住み替えと買い替え、どちらの言葉で調べても同じような記事が出てきて、自分がやろうとしているのはどっちなのか、かえって迷ってしまう方は少なくありません。 2つの言葉はほぼ同じ意味で使われますが、大事なのは呼び方ではなく「今の家を売るかどうか」です。ここが変わると、手続きも費用も税金も変わってきます。 この記事では、住み替えのトビラが2語の違いを整理したうえで、あなたのケースで何が変わるのか、次に何を調べればよいのかまでを、順を追って解説します。
住み替えと買い替えの違いとは?結論は「ほぼ同じ意味」
住み替えと買い替えは指す範囲がわずかに違いますが、会話でも不動産の現場でも、ほぼ同じ意味で使われます。
「別物なのか、使い分けないといけないのか」と身構える必要はありません。この章では、2語がそれぞれ何を指すのか、そして現場でどう使われているのかを整理します。まずは言葉そのものの意味をそろえておきましょう。
住み替えは住まいを替えること全般(賃貸も持ち家も含む)
住み替えは、今の住まいから別の住まいへ移ること全般を指す、広い言葉です。
売るか借りるか、持ち家か賃貸かを問わず、引っ越しをともなう移動をまとめて住み替えと呼びます。賃貸から賃貸へ移るのも、賃貸から持ち家を買うのも、長く住んだ持ち家を売って賃貸へ移るのも、すべて住み替えです。今の家を売ることが必ず含まれるわけではありません。
つまり住み替えという言葉は、住まいを変えるさまざまなパターンをまとめて入れておく大きな箱のようなものです。ここに、次に説明する買い替えも含まれます。
買い替えは今の家を売って次を買うこと(売買を伴う)
買い替えは、今の家を売って新しい家を買う、という売買の入れ替えを指す言葉です。
「買う」という字が入っているとおり、次の住まいを購入することが前提になります。そして多くの場合、今の家を売ったお金を新居の購入に充てるため、売却とセットで動きます。持っている資産を、古い家から新しい家へ入れ替えるイメージです。
先ほどの「大きな箱」でいえば、住み替えという広い箱の中に、買い替えという一つのパターンが入っている関係になります。買い替えは住み替えの一種、と考えるとすっきりします。
会話でも不動産会社でも、2語は同じ意味で通じる
会話でも不動産の取引でも、住み替えと買い替えは同じ意味で使われるため、使い分けを気にする必要はありません。
不動産会社の窓口でどちらの言葉を使っても、担当者はほぼ同じ相談として受け止めてくれます。Web検索や記事でも、2語はほとんど同義に扱われています。厳密には指す範囲が違うとはいえ、日常のやりとりで困る場面はまずないと考えて差し支えありません。
ただし、言葉としては同じでも、実際に動き出すと「今の家を売るかどうか」で進め方やお金は変わってきます。次の章では、あなたのケースがどれに当たるのかを見分けていきます。
あなたはどちらに当てはまる?売る・買うで見分ける
自分がどちらに当たるかは、「今の家を売るか」と「次の住まいを買うか」という2点で決まります。
住み替えという広い箱の中で、あなたのケースがどこに当てはまるのかを整理してみましょう。呼び方そのものより、この2点をはっきりさせておくと、後の手続きやお金の見通しが立てやすくなります。まずは下の早見表で、自分の位置を確かめてください。
| 今の家を | 次の住まいを | 呼び方 |
|---|---|---|
| 売る | 買う | 買い替え(住み替えの一種) |
| 売る | 借りる(賃貸) | 住み替え(買い替えではない) |
| 売らず貸す・そのまま | 買う/借りる | 住み替え |
持ち家を売って次の家も買うケース(買い替え)
今の持ち家を売り、その資金も使って次の家を買うケースが、いわゆる買い替えです。
住み替えを考える持ち家の方は、この形に当てはまることが最も多く見られます。子どもが独立して家が広くなった、駅から遠くて生活がしづらくなった、といったきっかけで、今の家を手放して住みやすい家へ移る流れです。売って買う、という2つの動きがセットになります。
このケースで押さえておきたいのは、売却と購入という2つの取引が同時に動くという点です。取引が2本走る分、段取り・資金の準備・税金という論点がまとめて出てきます。どれも呼び方の問題ではなく、家を売ることから生まれる実際の課題です。中身は次の章で一つずつ見ていきます。
もう一つ、売却と購入のどちらを先にするか、という順番の論点もあります。先に売るか先に買うかで、資金の読みやすさや仮住まいの要否が変わります。この順番の考え方は、下の記事でくわしく整理しています。
持ち家を売って賃貸へ移る/賃貸から住み替えるケース
持ち家を売って賃貸へ移る、あるいは賃貸から次の住まいへ移るケースは、買い替えではありませんが、住み替えには含まれます。
たとえば、庭や建物の管理が負担になり、老後は設備の整った賃貸マンションへ移る方がいます。あるいは、体調や介護をきっかけに施設へ入居し、それにあわせて住まいを整理する方もいます。どちらも新しい家を「買う」わけではないので、買い替えには当たりません。
購入をともなわない分、買い替えとは論点が変わります。新居を買うためのローンや資金計画は基本的に不要です。一方で、持ち家を売る場合は、売却で利益が出たときの税金など、売ることから生まれる論点は残ります。持ち家を売らずに貸したり、そのままにして移る場合は、売却にまつわる論点そのものが起きません。自分が家を「売るのか売らないのか」で、考えるべきお金の範囲が変わってきます。
呼び方より大事なのは「売却を伴うか」|変わるお金と段取り
言葉の違いそのものより、「今の家を売却するかどうか」で、手続き・お金・段取りが変わります。
ここからは、呼び方の話から一歩進んで、実際に何が変わるのかを見ていきます。売却をともなう住み替え、つまり買い替えでは、次の3つが押さえどころになります。売る側にも増える手続きと費用、売却益にかかる税金と特例、そして売却と購入の順番と資金のつなぎ方です。順番に整理します。
売却を伴うと、手続きと費用が売る側にも増える
