住み替えの頭金はいくら必要?自己資金をいくら残すかで決める

住み替えを考えると、頭金はいくら必要で、自己資金をどこまで手元に残すべきか迷いがちです。

頭金と自己資金がどう違うのかも曖昧なまま、不安だけが先に立つこともあります。

この記事では、売却代金との関係をふまえ、自分の頭金額と残す自己資金を判断できるように整理します。

住み替えの頭金と自己資金はどう違うのか

頭金は新居の購入代金に充てるお金で、自己資金は諸費用や予備費まで含む手元の現金全体を指します。

住み替えではこの2つを混同したまま、用意すべき金額に不安を抱える方が少なくありません。言葉の意味を切り分けたうえで、頭金はいくら必要か、売却代金を回せるか、いくら入れるべきかを順に判断していきます。

頭金と自己資金は指すものが違う

頭金は自己資金の一部であり、自己資金のほうが指す範囲は広くなります。

頭金とは、新居の購入代金のうちローンを使わずに現金で支払う部分です。物件価格から頭金を引いた金額が住宅ローンの借入額になります。

用語指すお金
頭金新居の購入代金に充てる現金
自己資金頭金+諸費用・引っ越し代・予備費(手元の現金全体)

一方の自己資金は、住み替えに必要な手元の現金の全体を指します。購入時にかかる諸費用と、引っ越しや当面の生活に備える予備費まで含みます。

住宅ローンの説明では頭金が話題の中心になりやすく、諸費用や予備費は別に語られます。そのため、必要な現金の全体像がつかみにくくなります。

この2つを同じものと考えると、頭金に回せる金額を多めに見積もってしまいがちです。先に切り分けておくと、いくら用意して、いくらを頭金に充てるかを落ち着いて決められます。

住み替えの頭金はどのお金から用意するか

住み替えの頭金は、いまの家を売って得たお金と、手元の貯蓄から用意します。

ひとつは、いまの家を売って得たお金です。多くの住み替えでは、この売却代金が頭金の中心になります。

もうひとつは、これまで貯めてきた預貯金などの手元資金です。住み替えの頭金は、この2つを組み合わせて用意するのが一般的です。

住み替えの頭金はいくら必要か

頭金は物件価格の1〜2割が一般的な目安ですが、必ずこの額を用意しなければならないわけではありません。

目安はあるものの、頭金なしや1割未満で住み替える人も実際には多くいます。一般的な目安を押さえたうえで、公的データが示す実態と、頭金なしを選ぶ場合の注意点を順に見ていきます。

頭金の目安は物件価格の1〜2割

頭金の目安は、物件価格のおよそ1〜2割とされています。

3,000万円の住まいなら、300万円から600万円ほどが一つの目安です。これは絶対の基準ではなく、住み替え後の返済を無理のない範囲に収めるための数字です。

1割という水準には理由があります。フラット35では借入額が物件価格の9割を超えると金利が上がるため、頭金を1割入れるかどうかが返済額の分かれ目になります。

出典: 融資率とは(フラット35)

頭金なしや1割未満も実際は多い

頭金が少ない、あるいは頭金なしで住み替える人は、公的データを見ても珍しくありません。

住宅ローンを使う人の実態を、フラット35の利用者調査で見てみます。2024年度の中古戸建ての場合、購入などにかかった所要資金は平均2,573万円で、借入額は平均2,208万円でした。差額の約365万円が利用者の手持ち資金にあたり、所要資金に占める割合は1割台にとどまります。

しかもフラット35では借入額の上限が物件価格の10割まで認められています。頭金を用意せずに住み替える選択も、制度のうえでは可能です。

こうして見ると、頭金は必ず2割という決まりがあるわけではありません。データが示すとおり、自分の状況に合わせて無理のない額を決めれば十分です。

出典: 2024年度フラット35利用者調査(住宅金融支援機構)

頭金なしで住み替えるデメリット

頭金なしで住み替えると、毎月の返済と審査の両面で負担が増えやすくなります。

最も大きいのは利息の負担です。頭金を入れない分だけ借入額が増えるため、返済総額はその利息分だけ膨らみます。

フラット35では融資率が9割を超えると金利が高く設定されます。頭金を1割用意できるかどうかで、適用される金利が変わる仕組みです。

審査の面でも影響があります。借入額が大きいほど毎月の返済額も増えるため、返済できるかどうかをより慎重に見られやすくなります。

出典: 融資率によって借入金利は異なりますか(フラット35)

売却代金は住み替えの頭金に回せるか

いまの家の売却代金は、残っているローンを返した後の金額を頭金に回せます。

回せるかどうか、いくら回せるかは、残債の額と売買のタイミングで決まります。残債との関係と、売り先行・買い先行による違いを整理します。

売却代金は残債を返した後の残りが頭金になる

売却代金はまず残っているローンの返済に充てられ、その残りが頭金の原資になります。

たとえば、いまの家の売却見込みが2,800万円、住宅ローンの残債が700万円のケースを考えます。売却代金からこの残債を返すと、手元には2,100万円ほどが残る計算になります。

