定期借家と売却を比較|転勤で貸すか売るかと契約期間の決め方

定期借家と売却を比較|転勤で貸すか売るかと契約期間の決め方

転勤で何年か家を離れることになった。定期借家なら期限で家が戻ると聞く一方で、家賃は安くなるとも聞き、それならいっそ売ったほうがいいのかと迷っている方は多いはずです。

先に答えを書きます。定期借家の強みは「期限が来れば家が戻る」点にあり、戻って住む予定がないなら売却が基本線です。戻る予定があるなら、ローンと家賃で持ちこたえられるかを確かめ、契約期間を売却の税の期限から逆算して決めます。

この記事では、貸すか売るかの判断基準、定期借家で貸すときの注意点、契約期間の決め方、貸した後に売る方法を、借地借家法と最高裁の判決、国土交通省・国税庁の公表資料、アットホームの家賃調査をもとに順に見ていきます。

定期借家で貸すか売却するかの判断基準

定期借家で貸すか売るかは、次の4つで決まります。

基準定期借家で貸す向き売却する向き
戻って住む予定時期まで決まっている戻る予定がない・未定
住宅ローン金融機関に認めてもらえる認めてもらえない
家賃と手残り家賃で毎月の支出をまかなえる毎月の持ち出しが続く
今売った場合の手取り残す価値のほうが大きい今の手取りで次の住まいが楽になる

上から順に確かめていくと、迷う時間が短くなります。

戻って住む予定と時期

最初に決めるのは、この家に戻って住むかどうかです。

定期借家は、期間が終われば更新されずに契約が終わる貸し方です。国土交通省も、転勤のあいだの留守宅を、自宅に戻る時期に合わせた期間で貸せる使い方として紹介しています。戻る日が決まっている人にとっては、とても使いやすい仕組みです。

一方、戻る予定がない人や、戻るか分からない人にとっては、この強みは宝の持ち腐れになります。期限が来ても住む人がいなければ、次の借り手を探すか、そのときに売ることになります。待っている間に建物は古くなり、売却の税の特例が使える期限も近づいていきます。

戻る時期まで決まっているなら、定期借家で貸す道を考える価値があります。戻らない、または未定なら、売却を軸に考えるほうが判断を先送りせずに済みます。

出典: 国土交通省 定期建物賃貸借契約《大家さんのための》パンフレット

転勤の持ち家、売却と賃貸どっち?5軸の比較と収支で判断 転勤の持ち家、売却と賃貸どっち?5軸の比較と収支で判断

今の住宅ローンで貸せるかどうか

住宅ローンが残っているなら、家賃の計算より先に、金融機関が貸すことを認めるかを確かめます。住宅ローンは本人や家族が住む家のための融資なので、住まずに人へ貸すときは金融機関への相談と手続きが要ります。

転勤は、認めてもらいやすい事情の1つです。住宅金融支援機構のフラット35のよくある質問では、転勤などのやむを得ない事情で一時的に住めない場合、融資住宅に戻ることを前提に貸すことは可能とし、手続きは金融機関の窓口での住所変更としています。

ここで押さえたいのは「戻ることを前提に」という条件です。第三者に貸す目的の投資用物件として使っていると分かった場合は、借入金の全額を一括で返すよう求められることがあります。売るか戻るか決めかねているなら、そのことも含めて窓口で相談し、返事を記録に残しておきます。民間の銀行の扱いは金融機関ごとに決められているので、今の借入先の案内を確かめます。

認めてもらえれば、定期借家で貸す道が開けます。難しい場合は、投資用ローンへの借り換えか売却を考えることになります。承諾の取り方と転勤のときの扱いは、住宅ローン中のマンションを貸す・売る|承諾の取り方と転勤特例で詳しく扱っています。

出典: 住宅金融支援機構【フラット35】よくある質問「返済中に融資住宅を賃貸にしてもいいですか。」

定期借家で見込める家賃と手残り

「定期借家は家賃が普通借家の5〜8割に下がる」とよく言われます。ところが、首都圏の統計を見ると話は逆です。

定期借家は本当に家賃が安い?

