションの住戸は、上下や左右を別の住戸に囲まれていて、外気に触れるのは主に窓のある面です。周りの住戸が、断熱材のような役目を果たしています。
戸建ては、屋根、床、4方向の壁のすべてが外気に触れます。そのため、夏は屋根や壁から熱が入り、冬は家の熱が逃げやすく、冷暖房に使うエネルギーが増えます。
環境省の家庭部門のCO2排出実態統計調査(令和5年度・令和5年4月〜令和6年3月)では、建て方別の世帯あたりの年間の数値は次のとおりです。
| 項目 | 戸建住宅 | 集合住宅 |
|---|---|---|
| エネルギー消費量 | 34.3GJ | 20.2GJ |
| CO2排出量 | 3.09トン | 1.74トン |
| 光熱費(電気・ガス・灯油の支払額) | 20.8万円 | 13.5万円 |
エネルギー消費量は約1.7倍、CO2排出量は約1.8倍で、光熱費は年7.3万円多くなっています。家族の人数や家の広さの違いも含んだ平均ですが、戸建てでは光熱費が増える前提で家計を考えておくと安心です。この調査は隔年の実施になり、令和6年度は行われていないため、令和5年度が最新の結果です。
出典: 環境省 令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 結果について(確報値) 出典: 環境省 令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 資料編(確報値) 出典: 環境省 家庭部門のCO2排出実態統計調査
家の断熱性能と広さで差が出る
同じ戸建てでも、光熱費は家の断熱性能によって大きく変わります。
断熱性能が高い家は、外の暑さや寒さが伝わりにくく、少ないエネルギーで快適な温度を保てます。2025年4月以降に工事に着手する新築は、省エネ基準への適合が義務になりました。中古の戸建ては、建てられた時期の基準で性能が違います。環境省の同じ調査でも、二重サッシか複層ガラスがすべての窓にある住宅は、1991〜2000年に建てた住宅で18%、2021年以降に建てた住宅で63%でした(戸建てと集合を合わせた数値)。
窓も大切です。経済産業省のエネルギー教育の教材では、平成4年の省エネ基準で建てた住宅のモデルで、冬の暖房時に開口部から逃げる熱が58%、夏の冷房時に開口部から入る熱が73%という例を示しています。複層ガラスや断熱性の高いサッシの窓かどうかで、冷暖房費が変わります。
家の広さも光熱費に影響します。部屋が増えるほど、冷暖房をする場所が増えるからです。
物件を見るときは、断熱の等級や窓の種類を確かめ、前の住人の光熱費が分かれば参考にします。冬の寒さや光熱費の上がり方など、マンションから戸建てに移って後悔しやすい点と防ぎ方は、次の記事で解説しています。
出典: 国土交通省 2025年4月からルールを改正します(全ての新築で省エネ基準適合を義務化) 出典: 環境省 令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 結果について(確報値) 出典: 経済産業省 エネルギー教育教材(住宅の開口部からの熱の出入り)
都市ガスとプロパンガスの違い
戸建てに移るときに見落としやすいのが、ガスの種類です。
マンションの多くは都市ガスですが、戸建ての地域によっては都市ガスが来ておらず、プロパンガス(LPガス)を使うことになります。
環境省の令和5年度の調査では、全国平均の熱量あたりの支払額は、都市ガスが1MJあたり4.28円、LPガスが8.71円で、LPガスは約2倍でした。LPガスの料金は販売する会社ごとに違うので、同じ地域でも差が出ます。
LPガスの取引は、液石法の省令改正で見直されています。
- 2024年7月2日から:LPガス会社が設備の無償貸与や紹介料などで過大な営業をすることを制限。賃貸住宅では、入居前に料金表などの情報を示す仕組みを法定化
- 2025年4月2日から:請求を「基本料金」「従量料金」「設備料金」の3つに分けて示す三部料金制を徹底し、ガスと関係のない設備の費用をガス料金に入れることを禁止
