管理の悪いマンションは売れる?管理状態や滞納は買い手に知られる?

管理の悪いマンションは売れる?管理状態や滞納は買い手に知られる?

管理に不安のあるマンションを売るとき、「本当に売れるのか」「管理の悪さや滞納は買い手に知られるのか」と心配になる人は多いでしょう。

実は、管理の状態も滞納も契約の前に書面で買い手へ伝わり、その中身しだいで値引きを求められます。

この記事では、買い手に伝わる書類と時期を確かめたうえで、値引きを小さくして売り切るための準備を解説します。

管理状態も滞納も、買い手の手元に「マンションの通知表」として届く

買い手は、契約の前に受け取る書類と内覧の両方から、マンションの管理の状態を知ります。

重要事項調査報告書で、買い手の目が止まる5つの欄

買い手は、管理会社が作る「重要事項調査報告書」で、マンションのお金の状態を知ります。

中古マンションを仲介で売るとき、不動産会社は契約の前に、物件の大事な情報を買い手へ説明します。これを「重要事項説明」といい、宅地建物取引業法35条で決められています。

重要事項調査報告書は、この説明の材料になる書類です。管理費の額やマンション全体のお金の状態が書かれているので、いわばマンションの通知表です。

報告書には国が示すひな形があり、たくさんの項目が並びます。そのなかで買い手が特によく見るのは、次の5つの欄です。

欄書かれること買い手が気にすること
修繕積立金の残高将来の工事のために今たまっているお金次の大きな工事に足りるのか
組合全体の滞納額管理費や修繕積立金の滞納の合計額お金がきちんと集まるマンションか
借入金の残高管理組合の借金返済のための値上げはあるか
管理費などの変更予定値上げや一時金の予定が「有・無・検討中」のどれか買った後に負担がいくら増えるのか
修繕の実施状況と予定いつ何を直したか、次の大きな工事はいつか傷んだ所をきちんと直してきたか

5つの欄はどれも、買った後に買い手が払うお金に関わります。売主であるあなた自身に滞納があれば、その額もこの報告書に載ります。

買い手は、この通知表の中身を重要事項説明の場で一つずつ聞くことになります。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」

値上げや一時金の話は、理事会で検討が始まった段階から報告書に「検討中」と載る

値上げや一時金の話は、総会で決まるより前、理事会で話し合いが始まった段階から報告書に載ります。

「値上げが決まる前に売れば、知られずに済むのでは」と考える人もいるでしょう。ところが報告書のひな形には、決まる前の段階を書く欄があります。

ひな形では、管理費や修繕積立金などの変更の予定を「有・無・検討中」から選んで書きます。このうち「検討中」について、ひな形の説明は「理事会で検討されている場合であって、いずれも管理業者が把握できている場合」としています。

つまり、管理会社が理事会の話し合いを知っていれば、総会で決まる前でも「検討中」と書かれます。大規模修繕の予定や長期修繕計画にも、同じように「検討中」の欄があります。

さらに、管理会社が売却を頼まれた不動産会社に総会の議事録を見せる場合の決まりも、ひな形の説明に書かれています。議事録には、値上げの話し合いや、工事を先送りした経緯が残ります。

値上げが決まる前に売るつもりでも、理事会で話し合った段階で買い手に伝わると考えておきましょう。

出典: 国土交通省「マンション標準管理委託契約書及び同コメント」(令和5年9月改訂)

通知表が正式に届くのは契約の直前。その中身を初めて知った買い手は、申込を取り下げたり値引きを求め直したりできる

報告書の中身は、値段の話がまとまった後、契約の直前になって正式に買い手へ伝わります。

マンションを売るときの流れは、おおよそ次のとおりです。

  1. 不動産会社に査定してもらう
  2. 売り出す
  3. 買い手が内覧に来る
  4. 買い手が購入を申し込み、値段が決まる
  5. 重要事項説明
  6. 売買契約
  7. 代金を受け取り、部屋を引き渡す

重要事項説明は、契約が成立するまでの間に行うと法律で決められています。実際には、契約の当日や数日前に行うことがよくあります。

この説明で初めて「値上げ検討中」や「借入金あり」を知った買い手は、買うのをやめることも考えます。購入の申込書は、買う意思を伝えるための書類です。そのため契約の前なら、買い手は違約金なしで申込を取り下げられます。