この残りが新居の頭金や諸費用に充てられるお金です。ただし売却には仲介手数料などの費用もかかるため、実際に使える額はもう少し小さくなります。

売却額が残債を下回ると、頭金に回せるお金は残りません。差額を預貯金で補うか、ローンを使って対処する方法があります。

売り先行なら頭金に確実に回せる

家を売ってから新居を買う売り先行なら、売却代金を確実に頭金へ回せます。

売り先行は、いまの家の売却を済ませてから新居を購入する進め方です。手元に売却代金が入った状態で動けるため、いくら頭金に回せるかを確かめてから購入を決められます。

反対に、新居を先に買う買い先行では売却代金が入る前に購入の支払いが必要になります。この時期の資金を、つなぎ融資などで一時的に立て替える方法もあります。

頭金に回せる額は、いまの家の売却価格しだいで変わります。早めに売却の見込みを把握しておくと、頭金の計画が立てやすくなります。

頭金に入れる額と残す自己資金の決め方

用意できるお金のすべてを頭金に入れるのではなく、手元に残す自己資金とのバランスで決めます。

頭金を多く入れるほど借入は軽くなりますが、手元の現金は薄くなります。入れすぎを避ける理由と、残しておきたい自己資金の考え方、最終的な金額の決め方を確認します。

頭金を入れすぎると手元現金が足りなくなる

頭金にお金を入れすぎると、住み替えの後で手元の現金が足りなくなります。

住み替えには、頭金のほかにも現金が必要です。購入時の諸費用や引っ越し代、新生活が落ち着くまでの生活費は、住宅ローンではまかなえません。

用意できる資金をすべて頭金に回すと、こうした支払いに充てる現金が手元に残らなくなります。住み替えの直後に出費が重なり、家計が一気に苦しくなることもあります。

一度頭金として支払ったお金は、後から簡単には取り戻せません。借入額を抑えることと、手元に現金を残すことのどちらも大切です。

諸費用と予備費に残す自己資金の目安

手元に残す自己資金は購入時の諸費用と、当面の予備費の二つで考えます。

購入時の諸費用は、物件価格の1割前後が一つの目安です。登記費用や住宅ローンの事務手数料、火災保険料などが含まれ、これらは現金で支払う場面が多くなります。

予備費は、住み替えの後の暮らしを支えるお金です。生活費の半年分ほどを目安に、収入が途切れても慌てずに済む金額を残しておくと安心です。

この諸費用と予備費を先に確保し、残ったお金が頭金に充てられる上限になります。手元に残す金額を先に決めておくと、頭金に回せる額が自然と定まります。

頭金額は原資・目安・残す現金で決める

頭金の額は、用意できる原資、物件価格の目安、手元に残す現金の三つから決めます。

回せる原資は売却代金とローン返済後の残り、それに預貯金を合わせた金額です。そこから物件価格の1〜2割という目安を一つの基準にし、手元に残す諸費用と予備費を差し引くと、無理のない頭金額が見えてきます。

売却見込み2,800万円・残債700万円の例では、手元に残るのは2,100万円ほどです。ここから新居の諸費用と予備費を確保したうえで、頭金に充てる額を決めれば、住み替えの後も家計に余裕を持たせられます。

自己資金が少なくても住み替えはできるか

自己資金が少なくても、条件によっては住み替えはできます。

頭金や諸費用の現金が不足していても、ローンなどで補う手段があります。頼れる手段と、その前にやっておきたいことを順に見ていきます。

頭金なしでも住み替えローン等で補える

頭金が用意できない場合や残債が残る場合も、それを補うローンがあります。

頭金が用意できない場合は、物件価格の全額を借りるフルローンという選び方があります。いまの家の残債が売却代金で返しきれないときは、その残債を新しいローンに上乗せできる住み替えローンを使えます。

新居を先に買う場合は、売却代金が入るまでの資金をつなぎ融資で立て替えられます。売却前から新居のローンを組むダブルローンという方法もあり、どれも金利や審査の条件は異なります。

自己資金が少ないほど売却額の把握が先

自己資金が少ない人ほど、まずいまの家の売却額を確かめることが先になります。

手元の現金が限られていると、住み替えで頼れる原資は売却代金が中心になります。その売却代金がいくらになるかで、組めるローンや必要な頭金の額も変わってきます。

だからこそ、資金計画を立てる前に、いまの家がいくらで売れそうかを把握しておくことが欠かせません。売却の見込みがわかれば、自己資金が少なくても住み替えの計画を現実的に立てられます。

まとめ:住み替えの頭金は自己資金とのバランスで決める

住み替えの頭金は、自己資金とのバランスで決めるお金です。頭金と自己資金の違いを押さえ、目安や実態を知ったうえで、売却代金からいくら回せるかを把握するところから始まります。

大切なのは、用意できる原資をすべて頭金に入れないことです。諸費用と予備費を手元に残して頭金額を決めれば、住み替えの後も家計に余裕が残ります。自己資金が少ない場合も、ローンで補う手段があります。

頭金に回せる額は、いまの家がいくらで売れるかで変わります。まずは一括査定で売却の見込みを確かめ、必要に応じて専門家に相談しながら計画を立ててみてください。