引き渡しの日が近づくと、期限のある手続きが前後に立て込みます。
抜けを防ぐには、確かめることを段階ごとに分けると、どこまで済んだのかが分かります。
資金の計画から入居後の税の手続きまで、5つの区切りごとに確かめることを説明します。
住み替えチェックリストの全体像と5つの段階
住み替え(買い替え)は「今のマンションの売却」と「新居の購入」というふたつの流れを同時に回すため、準備・資金計画から入居後の税手続きまでを段階で区切って管理すると、抜けが起きにくくなります。
住み替えでつまずく多くは、段階そのものの難しさより、順番の取り違えや期限の見落としから起こります。とくに資金計画とスケジュールは、後の段階すべてに影響します。この記事は、住み替えの全体を通した抜け漏れ防止マップです。各段階でやること・確認することは、以下の5つの段階に沿って、それぞれの章に確認項目として並べています。
- 第1段階:資金計画と方針(売り先行か買い先行か)を固める
- 第2段階:売却と購入の段取りを並行で進める
- 第3段階:売買契約・決済・引き渡しを済ませる
- 第4段階:引っ越しと役所・ライフラインの手続きをする
- 第5段階:入居後に税金・確定申告の手続きをする
この5つの段階は、売り先行を基本の時系列にした流れです。買い先行や、売却と購入の決済日をそろえる同時決済を選ぶと、動く順番や重心は変わりますが、確認する項目そのものは共通します。まずはこの5段階を骨組みとして押さえておけば、どの進め方でも抜けを防げます。
住み替え前に固める資金計画と方針のチェックリスト
住み替えで最初に固めるべきは「資金計画」と「売り先行・買い先行の方針」で、ここが崩れると後の段階がすべてずれてしまいます。
いくら用意でき、いくら足りないのかが分からないまま物件を探し始めると、気に入った家が見つかっても資金が届かなかったり、家が売れる前に二重の返済を抱えたりします。この章では、住み替えの土台になるお金の確認項目と、進め方の方針をどう選ぶかを整理します。
住み替えの資金計画で最初に確認する項目
住み替えの資金は「今の家でローンを完済できるか」「新居の頭金を用意できるか」「一時的に二重の返済に耐えられるか」の3点を、まず押さえます。
最初に確認したいのは、次の項目です。
- 住宅ローンの残債(いま残っている借入額)
- 今のマンションの査定額の目安(いくらで売れそうか)
- 残債と査定額の差(売却額でローンを返しきれるか)
- 新居の頭金・自己資金として出せる額
- 売買にかかる諸費用の見込み
- ダブルローンやつなぎ融資が使えるか
- 売れるまで払い続ける管理費・修繕積立金・固定資産税(買い先行の場合)
このなかで住み替えの進め方を大きく左右するのが、残債と査定額の差です。査定額が残債を上回れば、売却代金でローンを返しきれます(アンダーローン)。逆に、査定額が残債に届かなければ、売っても借入が残ります(オーバーローン)。オーバーローンの場合は、不足分を自己資金で埋めるか、残った借入と新居の借入をまとめて借りる住み替えローンを使うといった方法になり、使えるローンや段取りが変わってきます。住み替えローンの詳しい条件や審査は個別性が高いため、ここでは「そういう選択肢がある」ことの確認までにとどめます。
ここで、マンションならではの利点があります。マンションは、戸建てに比べて相場を読みやすい住まいです。理由は2つあります。1つは、一戸ごとの個別性が戸建てより小さいことです。同じ棟の別の部屋や、近隣の似た条件のマンションが、そのまま価格の物差しになります。もう1つは、取引事例が多いことです。東日本レインズによれば、首都圏の中古マンションの成約件数は2025年の1年間で49,114件でした。同じマンションの別の部屋が最近いくらで売れたかが分かれば、売却見込み額の当たりを自分でも付けやすくなります。残債と売却見込みの差を早い段階でつかめるため、資金計画の精度を上げやすいのは、マンションから住み替える人の強みといえます。
ただし、各社の査定額が実際にどれだけ近い値に収まるかを集計した公的・業界団体の統計はありません。査定額を集計する主体が存在しないためです。金額そのものより、その額をどの成約事例から出したかを各社に説明させてください。
諸費用も見落としやすい項目です。売却側と購入側では数えている費目が違うため、「◯%」で一括りにせず、別々に見積もってください。