申込を取り下げなくても、買い手が「聞いていない」と値引きを求め直してくることもあります。その間ほかの買い手候補への案内を止めていれば、売主は時間も失います。

売主にとっては、不利な情報を後から知られることがいちばん高くつきます。

出典: e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」

内覧で買い手が最初に見るのは、部屋ではなく共用部

買い手は内覧のとき、部屋に着く前の共用部で、管理の良し悪しを感じ取ります。

部屋の中は、売主が掃除や片付けをすればきれいにできます。一方、エントランスや廊下などの共用部の状態は、管理組合と管理会社の働きで決まります。

共用部には、住んでいる人たちの意識と管理会社の仕事ぶりがそのまま表れます。昔から「マンションは管理を買え」と言われるのも、そのためです。

次の表は、買い手が共用部で見ている点の例です。

場所買い手が見る点
エントランス床やガラスの汚れ
ゴミ置き場・分別の状態<br>・回収日以外に出されたゴミ
掲示板・騒音やルール違反への注意の貼り紙の多さ<br>・貼りっぱなしの古い掲示
駐輪場放置された自転車
郵便受けあふれたチラシ
廊下や階段・切れた電球<br>・置かれた私物

共用部は毎日通る場所なので、買い手は「ここで暮らす自分」を思い浮かべながら見ています。共用部で受けた第一印象を確かめるつもりで、買い手は報告書の数字を読みます。

売主だけが知っている問題を黙って売ると、契約後に責任を問われる

売主だけが知っている問題は、売主が書面で買い手に伝えておく必要があります。

報告書に書かれるのは、管理会社が知っていることに限られます。売主だけが知っている問題には、例えば次のようなものがあります。

  • 上の階からの水漏れ
  • 隣の住戸とのトラブル
  • 管理組合とのもめごと

こうした問題は、「物件状況報告書(告知書)」という書類で買い手に伝えます。告知書は売主が記入し、不動産会社が買い手に渡します。

個人が中古マンションを売るときは、「売主は契約不適合責任を負わない」という特約をつけることがよくあります。契約不適合責任とは、売った物件に契約と違う点があったときに、売主が負う責任です。

ただし民法572条により、売主が知っていながら伝えなかったことについては、この特約があっても売主が責任を負います。後でその問題が見つかれば、買い手から修理代や値引き、契約の解除を求められるおそれがあります。

反対に、告知書に書いておけば、買い手はその問題を承知のうえで買ったことになります。告知書で伝えておくことで、売主は自分の身を守れます。

出典: e-Gov法令検索「民法」

管理が悪いと、買い手は将来の負担の分だけ値引きを求める

買い手は、管理の悪いマンションを見ると、買った後に自分が払うことになるお金を考え、その分を売り値から引こうとします。

管理の良し悪しが値段に表れていることは、民間の調査でも確かめられます。東京カンテイは、東京23区の中古マンションの坪単価を、2020年を100として比べています。

「マンション管理適正評価制度」で最高の星5がついた物件の2025年の値は199.9で、評価を受けていない物件の160.9を上回りました。一方、星3の物件の値上がりは、評価を受けていない物件より小さい結果でした。

出典: 東京カンテイ「マンション管理適正評価制度がもたらす中古マンション価格への影響に関する調査結果」(2026年10月14日)

買い手は、買った後に払う値上げ分や一時金を計算し、その分の値引きを求める

値上げや一時金の予定があると、買い手は自分が住む年数の負担を計算し、その額を値引きの根拠にします。

マンションの買い手は、買うときの値段に加えて、住み始めてから毎月払うお金も合わせて考えます。同じ値段の部屋が2つあれば、後の負担が小さい方を選ぶでしょう。

そのため売主は、将来の負担が大きそうな部屋ほど、その分だけ値段を下げて売ることになります。例えば、次のような場合を考えてみましょう。

想定例(実在のマンションではなく、考え方を示すための仮定の数字です)

今の修繕積立金は月1万2千円で、理事会では月2万円への値上げが「検討中」とします。

次の大規模修繕では、1戸あたり50万円の一時金を集める案が出ているとします。

買い手は、この部屋に10年住むつもりとします。

値上げ分は、(2万円−1万2千円)×12か月×10年で96万円になります。

一時金の50万円を足すと、買い手から見た将来の追加負担は合計146万円です。

自分のマンションの場合は、「(値上げ後の月額−今の月額)×12か月×住む年数+一時金」の式に数字を当てはめると計算できます。式に入れる値は、次の書類で確かめられます。

式に入れる値確かめる書類
今の月額重要事項調査報告書
値上げ後の月額理事会や総会の議事録
一時金理事会や総会の議事録
住む年数買い手が考える年数(例えば10年)

値引きの額は交渉で決まるので、計算した額より小さく収まることもあります。それでも買い手は、こうした数字を示して「買った後にこれだけ負担が増える」と値引きを求めてきます。