アットホームの調査(2025年度・首都圏)では、賃貸マンションの平均募集家賃は、定期借家のほうが普通借家より高い結果でした。普通借家のほうが高かったのは、東京都下の30〜50㎡だけです。家賃は賃料に管理費・共益費などを足した額で、成約ではなく募集の段階の家賃です。

ファミリー向きの50〜70㎡で比べると、次のとおりです。

エリア(50〜70㎡)定期借家普通借家定期借家の割合
東京23区304,572円229,034円14.4%
東京都下148,248円131,533円5.1%
神奈川県167,096円134,786円5.6%
埼玉県125,182円114,343円3.0%
千葉県131,963円117,844円2.6%

ただし、これは物件の顔ぶれの違いも入った平均です。東京23区では家賃が高い物件ほど定期借家の割合が高く、50〜70㎡の区別の割合は港区の37.5%を筆頭に都心ほど高くなっています。同じ部屋なら定期借家のほうが高い、とまで言うのは言い過ぎです。それでも「ファミリー向けの分譲マンションは定期借家にすると半値近くになる」という一律の値引きは、統計の裏づけを欠いた話だと分かります。

同じ調査の考察には、持ち主が知っておきたい点も書かれています。更新のない契約を受け入れる借り手は限られ、立地や条件に優れた物件でないと成約しにくいこと、定期借家を扱う不動産会社は大手が中心であることです。空室の期間は長めに見込み、管理会社を選ぶときは定期借家を扱った件数を聞いておきます。

自分の部屋の家賃は、同じ駅・同じ広さで「定期借家」の条件が付いた募集を探して見込みます。管理会社2社以上に家賃の査定を頼むのも手です。手残りは、家賃から次の支出を引いて出します。

  • 管理委託料
  • 管理費・修繕積立金
  • 固定資産税
  • 空室の月の家賃
  • 家賃にかかる所得税・住民税

会社員で給与を1か所から受けている人は、家賃などの給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要です。

出典: アットホーム「定期借家物件」の募集家賃動向(2025年度) 出典: 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人

今売った場合の手取り

比べる相手として、今売った場合の手取りも出しておきます。計算は「売却価格−仲介手数料などの費用−ローンの残り−税金」です。住んでいた家を売るなら、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があり、税金はかからずに済むか、少なく収まります。

気をつけたいのは比べ方です。「今売る手取り」と比べる相手は、「貸している間の手残り+何年か後に売るときの手取り」の合計です。何年か後の売却価格は、建物がその分古くなったときの価格です。年ごとの収支の比べ方は、マンションは売るか貸すかどっちが得?10年の収支シミュレーションで試算しています。

定期借家で貸す場合は、次の章で説明する契約の仕組みが、戻れる日と売れる日を左右します。貸す道を選ぶなら、ここから先が大事になります。

出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例

定期借家で貸すときの注意点

定期借家は「期限で必ず戻る」と思われがちですが、それは手続きが正しいときに限られます。手続きを1つ落とすと普通借家として扱われ、期限が来ても戻れず、空室にして売る計画も崩れます。持ち主が押さえたいのは次の4つです。

  • 契約前に別の書面で説明する
  • 期間満了の1年前から6か月前までに通知する
  • 貸主の側からは途中で解約しにくい
  • 借主の側は事情があれば途中で解約できる

契約前に別の書面で説明する手続き

定期借家にするには、書面で契約することが条件です。さらに契約の前に、「この契約は更新がなく、期間の満了で終了する」と書いた書面を借主に渡して説明する必要があります(借地借家法38条1項・3項)。

2022年5月18日の法改正で、契約書は電子でも交わせるようになり、説明の書面も借主の承諾があれば電子で渡せるようになりました(同条2項・4項)。それまでは、契約も説明も紙の書面で行う決まりでした。

この説明を抜かすと、「更新しない」という定めそのものが無効になります(同条5項)。国土交通省の説明では、説明の内容に誤りがあった場合も同じく普通借家として扱われます。正当な理由がなければ更新を断れない、ふつうの賃貸になるわけです。

大事なのは、この書面を契約書とは別に用意する点です。最高裁は2012年9月13日の判決で、説明の書面は、借主が更新のない契約だと分かっていたかどうかにかかわらず、契約書とは別個独立の書面であることを要すると判断しました(判決当時は38条2項。今の3項にあたります)。