売却側で額が確定する費目を積むと、売却価格1,000万円で42.05万円(対売却価格4.21%)、3,000万円で108.55万円(同3.62%)、5,000万円で174.55万円(同3.49%)です。内訳は媒介報酬の上限+印紙税(軽減後)+抵当権抹消の登録免許税(不動産2個=2,000円)+抵当権抹消の司法書士報酬(17,470円)です。価格が上がるほど比率が下がるのは、媒介報酬に実質+6.6万円の定額部分があり、印紙税が階段状の定額であるためです。引っ越し費用・ハウスクリーニング・譲渡所得税等は含んでいません。
購入側で売買価格から額が確定するのは、媒介報酬の上限・印紙税・所有権移転登記の司法書士報酬・抵当権設定登記の司法書士報酬の4つです。積み上げると売買価格3,000万円で116.54万円(3.88%)、4,000万円で149.54万円(3.74%)で、売却側と同じく価格が上がるほど比率は下がります。売却側の比率と購入側の比率は数えている費目が違うため、足して「総額◯%」にはできません。
購入側にはこのほかに登録免許税と不動産取得税、住宅ローンの事務手数料が乗ります。登録免許税と不動産取得税は固定資産税評価額を課税のもとにするため、売買価格からは確定しません。「不動産取得税は物件価格の3%」ではない点にご注意ください。評価額は固定資産税の課税明細書か、仲介する不動産会社で確認できます。内訳と算式は費用の専門記事で確かめてください。
なお諸費用が価格の何%になるかを集計した公的統計・業界団体統計はありません。 上の比率は法定・実費の費目だけを積んだ計算です。この分を頭金の計算から抜くと、後で資金が足りなくなります。
出典: 国土交通省告示第1552号 第二 / 国税庁タックスアンサーNo.7108 / 登録免許税法 別表第一 一(十五) / 日本司法書士会連合会「報酬に関するアンケート」(令和6年3月実施)
ダブルローンは、この段階では「返済に耐えられるかどうか」の判断材料として押さえておきます。今の家のローンが残ったまま新居のローンが始まると、一時的に返済が二重になる期間が生まれ得ます。買い先行を選ぶ場合は、この二重返済に加えて、旧居のマンションが売れるまで管理費・修繕積立金・固定資産税を払い続ける点も、資金余力に織り込んでおきます。その期間をどう詰めるかという日程の調整は後の段取り章で扱うので、ここでは「二重の負担に耐えられる資金余力があるか」を見ておけば十分です。資金計画に不安があるときは、ファイナンシャルプランナー(FP)に家計全体を見てもらう方法もあります。
売り先行・買い先行のどちらで進めるかの判断
資金に余裕があるか、仮住まいを避けたいかによって、売り先行と買い先行のどちらが向くかが分かれます。
売り先行は、今のマンションを売ってから新居を買う進め方です。売却代金が先に手元に入るため資金計画が立てやすく、二重ローンのリスクも小さくなります。ただし、新居が決まる前に今の家を引き渡すと、一時的な仮住まいが必要になることがあります。買い先行は、新居を決めてから今のマンションを売る進め方です。仮住まいを避けやすく、じっくり新居を選べる一方、今の家が売れるまで二重の負担を抱えたり、早く売ろうとして値下げを迫られたりするリスクがあります。
| 観点 | 売り先行 | 買い先行 |
|---|---|---|
| 資金の安心度 | 高い(売却代金が先に入る) | 低い(売れるまで資金が読みにくい) |
| 仮住まいの有無 | 生じやすい | 避けやすい |
| 売り急ぎのリスク | 小さい | 大きい(早く売りたくなる) |
| ダブルローンのリスク | 小さい | 大きい |
理想は、今の家の引き渡しと新居への入居を同じ日に合わせる同時決済です。仮住まいも二重ローンも避けられますが、売主・買主の双方の都合をそろえる調整が要るため、いつも実現できるとは限りません。同時決済を狙うかどうかは、ここでは方針を選ぶ材料の一つとして押さえておき、実際の日程の合わせ方は次の段取りの章で扱います。
どちらの方針にするかで、この後にどちらの動きを先に厚く進めるかが変わります。資金に余裕があり安全に進めたいなら売り先行、住みたい家を逃したくないなら買い先行、という向き不向きを踏まえて選んでおきましょう。マンションは相場を読みやすいぶん、この方針の判断に必要な材料をそろえやすい点も覚えておくとよいでしょう。
売却と購入を進める段取りのチェックリスト