売却をともなう住み替え、つまり買い替えでは、家を買う側の手続きに加えて、売る側の売買契約・登記・仲介手数料といった手続きと費用が発生します。
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。呼び方が変わると手続きそのものが変わるのか、という疑問への答えは「変わる」です。ただし変わる理由は言葉ではなく、取引が何本走るかにあります。
賃貸へ移るだけなら、今の家を売る取引は起きません。手続きは新しい住まいを借りる分だけです。これに対して、売って買う買い替えでは、売る取引と買う取引が2本立てになります。買う側では、物件探し・売買契約・住宅ローンの契約・登記といった手続きが必要です。売る側では、これに加えて、売却の売買契約、買主への引き渡し、所有権を移すための登記、仲介を頼んだ不動産会社への仲介手数料などが重なります。
つまり、同じ「引っ越し」でも、売却をともなうかどうかで手続きの本数そのものが変わります。費用も同じで、賃貸へ移るだけなら発生しない売却側の諸費用が、買い替えでは上乗せされます。仲介手数料や登記費用、印紙税などがこれに当たり、売却価格によっては数十万円から百万円を超える規模になることもある、と負担のイメージを持っておくとよいでしょう(金額はあくまで目安で、物件や価格によって変わります)。実際にいくらかかるのか、費用の内訳は下の記事で確認できます。
売却で出た利益にかかる税金と、負担を抑える特例
今の家を売って利益が出た住み替え、つまり買い替えでは、その利益にかかる税金と、負担を抑える特例が関わってきます。
家を売って、買ったときより高く売れて利益(譲渡所得)が出ると、その利益に税金がかかります。マイホームの場合は、この負担を抑える特例が用意されています。代表的なのが、3,000万円の特別控除と、買換え特例です。
一つ目のマイホームを売ったときの特別控除は、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度です。所有していた期間の長さを問わず使えます。ただし、親子や夫婦など特別な関係にある人へ売った場合は対象外になるなど、いくつかの要件があります。住まなくなった家でも、住まなくなってから3年以内に売れば対象になり得ます。
出典: 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例
二つ目の買換え特例は、マイホームを売って新しいマイホームに買い換えたとき、売却益にかかる税金を将来へ繰り延べられる制度です。ここで注意したいのは、税金がなくなる(非課税になる)わけではなく、次にその家を売るときまで課税が先送りされる仕組みだという点です。売却代金が一定額以下であることや、住んでいた期間・所有していた期間などの要件があります。この特例は、一定の期限までに売却したマイホームが対象で、期限は税制改正で変わることがあるため、使う前に国税庁の最新情報を確認してください。なお、3,000万円の特別控除と買換え特例は、同時に使うことはできません。
出典: 国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例
どちらの特例が有利かは、売却益の大きさや、その後の売却予定によって変わります。適用の可否や具体的な税額は個別の事情で判断が分かれるため、迷ったときは税理士に相談すると安心です。控除の要件や計算のくわしい内容は、下の記事で整理しています。
売却と購入の順番、その間の資金のつなぎ方
売って買う買い替えでは、「売却と購入のどちらを先にするか」と「その間の資金をどうつなぐか」が要になります。
売って買う場合、売却と購入のタイミングがぴったり重なるとは限りません。そのずれをどう埋めるかで、進め方が二通りに分かれます。
先に売る「売り先行」では、家がいくらで売れたかが分かってから新居を探すため、資金の見通しを立てやすくなります。ただし、新居へ移るまでのあいだ、仮住まいが必要になることがあります。一方、先に買う「買い先行」では、じっくり次の住まいを選べる代わりに、今の家が売れるまで住宅ローンの返済が二重になるリスクを抱えます。どちらにも一長一短があり、資金の余裕や住まいの事情から選ぶことになります。
売却と購入の時期がずれる場合に備えて、資金をつなぐ手段もあります。今の家の残債と新居のローンをまとめる住み替えローンや、売却代金が入るまでの間を一時的に借りるつなぎ融資などです。使えるかどうかは収入や残債の状況によって変わるため、資金計画とあわせて早めに検討しておくと動きやすくなります。順番の決め方と資金の組み立ては、下の記事でくわしく扱っています。
呼び方の整理がついたら、次は費用の実額と、住み替え全体の流れを押さえておくと動き出しやすくなります。売却と購入がどの順で進み、いつ何をするのかという全体像は、下の記事でまとめて確認できます。
まとめ:住み替えと買い替えの違いなら、住み替えのトビラ
住み替えと買い替えは、指す範囲がわずかに違うだけで、会話でも不動産の現場でもほぼ同じ意味で使われます。使い分けを気にする必要はありません。
大事なのは呼び方ではなく、今の家を売るかどうかです。売却をともなう買い替えでは、売る側の手続きと費用が増え、売却益への税金と特例、売却と購入の順番や資金のつなぎ方といった論点が生まれます。賃貸へ移るなど売却をともなわない住み替えでは、これらの論点は変わってきます。
あなたが次の一歩を決められるよう、まずは自分が「売るのか、買うのか」を確かめることが出発点になります。税金や資金など個別の判断が必要な場面では、税理士やファイナンシャルプランナーなど専門家の力も借りながら、無理のない住み替えを進めていきましょう。
住み替えのトビラは、不動産仲介を持たない中立の立場です。『今は売らない』という選択肢も含めて、あなたにとって後悔のない判断をお手伝いします。
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