もう1つの落とし穴が、説明する人です。国土交通省のQ&Aでは、この説明は貸主自身が行うもので、仲介会社の重要事項説明をしただけでは足りないとしています。仲介会社が貸主の代理人として説明することはできるので、誰がどの書面で説明するかを管理会社と決めておきます。国土交通省は「定期賃貸住宅契約についての説明」という書式を標準契約書とあわせて公開しているので、それに沿って作っているかも確かめます。

説明書面の控えは、将来売るときに買い手から求められることもあります。契約書と一緒に保管しておきます。

出典: e-Gov法令検索 借地借家法(第38条) 出典: 裁判所 最高裁判所第一小法廷 平成24年9月13日判決(平成22(受)1209) 出典: 国土交通省『定期賃貸住宅標準契約書』について 出典: 国土交通省 定期建物賃貸借 Q&A 出典: 国土交通省 定期建物賃貸借契約《大家さんのための》パンフレット

期間満了の1年前から6か月前までの通知

契約期間が1年以上なら、貸主は期間が終わる1年前から6か月前までの間に、「期間の満了で契約が終わる」と借主に知らせる必要があります(借地借家法38条6項)。

この通知を忘れると、期間が来ても借主に出てもらうよう主張できなくなります。あとから通知した場合は、通知した日から6か月たつまで待つことになり、その間、借主はそれまでと同じ家賃で住み続けられます。

通知が遅れると、戻る日がずれる

満了の1か月前に通知を忘れていたと気づき、あわてて通知したとします。この場合、契約の終わりを主張できるのは通知から6か月後です。戻れる日は満了日より5か月ほど後ろにずれ、その間の仮住まいの家賃や、売り出しの予定にも響きます。

国土交通省の標準契約書では、この通知を書面で出す形にしており、「定期賃貸住宅契約終了についての通知」という書式もあります。管理会社に任せていても、通知を出す時期は自分の手帳にも書き込んでおきます。転勤先からでも確かめられるよう、通知の書面の控えを管理会社から受け取っておくと安心です。

出典: e-Gov法令検索 借地借家法(第38条) 出典: 国土交通省 定期建物賃貸借 Q&A 出典: 国土交通省 定期賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版・家賃債務保証業者型)

貸主から途中で解約できない制約

借地借家法38条が定める途中の解約は、借主の側からの解約(7項)です。国土交通省の標準契約書でも、家賃の滞納などの契約違反による解除とは別に置かれた途中解約の条項は、借主からの解約(第11条)だけです。転勤が予定より早く終わっても、期間が残っている間は、自分の家に戻るのは満了日まで待つことになります。

戻れない間は、仮住まいの家賃と自分の家の住宅ローンを両方払う月が続きます。借主に事情を話し、合意のうえで早めに出てもらう道はあります。その場合は、引っ越し費用などを貸主が持つよう求められることがあり、条件は話し合いで決まります。

ここから言えるのは、戻る時期が読みにくい人ほど、期間は短めに取るほうがよいということです。延長が必要になったら再契約で足すほうが、身動きを取りやすくなります。

出典: e-Gov法令検索 借地借家法(第38条) 出典: 国土交通省 定期賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版・家賃債務保証業者型)

借主が転勤などで途中解約できる仕組み

反対に、借主の側は途中で解約できる場合があります。転勤・療養・親族の介護などのやむを得ない事情で住み続けるのが難しくなったら、借主は解約を申し入れ、1か月後に契約を終えられます(借地借家法38条7項)。対象は、床面積200㎡未満の住まいです。

この決まりに反する、借主に不利な特約は無効になります(同条8項)。「満了までは解約不可」と契約書に書いても、この場合の借主の解約は止められないわけです。

さらに、国土交通省の標準契約書は、事情を問わず1か月前の申し入れで借主が解約できる条項を置いています。管理会社の契約書がこの形なら、借主はいつでも1か月前に申し出て退去できます。法律が認める事情以外の解約をどこまで認めるかは契約で決められるので、契約書の解約の条項を読んでおきます。