物件を選ぶときは、都市ガスかプロパンガスかを確かめます。プロパンガスの場合は、ガス会社と料金表を事前に確かめ、請求の内訳に設備料金が入っていないかも見ておきます。
オール電化の家なら、ガス代はなくなりますが、その分電気代が増えます。電気の料金プランも、あわせて比べておきます。
出典: 環境省 令和5年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査 結果について(確報値) 出典: 国土交通省 LPガスの商慣行是正に向けた制度見直しについて 出典: 消費者庁 賃貸住宅のLPガス料金 賃貸借契約の前に確認しましょう
インターネットはマンション一括から個別契約へ
マンションによっては、インターネットが全戸一括で契約されていて、管理費の中に料金が含まれていることがあります。
戸建てに移ると、インターネットは自分で契約することになります。戸建てでは契約の形が変わり、開通の工事が要ることもあるので、月額と工事費を事業者の公式の料金表で比べます。
今のマンションで、インターネットが管理費に含まれているかを確かめておきます。含まれている場合は、戸建てに移ると、その分の通信費が新しく増えると考えます。
携帯電話の会社とまとめて契約すると割引がある場合もあるので、引っ越しの前に比べておきます。
固定資産税と保険料がマンションと戸建てで変わる仕組み
固定資産税と保険料は、マンションと戸建てで仕組みが違います。どちらが高くなるかは、建物の構造と土地の広さで決まります。
建物の固定資産税は木造のほうが早く下がる
固定資産税は、土地と建物それぞれにかかります。建物の評価額は、同じ建物をその時点で建て直す費用(再建築価格)に、年数に応じて下がる率(経年減点補正率)を掛けて計算します。
下がり方は、建物の構造で違います。総務省の固定資産評価基準では、木造の専用住宅は、造りの程度(1㎡あたりの評点)に応じて、15年・20年・25年・35年のいずれかで下限の0.20に達します。鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の住宅は、下限の0.20に達するまで60年かかります。マンションの多くは鉄筋コンクリート造なので、建物の評価はゆっくり下がります。
つまり、木造の戸建ては、年数がたつと建物の固定資産税が下がりやすい家です。ただし、再建築価格は3年ごとの評価替えで、その時点の建築費をもとに見直されます。建築費が上がった時期は、年数による下がり方が打ち消され、税額があまり下がらない年もあります。
評価が下がる仕組みは、建物の価値が下がることと表裏の関係です。税金が安くなる一方で、売るときの建物の値段も低くなりやすい点は、あわせて知っておきます。
出典: 総務省 固定資産評価基準 第2章 家屋(別表第9 木造家屋経年減点補正率基準表・別表第13 非木造家屋経年減点補正率基準表) 出典: 総務省 固定資産税の概要
土地の固定資産税は戸建てのほうが増えやすい
土地の固定資産税は、戸建てのほうが増えやすくなります。
マンションでは、敷地を住戸の数で分け合っているので、1戸あたりの土地の持分は小さくなります。戸建ては敷地を1軒で持つので、土地の評価額が大きくなりやすいのです。
住宅が建っている土地には、税金を軽くする特例があります。
- 住宅1戸あたり200㎡までの部分(小規模住宅用地):課税の計算に使う額が6分の1
- 200㎡を超える部分:課税の計算に使う額が3分の1
マンションは、敷地の面積を住戸の数で割って200㎡以下かどうかを判定するので、敷地の多くが6分の1の対象になります。戸建てで敷地が200㎡を超えると、超えた部分は3分の1になります。
戸建ての税額は、土地の広さと場所によって大きく変わります。同じ価格の物件でも、土地が広く建物が古い戸建てと、土地の持分が小さいマンションでは、税額の中身が違います。
買う前に、売主や不動産会社に、今の固定資産税の額(納税通知書の金額)を確かめておきます。
出典: e-Gov法令検索 地方税法(第349条の3の2 住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例)