方針が決まったら、売却(査定から買主決定まで)と購入(物件探しからローン審査まで)を並行で動かす段階に入ります。
この段階は、住み替えのなかで最もやることが多く、両方を同時に回すため抜けが起きやすいところです。この章では、売却側でやること、購入側でやること、そして両者の日程をどう合わせるかを、それぞれ確認項目として並べます。売り先行なら売却を、買い先行なら購入を先に厚く動かす、という重心の違いはありますが、確認すべき項目自体は共通です。
今の家を売るためにやること
売却は「複数社への査定依頼から媒介契約、売り出し、内覧対応、買主との契約」という順で進みます。
売却側でやることは、次のとおりです。
- 周辺の相場を下調べする(同じマンション・近隣の類似住戸の成約事例)
- 複数社に査定を依頼する
- 媒介契約の種類を確認して結ぶ
- 売り出し価格を決める
- 管理規約・長期修繕計画・重要事項調査報告書などマンションの書類をそろえる
- 管理費・修繕積立金の額と、滞納の有無を確認する
- 内覧に向けて室内を整理する
- 買付(購入の申し込み)や価格交渉に対応する
査定は1社だけだと金額が妥当か判断しにくいため、複数社に依頼して見比べるのが基本です。何社に依頼すべきかを示す一次情報はありません。依頼する社数を増やすほど比べる材料は増えますが、そのぶん各社からの連絡も増えます。自分が対応できる範囲で決めてください。マンションは同じ建物や近隣の似た住戸の成約事例がそろいやすいため、各社に「どの成約事例からその額を出したか」を説明させやすく、根拠のない値付けに気づきやすいのが特徴です。媒介契約には種類があり、依頼できる会社数や報告の頻度などが変わります。売り出し価格は、査定額と相場、そして住み替えのスケジュールを踏まえて決めます。高すぎると売れ残り、安すぎると手元に残るお金が減るため、担当者と相談しながら決めるとよいでしょう。
マンションの売却で戸建てと違うのは、管理に関する書類の準備です。買主は購入前に、管理規約・長期修繕計画・管理費と修繕積立金の額・滞納の有無を確認します。これらは重要事項調査報告書などの形で管理会社から取り寄せますが、発行に日数がかかることもあります。
あわせて、管理費や修繕積立金の滞納は必ず確かめてください。滞納分は原則として部屋を買った人が引き継ぐため、買主から価格の引き下げを求められる理由になります。滞納がある住戸がどれだけ値引きされるかを集計した統計はありませんが、引き継ぐ金額そのものは管理組合に確認すれば分かります。 参考までに、令和5年度のマンション総合調査では月/戸当たりの管理費が11,503円、修繕積立金が13,054円で、合わせて24,557円でした(使用料等からの充当額を除く系統)。滞納が何か月分あるかが分かれば、金額も出せます。
なお、戸建てや土地の売却で必要になる境界の確定・測量・越境の確認・私道負担といった項目は、土地を持つ人向けの手続きで、マンションから住み替える人には基本的に関係が薄い部分です。
新居を買うためにやること
購入は「予算の確定から物件探し、内覧、購入申し込み、住宅ローンの事前審査・本審査」という順で進みます。
購入側でやることは、次のとおりです。
- 予算・エリア・広さなどの条件を整理する
- 物件を見学する
- 購入の申し込みをする
- 住宅ローンの事前審査・本審査を受ける
- 手付金を準備する
購入で軸になるのは、資金計画の章で固めた予算です。予算を先に決めておかないと、物件を見るうちに条件が膨らみ、無理な借入につながります。気に入った物件が見つかったら購入を申し込み、あわせて住宅ローンの事前審査を受けます。事前審査で借入の見込みを確かめてから本審査に進むのが一般的な流れです。
手付金は契約時に必要になるため、自己資金のなかから確保しておきます。
額について、法律が上限を定めているのは宅地建物取引業者が自ら売主となる売買契約の場合だけです。宅地建物取引業法第39条第1項は「宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない」と定めています。中古マンションの多くを占める「個人が売主・不動産会社は媒介」という取引には、この上限は適用されません。
実勢の割合を集計した公的統計・業界団体統計は見当たりません。業界では物件価格の5〜10%と言われますが、法令由来の数字ではありません。実際の額は売主との交渉で決まるため、契約前に不動産会社へ確認し、その時期に用意できる現金と突き合わせてください。