売主も同じ計算を先にしておけば、値引きに応じる上限の額を落ち着いて決められます。

修繕積立金が足りない管理組合は36.6%。不足が大きいマンションほど値引きの理由にされる

修繕積立金が予定より足りない管理組合は、国の調査で3分の1を超えます。

国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」では、積立金の残高と長期修繕計画の予定の差を管理組合に尋ねています。次の表は、その回答の割合です。

管理組合の回答割合
不足している36.6%
計画に比べて余剰がある39.9%
不明23.5%

積立金の不足が起きやすいのは、新築時に積立金を低めに決め、後から少しずつ上げていくマンションが多いためです。近年は工事の材料費や人件費も上がり、予定していた金額では工事費をまかなえなくなっています。

総会の決め方も、2026年4月から変わりました。以前は、修繕などの決議は区分所有者全員を母数にした多数決で、欠席した人は賛成しなかったのと同じ扱いでした。2026年4月1日以降に招集の手続きが始まった総会では、出席した人(委任状や議決権行使書で投票した人を含む)の多数決で決まります。

そのため、不足を補うための値上げや一時金も、これまでより総会で決まりやすくなると考えられます。こうした事情を知る買い手は、不足が大きいマンションほど「いずれ値上げか一時金が来る」と考え、値引きを求めてきます。

出典: 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」

出典: 法務省民事局「区分所有法・被災区分所有法の改正について」(令和8年4月)

修繕の先送りや役員不足で負担額が読めないマンションは、買い手に嫌われる

この先かかるお金が読めないマンションほど、買い手は大きな値引きを求めてきます。

値上げの予定がはっきりしているマンションなら、買い手は負担を計算できます。一方、次のようなマンションは、買い手から見て負担額の計算が難しくなります。

  • 必要な修繕を何年も先送りしてきた
  • 長期修繕計画が無いか、何年も前のまま
  • 役員のなり手が少なく、総会で話がまとまりにくい

国土交通省の令和5年度の調査では、長期修繕計画を「5年ごとを目安に定期的に見直している」マンションは63.2%でした。残りには、修繕工事の前後にだけ見直すマンションや、見直しを行っていないマンション(3.7%)が含まれます。計画が古いままでは、いま工事をするといくらかかるのかも分からなくなります。

金額が分からないと、買い手は最悪の場合を考えます。そのため「念のため」と大きな値引きを求めたり、候補から外したりします。反対に、値上げ分や一時金を合計して金額が出せるマンションなら、交渉はその金額の範囲で進みます。

金額が分かる不利より、金額が分からない不利の方が、買い手には嫌われるのです。

出典: 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」

他の住民の滞納で、自分の部屋の値段まで下がる

マンション全体の滞納額が大きいと、きちんと払ってきた人の部屋まで値段が下がるおそれがあります。

報告書には、マンション全体で滞納されている管理費や修繕積立金の合計額も載ります。この額が大きいと、買い手は「お金が集まらないマンション」と受け取ります。

管理組合にお金が集まらないと、修繕を予定どおりに進めにくくなります。足りない分を、きちんと払っている住民の値上げで埋めることも考えられます。買い手はそこまで考えたうえで、値段を判断します。

売主には理不尽に思える話でしょう。けれども買い手から見れば建物全体の問題で、どの部屋を買っても負担は同じです。

この滞納を減らせるのは管理組合です。売主にできるのは、管理会社から報告書を取り寄せて滞納額を確かめ、買い手への説明を用意しておくことです。

自分が滞納している場合、滞納は売った後も売主が払う

あなた自身に滞納があるときは、売っても支払いの義務が残るため、売る前に精算の段取りを組んでおく必要があります。

この章は、あなた自身が管理費や修繕積立金を滞納している場合の話です。滞納のない人は、この章を飛ばして読み進めても大丈夫です。

滞納分は、決済の日に売却代金から払って精算するのが基本

自分の滞納分は、決済の日(買い手から代金を受け取り、部屋を引き渡す日)に、売却代金の中から管理組合へ払うのが一般的です。

決済の日に払えば、受け取ったばかりの売却代金を使えるので、手元にまとまったお金を用意せずに済みます。

払う額には、遅延損害金(支払いが遅れたことへの上乗せのお金)も含まれます。遅延損害金がかかるのは、管理規約で決められている場合です。報告書にも、遅延損害金の有無と額を書く欄があります。