新築の減額は戸建て3年・マンション5年
新築の住宅には、建物の固定資産税を一定期間、半分にする減額の制度があります。
| 住宅の種類 | 減額の期間 |
|---|---|
| 一般の住宅(多くの戸建て) | 3年度分 |
| 中高層耐火建築物(地上3階以上の耐火・準耐火建築物。多くのマンション) | 5年度分 |
| 認定長期優良住宅(一般) | 5年度分 |
| 認定長期優良住宅(中高層耐火建築物) | 7年度分 |
減額されるのは、床面積120㎡までの部分の建物の税額です。土地の税額は、この減額とは別の住宅用地の特例で計算されます。今の条文では、2031年(令和13年)3月31日までに新築された住宅が対象です。
長期優良住宅の減額は、新築された日から、課税が始まる年度の初日の属する年の1月31日までに、市町村へ申告書を出すことが条件です。申告の時期を、住宅会社と確かめておきます。
注意したいのは、減額の期間が終わった年度に、建物の税額が上がることです。一般の新築の戸建てでは、4年度目から税額が増えて驚くことがあります。
出典: e-Gov法令検索 地方税法(附則第15条の6 新築された住宅に対する固定資産税の減額・附則第15条の7 新築された認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額) 出典: e-Gov法令検索 地方税法施行令(附則第12条)
火災保険と地震保険は構造で保険料が変わる
戸建てに移ると、火災保険と地震保険の掛け方も変わります。
マンションでは、標準管理規約で、共用部分の火災保険や地震保険は管理組合が契約し、保険料は管理費から払う形になっています。自分で掛けるのは、住戸の中(専有部分)と家財の保険です。戸建てでは、建物全体に自分で保険を掛けます。
火災保険の保険料のもとになる参考純率(損害保険料率算出機構が算出)は、コンクリート造のマンション、鉄骨造の戸建て、木造の建物のように建物の構造で区分が分かれ、燃え広がり方や壊れやすさのリスクに応じて料率が違います。所在地による区分もあります。
地震保険は、主に鉄骨・コンクリート造の「イ構造」と、主に木造の「ロ構造」で保険料が分かれます。保険金額1,000万円あたり1年の基本料率は、東京都でイ構造が27,500円、ロ構造が41,100円です。
木造でも、耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火建物などにあたる家は、地震保険でイ構造になります。火災保険でも構造の区分が変わることがあるので、物件を選ぶときに構造の種類を確かめ、保険会社の見積もりで比べます。
出典: 国土交通省 マンション標準管理規約(単棟型・令和7年改正)第24条・第27条 出典: 損害保険料率算出機構 火災保険参考純率 出典: 財務省 地震保険の基本料率(令和4年10月1日以降保険始期の地震保険契約)
戸建ての維持費を抑える方法
戸建ての維持費は、家を選ぶ段階と、住んでからの手入れで抑えられます。ここでは、4つの方法を見ていきます。
塗り替えの周期が長い外壁材と屋根材を選ぶ
戸建ての修繕費で大きいのは、外壁と屋根です。使っている材料によって、塗り替えや張り替えの周期が変わります。
外壁では、塗装が長持ちする塗料を使っているか、塗装の手間が少ない材料かで、修繕の回数が変わります。屋根も、材料によって塗装が必要な周期や、葺き替えまでの年数が違います。
新築を選ぶときは、住宅会社に、外壁と屋根の材料と、塗り替えの目安の時期を確かめます。初めの価格が少し高くても、修繕の回数が減れば、30年の合計で安くなることがあります。
中古の場合は、外壁や屋根の材料と、最後に塗り替えた時期を確かめておきます。
断熱性能の高い家を選ぶ
光熱費を抑えるには、断熱性能の高い家を選ぶのが近道です。
断熱性能の高い家は、冷暖房にかかるエネルギーが少なくて済み、毎月の光熱費を抑えられます。夏の暑さや冬の寒さも和らぐので、暮らしやすさも上がります。