新居もマンションを選ぶ場合は、購入前に管理費・修繕積立金の額や長期修繕計画を確認しておくと、入居後に続く毎月の負担まで見通したうえで判断できます。
売却と購入のスケジュールを合わせる
住み替えで最もつまずきやすいのは、売却と購入の引き渡し日がずれて、二重の負担や仮住まいが発生する点です。
日程のずれで起きやすいのは、次のような場面です。
- 今の家の引き渡しと新居の入居日の調整(同時決済を狙うか)
- 今の家が売れない場合の仮住まいの手配
- 二重ローンになる期間の資金繰り
- 買い替え特約を付けるかどうかの検討
同時決済は、今の家の引き渡しと新居への入居を同じ日にそろえる方法です。うまくいけば仮住まいも二重ローンも避けられますが、双方の決済日や引っ越しの段取りを細かく合わせる必要があります。実際には日がずれることも多く、その場合は短期の仮住まいを手配したり、二重ローンになる期間の返済資金を用意したりして備えます。二重返済に耐えられるかどうかは資金計画の章で見ておいた資金余力の話で、ここでは「その期間をできるだけ短く詰める」という日程側の工夫が中心になります。買い先行では、旧居のマンションが売れるまで管理費・修繕積立金・固定資産税も払い続けるため、この期間を短く抑えるほど負担が軽くなります。
買い先行で今の家が売れるか不安なときは、買い替え特約を付けるかどうかを検討します。これは、今の家が期限までに売れなかった場合に新居の購入契約を白紙に戻せる特約で、売れないのに新居だけ買ってしまうリスクを避けられます。ここでは付けるかどうかを検討するところまでを押さえ、契約書に条件が正しく入っているかの確認は、次の契約の章で行います。
契約・引き渡しで確認する手続きのチェックリスト
買主・売主が決まった後の「契約から決済、引き渡し」では、確認すべき書類・お金・期限があり、ここは後戻りできないため、抜けが大きな痛手になります。
この段階は、これまで進めてきた売却と購入を、正式な契約と決済で確定させるところです。この章では、売買契約で確認することと、決済・引き渡しの日に用意するものを、確認項目として並べます。
売買契約で確認すること
売買契約では、契約条件・手付金・引き渡し日・特約(買い替え特約やローン特約など)を書面で確認します。
契約時に確認したいのは、次の項目です。
- 契約日と手付金の額
- 引き渡し日・決済日
- 契約不適合責任の範囲(引き渡し後に不具合が見つかったときの取り決め)
- 付帯設備表・物件状況報告書の内容(残す設備・専有部の状態)
- 買い替え特約・ローン特約の有無と内容
- 契約に必要な書類
特約は、住み替えでとくに大切な確認点です。前の段取りの章で「買い替え特約を付けるか」を検討した場合は、その条件が契約書面に正しく入っているかを、ここでしっかり確かめます。今の家が売れなかったときに契約を白紙に戻せる期限や条件が、話し合ったとおりになっているかを目で追いましょう。ローン特約は、住宅ローンの審査が通らなかった場合に契約を解除できる取り決めで、これも内容を確認しておくと安心です。契約条文の細かな解釈や、想定外のトラブルへの対応で迷うときは、契約に立ち会う宅地建物取引士に確認するとよいでしょう。
マンションを売る場合は、付帯設備表と物件状況報告書の内容も丁寧に確かめます。エアコンや給湯器、照明などのうちどれを残すか、専有部にどのような不具合があるかを書面で申告する書類で、引き渡し後のトラブルを防ぐためのものです。実際の状態と食い違いがないかを、契約前に確認しておきましょう。
決済・引き渡しで用意するもの
決済日には、残代金の受け渡し・ローンの完済(抵当権の抹消)・鍵と書類の引き渡しが同時に行われるため、必要な書類とお金を事前にそろえます。
決済・引き渡しに向けて用意するものは、次のとおりです。
- 登記に関する書類(権利証や本人確認書類など)
- 残っている住宅ローンの完済と、抵当権を外す手続き
- 鍵や付帯設備の引き渡し
- 管理費・修繕積立金の日割り精算
- 司法書士の手配
- 諸費用の精算
決済日は、お金と権利が一度に動く日です。買主から残代金を受け取り、その資金で今の家に残っているローンを完済し、家に設定されている抵当権を外します。同時に、新居側では所有権の登記も行われます。これらの登記や抵当権を外す手続きは司法書士が担うため、事前に手配しておきます。当日に書類やお金が一つでも欠けると決済が止まってしまうので、前もって必要なものをリストにして確認しておくと安心です。