なお、引き渡しの月の管理費は、滞納とは別に日割りで分けるのがふつうです。引き渡しの日より前の分を売主が、後の分を買い手が負担します。

滞納を残したまま売ると、管理組合は買主に請求できる。だから買い手はそうした部屋を避ける

売主が滞納を残したまま売ると、管理組合はその滞納分を、部屋を買った人に請求できます。

区分所有法8条が、部屋を買った人(法律では「特定承継人」といいます)にも滞納分を請求できると定めているためです。つまり、滞納は人ではなく部屋についていくのです。

買い手は、払わされた分を後から売主に請求することもできます。とはいえ請求には手間がかかるので、買い手は滞納が残る部屋を避けようとします。

滞納がある部屋を売るときは、「決済の日に売主が滞納分を精算する」と売買契約に書いておきましょう。そうすれば、買い手も安心して契約できます。

出典: e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」

自分の滞納は、売り出す前に仲介会社へ伝える

自分の滞納は、売り出す前の最初の相談で、仲介を頼む不動産会社に伝えておきましょう。

滞納は言い出しにくい話です。それでも、あなたの滞納額は重要事項調査報告書に必ず載ります。早めに伝えて段取りを組んでおく方が、決済の日に慌てずに済みます。

売ると決めてからの手順は、次のとおりです。

  1. 管理会社に、滞納額と遅延損害金の額を確かめる
  2. 仲介を頼む不動産会社に伝える
  3. 決済の日に売却代金から精算する段取りを、不動産会社に組んでもらう

気をつけたいのは、売却代金で住宅ローンの残りと滞納分の両方を払いきれない場合です。この場合、決済の日にお金が足りなくなります。足りないと分かった時点ですぐ、不動産会社と、住宅ローンを借りている金融機関に相談するとよいでしょう。

滞納が長く続くと、管理組合が裁判で支払いを求めてくることもあります。売ると決めたら、早めに動き出すことが大切です。

出典: 国土交通省「マンション標準管理委託契約書及び同コメント」(令和5年9月改訂)

管理の悪いマンションを売るときは、買い手より先に報告書を読むと損を小さくできる

不利な点を売主が先に知って自分から伝えておけば、契約の直前に話が振り出しに戻る心配が減ります。

売り出す前に報告書と議事録を取り寄せ、買い手の立場で読む

売り出す前に、管理会社から報告書を、管理組合から総会の議事録を取り寄せ、先に目を通しておきましょう。

先に読んでおくと、買い手がどの欄を気にして、どこで値引きを求めてきそうかが分かります。

国のひな形では、売却を考えている組合員本人から求められたときも、管理会社が情報を開示することになっています。作成には管理会社ごとに決まった費用がかかるので、頼むときに金額も確かめておくと安心です。

総会の議事録は、組合員であれば管理組合に頼んで見せてもらえます。

報告書で確かめる欄と、気をつけたいサインは次の表のとおりです。

確かめる欄気をつけたいサイン
修繕積立金の月額専有面積(㎡)×235円を下回る(20階未満・延べ面積5,000㎡未満のマンションの場合)
管理費などの変更予定「検討中」や「変更予定有」
組合全体の滞納額額の大きさ(目安は不動産会社に聞く)
借入金の残高借入金がある
長期修繕計画「無」や「検討中」、または最後の見直しから5年以上たっている
大規模修繕の予定一時金の予定がある

表の235円は、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」が示す、1㎡あたりの月額の目安の下限です。目安の平均は1㎡あたり月335円です。例えば70㎡の部屋なら、下限の額は235円×70㎡で月1万6,450円になります。

ガイドラインの目安は、計画の期間全体をならした平均の額です。今の積立金がこれより低いマンションは、将来値上げされる見込みが高いといえます。

出典: 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)

出典: 国土交通省「マンション標準管理委託契約書及び同コメント」(令和5年9月改訂)

値上げや大規模修繕の前に売るか後に売るかは、手元に残るお金で比べる

売る時期は、値上げや大規模修繕の前に売る場合と後に売る場合で、手元に残るお金を比べて決めましょう。

値上げの話は、決まる前でも理事会で話し合っている段階から報告書に「検討中」と載ります。そのため値上げの前に売る場合も、買い手が値上げの話を知っている前提で比べておくと安心です。

売る時期ごとのよい点と気をつけたい点は、次の表のとおりです。

売る時期よい点気をつけたい点
値上げが決まった後買い手が負担額を計算でき、値引きの幅を読みやすい毎月の負担が上がった状態で売り出すことになる
大規模修繕の工事の後外観や設備がきれいになり、次の工事まで間があく一時金があれば、売主が払ってから売ることになる
大規模修繕の工事の前一時金を売主が払わずに済むことがある工事の予定と一時金の分だけ、値引きを求められやすい