新築なら、省エネ基準より高い性能の住宅(ZEH水準など)を選ぶと、光熱費を抑えやすくなります。2026年度は、省エネ性能の高い住宅の新築に「みらいエコ住宅2026事業」(国土交通省・環境省)の補助があり、対象の世帯や住宅の条件は公式サイトで確かめます。
中古なら、窓を断熱性の高いものに替えるリフォームで、光熱費を下げられます。2026年度は「先進的窓リノベ2026事業」(環境省)で、高断熱窓の設置に1戸あたり最大100万円の補助があります。受付期間や予算の状況は公式の案内で確かめ、自治体の補助もあわせて調べておきます。
出典: 国土交通省 住宅省エネキャンペーンにおける3省連携(先進的窓リノベ2026事業ほか) 出典: 国土交通省・環境省 みらいエコ住宅2026事業【公式】
点検を早めにして大きな修繕を防ぐ
戸建ての修繕費を抑えるには、小さな傷みのうちに直すことが大切です。
外壁のひび割れや継ぎ目の劣化を放っておくと、そこから雨水が入り、建物の中の木材が傷みます。シロアリの被害も、見つけるのが遅れると、柱や土台の交換が必要になることがあります。早めに直せば小さく済む工事が、放っておくと大きな工事になることもあります。
住宅会社の定期点検を受け、自分でも年に1回は家の周りを見て回ります。
一方で、「近所で工事をしている」「無料で点検する」と訪ねてきた業者に、高額な屋根工事を契約させられる被害も起きています。国民生活センターによると、屋根工事の点検商法の相談は2018年度の923件から2022年度は2,885件に増え、契約した人の8割超が60歳以上でした。
国民生活センターは、次のように呼びかけています。
- 突然訪問してきた業者からの点検の申し出は、その場で断る
- 屋根工事はすぐに契約せず、十分に検討してから決める
- 保険金を利用できるという勧誘に気をつける
- 少しでも不安を感じたら、消費者ホットライン「188」で消費生活センターに相談する
訪問販売で契約した工事は、契約の書面を受け取った日から8日以内なら、クーリング・オフで申込みの撤回や契約の解除ができる場合があります。点検の結果は、その場で契約せず、別の業者の見積もりと比べてから決めます。
出典: 国民生活センター 屋根工事の点検商法のトラブルが増えています 出典: e-Gov法令検索 特定商取引に関する法律(第9条 訪問販売における契約の申込みの撤回等)
外壁と屋根の工事をまとめる
外壁と屋根の工事は、まとめて行うと費用を抑えられます。
外壁や屋根の工事では、家の周りに足場を組みます。外壁と屋根を別々に工事すると、そのたびに足場代がかかります。同じ時期にまとめれば、足場は1回で済みます。
雨どいやベランダの防水など、足場があるとやりやすい工事も、あわせて行うと効率的です。
そのためには、外壁と屋根の修繕の時期を、あらかじめ計画しておくことが大切です。塗料の周期をそろえておくと、次の工事もまとめやすくなります。
まとめ:戸建ての維持費は管理費がなくなった分の積み立てで決まる
マンションから戸建てに移ると、毎月決まって払う管理費と修繕積立金がなくなる代わりに、修繕費を自分で用意する仕組みに変わります。新築の一戸建てに30年以上住んだ人の修繕費は平均554.0万円で、30年で割ると月1万5,000円前後になり、マンションの修繕積立金の平均(月13,054円)に近い水準です。
次の一歩は、今のマンションの管理費・修繕積立金・駐車場使用料の明細と、候補の戸建ての修繕の履歴、ガスの種類、固定資産税の額を並べて、30年の合計を出すことです。この比べ方を飛ばすと、外壁や屋根の工事の時期に、数百万円を生活費から出す家計になりやすくなります。
物件を見るときは、断熱性能と窓、都市ガスかプロパンガスか、建物の構造を確かめ、修繕の見積もりは複数の業者から取ります。住み替えのトビラでは、マンションから戸建てに移るときの修繕費・光熱費・固定資産税・保険料の違いも含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
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