持ち主にとっては、期間中ずっと家賃が入るとは限らない、ということになります。途中で空室になれば次の借り手を探す間は家賃が止まり、残りの期間が短いほど借り手も見つかりにくくなります。収支は、途中で空室が出る前提で組んでおきます。

出典: e-Gov法令検索 借地借家法(第38条) 出典: 国土交通省 定期建物賃貸借 Q&A 出典: 国土交通省 定期賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版・家賃債務保証業者型)

定期借家の契約期間の決め方

契約期間は「転勤の予定」と「売却の税の期限」の早いほうに合わせ、延長が必要になったら再契約で足すのが基本です。長めに取って途中で戻れなくなるより、短めに取って伸ばすほうが、あとで困る場面が少なくなります。

転勤の予定期間に合わせる

まず、辞令で示された転勤の期間を確かめます。3年の予定なら3年、2年なら2年が出発点です。そのうえで、戻る日の数か月前に期間が終わるよう置きます。

数か月の余裕を取るのは、借主が出たあとにやる作業があるからです。

  • 退去の立ち会い
  • 原状回復の確認とクリーニング
  • 自分たちの引っ越しの準備

満了日と戻る日がぴったり重なると、これらが一度に押し寄せます。

もう1つ考えておきたいのが、転勤の延長です。予定より長くなることもあります。延びたときは再契約で期間を足せますが、短くなったときに途中で戻る手段は限られます。国土交通省のパンフレットも、転勤の終わる時期が読めないときは期間を短めにして、満了のときに再契約するかを話し合う方法を紹介しています。迷ったら短いほうの期間で契約する、と覚えておくと判断しやすくなります。

出典: 国土交通省 定期借家制度(定期建物賃貸借制度)をご存じですか

売却の特例の期限から逆算する

少しでも売る可能性があるなら、ここが最も大事です。住んでいた家を売るときの3,000万円特別控除には、売る時期の期限があります。国税庁は、以前に住んでいた家屋を対象とする要件を次のように書いています。

以前に住んでいた家屋(住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合に限ります。なお、その家屋は、住まなくなった日以後、どのような用途に使用してもかまいません。)

(国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例)

貸していても、この期限内に売れば特例は使えます。所有期間が10年を超える家の税率を下げる軽減税率の特例(No.3305)も、同じ期限です。

2026年10月に転居した場合

期限は2029年12月31日です。

契約期間満了期限までの残り
3年2029年10月約2か月
2年2028年10月約1年2か月

3年契約だと、空室にしてから売り出せる時間は2か月ほどです。2年契約なら、空室で売り出して引き渡すまでの時間を取れます。

首都圏の中古マンションでは、レインズに売り出しを登録してから成約するまで、平均82.5日かかっています(東日本不動産流通機構・2025年)。成約は売買契約のことで、引き渡しはその後です。退去後の原状回復と引き渡しまでの期間も足し、満了から期限までは半年以上空けておくのが目安です。

なお、売った日は原則として引き渡しの日で、売買契約の効力が生じた日を選んで申告することもできます(所得税基本通達36-12)。期限の年末をまたぎそうなときは、どちらの日で申告するかを税務署か税理士に確かめます。

出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例 出典: 国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例 出典: 国税庁 所得税基本通達36-12(山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期) 出典: 東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2025年)

延長に備えて再契約の余地を残す

定期借家は期間が来れば終わりますが、貸主と借主の両方が合意すれば、あらためて契約を結び直せます。これを再契約といいます。合意があっても同じ契約を「更新」することはできない仕組みなので、転勤が延びたときは、この再契約で期間を足します。

国土交通省の標準契約書は、「協議の上」再契約をすることができる、という書き方にしています。募集のときも「再契約の可能性あり」と示しておくと、長く住みたい借り手にも検討してもらいやすくなります。「必ず再契約する」と約束する書き方は、借主に期待を持たせ、後で断りにくくなります。「協議のうえ再契約する場合がある」くらいの書き方にとどめます。

再契約は新しい契約なので、説明書面と契約書をもう一度作ります。再契約の期間は最初の期間と変えてかまわないので、売却の税の期限を越えない長さにしておきます。延長のたびに期間を短めに区切れば、戻るか売るかの判断を先へ持ち越しても、期限は守れます。