値上げが決まった後に売ると、損をするように思える人もいるでしょう。けれども買い手は、金額が読めない負担ほど嫌がります。負担額がはっきりしている方が、かえって話がまとまりやすいこともあります。

どの時期が得かは、一時金の額と、値引きされそうな額の大きさで変わります。迷ったときは、不動産会社に2通りの査定を頼むとよいでしょう。今売る場合と工事の後に売る場合で、手元に残るお金の差が分かります。

不利な数字は売り出しの時点で示し、その分を見込んだ売り値をつける

値上げの予定のような不利な数字は、売り出しの資料や内覧の場で、売主の側から先に伝えておきましょう。

契約の直前に不利な情報が伝わると、まとまった値段の話が振り出しに戻ってしまいます。

例えば、次のような伝え方があります。

伝え方の例

値上げが決まっているときは「修繕積立金は来年から月2万円になる予定です」

まだ検討中のときは「月2万円への値上げが話し合われています」

検討中の話も、検討中と分かる言い方で伝えておくと、後で決まったときに話がこじれにくくなります。

将来の負担額を計算し、その分を見込んだ売り値をつけておくと、買い手は事情を分かったうえで申し込めます。後から「聞いていない」と値引きを求められることも減ります。

あわせて、よい材料も伝えておくとよいでしょう。よい材料とは、長期修繕計画を最近見直したことや、値上げで積立金の不足が解消に向かっていることです。

こうした材料を知った買い手は、「問題はあるけれど、手を打っているマンション」と受け取ります。

報告書の中身を買い手に説明できる仲介会社を選ぶ

管理に不安があるマンションほど、報告書を読んで、買い手への説明を一緒に考えてくれる仲介会社を選ぶことが大切です。

例えば「積立金の値上げ予定がある」と聞いた買い手が、「月いくら上がるのか」「いつからか」と尋ねたとします。担当者がその場で答えられれば、買い手は安心して話を進められます。

仲介会社が報告書の中身を説明できるかは、査定のときの次のような質問で見分けられます。

  • 「このマンションの修繕積立金は、国のガイドラインの目安と比べてどうですか」
  • 「報告書で『検討中』になっている項目は、値段にどれくらい影響しそうですか」
  • 「同じマンションや近くで最近売れた部屋は、管理のことで買い手に何か言われましたか」

答えが具体的で、数字や実例を挙げて話してくれる会社なら、安心して売却を任せられます。

一方、管理の話を避けて、高い査定額だけを示す会社には注意が必要です。高すぎる値段で売り出して値下げを重ねると、「売れ残っている部屋」という印象がついてしまいます。

期限までに売りたいときは、買取や買取保証を使う

新しい家の引き渡し日などの期限があるときは、不動産会社に部屋を直接買ってもらう「買取」で、期限までに売り切れます。

買取の値段は、仲介で売れる値段より低くなるのがふつうです。その代わり、次のような利点があります。

  • 売れる時期を前もって決められる
  • 個人の買い手との値引き交渉を省ける
  • 契約不適合責任を免除してもらえることが多い

管理に不安のあるマンションでは、管理の状態を理由に値引きを求められたり、売った後に不具合を指摘されたりしがちです。買取なら、その両方の心配を減らせます。

最初から買取にするほかに、「買取保証」という方法もあります。買取保証では、一定の期間は仲介で売り出し、期限が来たら決めておいた値段で不動産会社に買い取ってもらいます。

期限のある住み替えなら、仲介会社を選ぶ段階で、買取保証の有無も聞いておくと安心です。

まとめ:管理の悪いマンションも売れる。不利な点は契約前に知られるので、先に示して値引きを小さくする

管理の状態も自分の滞納も、重要事項調査報告書で契約の前に必ず買い手へ伝わります。隠したまま売り切ることはできないので、不利な点を先に知って自分から示した売主ほど、値引きを小さく抑えられます。

次の一歩は、売り出す前に管理会社へ重要事項調査報告書を頼み、買い手より先に読むことです。この一歩を飛ばすと、買い手は契約の直前に「検討中」の値上げや滞納を初めて知ることになります。そうなると、申込の取り下げや値引きのやり直しで、時間とお金を失うおそれがあります。

報告書が手元に届いたら、修繕積立金の月額をガイドラインの目安と比べ、「検討中」の欄が無いかも確かめておきましょう。住み替えのトビラでは、管理状態や滞納がマンションの売却に与える影響と、その売り方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。