マンションの決済で特有なのが、管理費・修繕積立金の精算です。これらは通常、月単位で前払いしているため、引き渡し日を境に日割りで計算し、買主と清算します。金額は管理会社が発行する書類をもとに決まるので、決済日までに最新の残高や金額を確かめておきます。戸建てにはないこの精算が入る点を、あらかじめ知っておくと当日あわてずに済みます。
引っ越し・各種手続きのチェックリスト(期限あり)
引き渡しの前後は、引っ越しと役所・ライフラインの手続きが集中し、その多くに期限があります。
この段階は、家の引き渡しと並行して生活の移し替えを進めるところです。役所への届け出やライフラインの切り替えは、動き出す時期が決まっているものが多く、後回しにすると新生活が始められません。この章では、引っ越し前に済ませることと、引っ越し後に済ませることを、時期別に確認項目として並べます。
引っ越し前に済ませる手続き
引っ越し前は、引っ越し業者の手配とライフライン・住所変更の予約を、期限を意識して進めます。
引っ越し前に済ませたいのは、次の項目です。
- 引っ越し業者の見積もり・予約
- 管理組合・管理会社への引っ越しの届け出(エレベーターの利用予約・搬入経路の養生)
- 電気・ガス・水道の停止と開始の連絡
- インターネット回線の移転と、郵便の転送の届け出
- 転出届など役所への届け出の準備
- 不用品の処分
マンションの引っ越しで見落としやすいのが、管理組合・管理会社への届け出です。多くのマンションでは、共用のエレベーターを引っ越しで使うのに事前予約が必要で、搬入経路の壁や床を保護する養生を求められることもあります。旧居と新居の両方がマンションなら、それぞれで予約や届け出が要る場合があります。繁忙期は予約が埋まりやすいので、業者の手配とあわせて早めに管理会社へ確認しておくと安心です。
役所の手続きにも、動ける時期が決まっているものがあります。たとえば、いまの市区町村から別の市区町村へ引っ越す場合は、引っ越しの前に転出届を出します。転出届はおおむね引っ越しの14日前から受け付ける自治体が多いものの、受付の時期や方法は自治体によって運用が異なります。同じ市区町村内での引っ越しなら、引っ越し後の転居届で済むこともあります。届け出の時期や必要書類は、住んでいる自治体の窓口で早めに確かめておくと安心です。
引っ越し後に済ませる手続き
引っ越し後は、転入届を期限内に出し、それを起点に免許証や各種の住所変更を進めます。
引っ越し後に済ませたいのは、次の項目です。
- 転入届の提出(引っ越し後14日以内が目安)
- マイナンバーや国民健康保険などの手続き
- 運転免許証の住所変更
- 自動車の登録・車庫証明などの変更
- 金融機関・保険などの住所変更
引っ越し後の起点になるのが転入届です。新しい住所に住み始めた日から14日以内に届け出るのが、住民基本台帳法にもとづく一般的な取り扱いです。ただし、細かな受付方法や必要書類は自治体によって異なるため、新しい住所の窓口で確認してください。転入届を出すと新しい住所が確定するので、それを起点にマイナンバーや国民健康保険、運転免許証、自動車関係、金融機関や保険の住所変更へと進めます。住所変更は数が多く漏れやすいので、心当たりのある契約を書き出して一つずつ潰していくとよいでしょう。新居がマンションなら、あわせて入居後の管理組合の名簿登録など、建物ごとに求められる手続きも確認しておきましょう。
入居後にやる税金・確定申告のチェックリスト
住み替えで今の家を売って利益(譲渡所得)が出た場合などは、翌年に確定申告が必要になり、税負担を抑える特例を使うときにも申告が要ります。
新居に移って落ち着いた頃に忘れやすいのが、税金の手続きです。売却で利益が出たかどうかで確定申告の要否が変わり、特例を使うなら期限内の申告が欠かせません。この章では、確定申告が必要になる場面と、住み替えで使える主な特例を、確認項目として並べます。税額の具体的な計算や、特例の細かな要件は個別性が高いため、ここでは全体像と期限の確認にとどめます。
売却益が出たら確定申告が必要
マイホームを売って譲渡所得(売却益)が出た場合、売った年の翌年に確定申告が必要で、申告期間は原則として2月16日から3月15日までです。
確定申告に向けて確認したいのは、次の項目です。