出典: 国土交通省 定期建物賃貸借 Q&A 出典: 国土交通省 定期賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版・家賃債務保証業者型) 出典: 国土交通省 定期借家制度(定期建物賃貸借制度)をご存じですか

定期借家で貸した後に売却する方法

定期借家は満了日が決まっているので、「期間が終わったら空室で売る」という計画を立てやすい貸し方です。普通借家だと、更新を断るには正当な理由が要り、空室にする時期は借主しだいになります。

売り方は3つあります。

売り方売れる相手価格の決まり方時期
満了を待って空室で売る自分で住む人も投資家も周りの売買価格が基準満了後
入居者がいるまま売る投資家が中心になりやすい家賃と利回りが基準になりやすいいつでも
合意で早めに退去してもらう自分で住む人も投資家も周りの売買価格が基準合意できたとき

期間満了を待って空室で売る

手取りを守りやすいのは、期間が終わるのを待ち、空室にしてから売る方法です。空室なら、自分で住む家を探している人にも売れます。買い手が広がるので、周りの売買価格に近い値段を目指せます。

段取りは、満了の通知と同じ時期に始めます。通知を出す満了の1年前から6か月前の間に、売却の査定を受け、どの不動産会社に頼むかを決めておきます。借主が出たら、原状回復とクリーニングを済ませて、売り出しと内覧に入ります。

このとき、3,000万円特別控除の期限までにどれだけ時間があるかを必ず確かめます。期限が迫っていると、値下げを急ぐ判断に追い込まれやすくなります。

転勤で家を売る前に|「いつ戻るか」と残り時間で選ぶ4つの選択肢 転勤で家を売る前に|「いつ戻るか」と残り時間で選ぶ4つの選択肢

入居者がいるまま売る

借主が住んだまま売ることもできます。この場合の買い手は家賃収入を目的にした投資家が中心になる傾向があり、価格は今の家賃と、投資家が求める利回りから決まりやすくなります。

定期借家なら、残りの期間や再契約の有無が買い手の大事な判断材料になります。残りが短ければ、満了後に自分で住むつもりで買う人が現れることもあります。

どちらの買い手に対しても、次の3つがそろっていると、期限で終わる契約だと示せます。

  • 説明書面の控え
  • 賃貸借契約書
  • 満了の通知を出した記録

入居者がいるまま売るときは、買い手が投資家に寄り、価格の決まり方が変わる、と押さえておけば十分です。

入居者と合意して早めに退去してもらう

期間の途中でも、借主と話し合って合意できれば、契約を早めに終えられます。税の期限が近いときや、空室で売るほうが高く売れる見込みのときに考える方法です。

借主は予定外の引っ越しをすることになるので、引っ越し費用や、次の住まいの初期費用の一部を貸主が持つよう求められることがあります。条件は話し合いで決まります。負担する額と、空室で売ることで上がる売却価格や、税の特例で軽くなる税額を比べて判断します。

進め方の基本は、借主の事情を聞き、管理会社を通じて丁寧に相談することです。早めに話を始めるほど、借主も次の住まいを探す時間を取れ、合意に近づきます。

まとめ:定期借家は戻る人の貸し方、期間は売却の期限から決める

定期借家の価値は「期限で家が戻る」ことにあり、それも契約書とは別の説明書面と、満了前の通知が正しく済んでいるときに限られます。戻る予定がないなら売却が基本線で、戻るなら手続きを自分でも確かめたうえで貸す道を選びます。

次の一歩は、契約期間を決める前に、住まなくなる月から3,000万円特別控除の期限(3年後の年の12月31日)を書き出し、そこから売却にかかる期間を引いて満了日を置くことです。これを飛ばして転勤の期間だけで決めると、満了後に売り出しても期限に間に合わず、特例を使えない売却になるおそれがあります。

期限が出たら、管理会社には説明書面と通知を誰がいつ用意するかを、金融機関には転勤で貸すことを、それぞれ確かめておくと安心です。住み替えのトビラでは、定期借家で貸すか売るかの判断や契約期間の決め方も含めて、住み替えで悩むあなたに信頼できる情報を提供しています。