- 売却で利益が出たか(売却額から取得費・譲渡費用を引いて計算する)
- 確定申告の時期(原則2月16日から3月15日まで)
- 申告に必要な書類の準備
- 税務署への申告書の提出
譲渡所得は、売った金額から、その家を買ったときの費用(取得費)と売るためにかかった費用(譲渡費用)を差し引いて計算します。たとえば3000万円で買った家を4000万円で売り、譲渡費用が200万円なら、4000万円から取得費3000万円と譲渡費用200万円を引いた800万円が、おおまかな譲渡所得のイメージです(取得費は建物の値下がり分を調整するため、実際の計算はこれと異なります)。差し引いた結果が利益になれば、確定申告の対象です。申告期間は原則として毎年2月16日から3月15日までで、期間の初日や末日が土日にあたる年は、翌開庁日にずれることがあります。あとで説明する3000万円特別控除や買換え特例は、これらを使って納める税がゼロになる場合でも、適用を受けるために確定申告が必要です。「税金がかからないから申告も要らない」と考えて申告を忘れると、特例が受けられなくなるので注意しましょう。個別の税額判断で迷うときは、税理士に相談すると確かです。
出典: 国税庁 タックスアンサー No.3302 マイホームを売ったときの特例
住み替えで使える主な特例
住み替えでは「3000万円特別控除」や「特定のマイホームを買い換えたときの特例(買換え特例)」など、税負担を抑える特例があり、いずれも確定申告で申請します。
主な特例の概要は、次のとおりです。
| 特例 | ざっくりの効果 | 主な性質 |
|---|---|---|
| 3000万円特別控除 | 譲渡所得から最大3000万円を差し引ける | 所有期間を問わず使えるのが基本 |
| 買換え特例 | 売却益への課税を将来に繰り延べられる | 所有・居住期間や売却代金の上限などの要件あり・適用期限あり |
3000万円特別控除は、マイホームを売ったときの譲渡所得から最大3000万円を差し引ける制度で、多くの住み替えで検討される特例です。買換え特例は、売った利益への課税を、次に買った家を将来売るときまで繰り延べる制度です。買換え特例には所有・居住期間や売却代金の上限といった要件があります。
さらに「いつまでに売ること」という適用期限が定められています。買換え特例(特定のマイホームを買い換えたときの特例)の適用期限は令和9年(2027年)12月31日までの譲渡で、令和8年度の税制改正で令和7年12月31日から2年延長されました。同じ改正で、譲渡損失の2つの特例(買換え等の場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除/特定居住用財産の譲渡損失)も同じ令和9年12月31日まで延長されています。
なお国税庁のタックスアンサーNo.3355 は 2026年8月時点で改正前の「令和7年12月31日」表示のままです。国税庁のページだけを見ると古い期限に見えるため、財務省の税制改正の解説もあわせてご確認ください。
出典: 財務省「令和8年度 税制改正の解説」租税特別措置法等(所得税関係)の改正 / 国税庁タックスアンサーNo.3355
利用を考える際は、国税庁の最新情報で必ず確認してください。なお、3000万円特別控除と買換え特例は、同じ売却に対して併用できないなどの注意点があります。売却して損失が出た場合には、譲渡損失の損益通算・繰越控除という別の特例が使えることもあります。どの特例が自分に合うか、要件を満たすかの判断は個別性が高いため、税理士に相談するとよいでしょう。
出典: 国税庁 タックスアンサー No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例
まとめ:住み替えで抜けやすい手続きを拾うなら、住み替えのトビラ
住み替えで抜けが出るのは、手続きが難しいからではなく、順番の取り違えと期限の見落としが重なるからです。段階で区切って確かめれば、大半は避けられます。
最初の段階では、資金の計画と進め方の方針を最初に固めます。資金の見積もりが定まらないと、入居の日を決め直すことになります。
売り出しの相談に行く前に、用意できる資金の枠を決めておきましょう。住み替えのトビラでは、準備から入居後の税の手続きまでも含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。
住み替えのトビラ 
