「建物に価値がつかない、土地値ですね」と言われ、戸惑っていませんか。
いくらで売れて、どう売れば損をしないのか、迷う方は少なくありません。
この記事を読めば、自分の家を土地値で捉え直し、妥当な価格と売り方を選べるようになります。
土地値とは?建物に価値がつかなくても土地で売却できる
建物に値がつかなくても、土地の価値で住まいは売却できます。
「建物に価値がない」と言われて戸惑う前に、土地値の意味と評価のしくみ、それでも家が無価値ではない理由を順にお伝えします。
土地値とは、建物分を除いたほぼ土地だけの価格
土地値とは、建物の価値を差し引いて、ほぼ土地だけで評価した価格を指します。
不動産の価格は、土地の価格と建物の価格を合わせて決まります。築年数が進んで建物の評価がほとんど残らなくなると、価格の大半を土地が占め、全体が土地値に近づきます。古い戸建てでは、売却価格のほぼすべてを土地の評価で説明できる場合もあります。
建物は時間の経過とともに古くなり、評価が下がっていく資産です。一方で土地は使っても価値が目減りしにくいため、年数が経った家ほど価格に占める土地の割合が大きくなります。
築年数の経った戸建てで「土地値ですね」と言われるのは、建物分がほぼ計算から外れ、土地の評価が価格の中心になった状態を指します。まずは自分の家を、土地を主軸に見られていると捉え直すところから始まります。
木造は築20〜25年で建物の価値がほぼゼロになる
木造戸建ての建物価値は、築20〜25年でほぼゼロとして扱われることが多くあります。
中古戸建ての査定では、建物を新築し直すときの価格を基準に、経過年数分を差し引く方法がよく使われます。このとき税務上の耐用年数を物差しにするため、住宅の状態にかかわらず築20〜25年で建物価値をゼロとする慣行が一般的でした。
出典:国土交通省「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」
ここでいう耐用年数は、税金の計算のために定められた年数です。本来は会計上の目安ですが、土地と建物をまとめた取引事例が少ない事情から、査定の現場でも建物価値を見積もる基準として使われてきました。そのため築年数が同じなら、家の状態を問わず似た評価になりやすい傾向があります。
木造住宅の耐用年数は22年と定められ、減価償却の基準になっています。この年数をそのまま当てはめるため、築20年を超えるあたりで建物分の評価がほとんど残らない計算になります。
| 築年数(木造戸建て) | 建物価値の市場での扱い |
|---|---|
| 新築〜築10年 | 価値が残り、価格に反映されやすい |
| 築15年前後 | 評価が大きく下がり始める |
| 築20〜25年 | ほぼゼロとして扱われやすい |
| 築25年以降 | 価格の中心は土地値 |
※市場慣行による目安で、実際に住める年数とは異なります。
会計上の価値ゼロは、買い手にとっての無価値ではない
会計上の価値がゼロでも、住める家は買い手にとって無価値ではありません。
築20年を超えた家でも、リフォームして暮らす人や賃貸の借り手は実際にいます。国の検討でも、借り手がつく住宅を一律にゼロと見なすのは実態に合わないと指摘されました。
適切に手入れをした木造住宅なら、40年以上住み続けられることも珍しくありません。会計上の数字とこれから暮らせる価値は別物で、建物に値がつかなくても住まいそのものを否定されたわけではありません。
あなたの土地値はいくら?売却前に知る調べ方と4つの価格
自分の土地値は、4つの価格の違いを押さえれば、おおよその目安をつかめます。
土地の価格は1つに定まりません。取り違えると損につながるため、4種類の価格を整理してから、自分の土地値の掴み方へ進みます。
路線価は売値ではない、土地の価格には4種類ある(一物四価)
土地には4つの価格があり、税金の計算に使う路線価は売値ではありません。
ひとつの土地に4つの価格が併存することを「一物四価」と呼びます。実勢価格、公示地価、相続税路線価、固定資産税評価額の4つで、それぞれ役割が異なります。
公示地価は、国が毎年公表する土地取引の指標です。同じ性格の価格を都道府県が示す基準地価もあり、どちらも価格の基準として使われます。
相続税路線価と固定資産税評価額は、いずれも税金を計算するための価格です。課税を安定させる目的から時価より低めに設定され、売買で成立する価格とは差があります。
実際に売れるのは実勢価格で、需給によっては公示地価を上回ります。税金用の路線価や評価額をそのまま売値と見ると、見立てを誤りやすくなります。
| 価格 | だれが・何のために | 公示地価との水準 |
|---|---|---|
| 実勢価格 | 実際に売買が成立する価格 | 100%を超えることも |
| 公示地価 | 国が示す取引の指標 | 100%(基準) |
| 相続税路線価 | 相続税・贈与税の計算 | 約80% |
| 固定資産税評価額 | 固定資産税の計算 | 約70% |
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ(地価公示・地価調査)」 / 国税庁「路線価図・評価倍率表」
実勢価格と成約事例から自分の土地値の目安を掴む
自分の土地値は、近隣の成約事例と実勢価格から目安を出せます。
最も近い目安になるのは、近隣で実際に売れた土地の成約価格です。国の不動産情報ライブラリでは、地域と時期を指定して過去の取引価格を調べられます。地域ごとの相場の動きは、不動産流通機構が公表する成約データの集計でもつかめます。
出典:国土交通省「不動産情報ライブラリ(取引価格情報)」 / 東日本不動産流通機構(レインズ)「Market Watch」
似た条件の土地の単価を1㎡あたりで割り出し、自分の土地の面積を掛けると、おおよその水準が見えてきます。駅からの距離や土地の形、前面道路の幅などが近い事例ほど参考になります。
手元の課税明細から固定資産税評価額を0.7で割り戻すと、公示地価の水準を概算できます。複数の方法で出した数字を見比べると、目安の精度が上がります。
自分で調べた土地値が実際の売却額とずれる理由
自分で調べた目安は、実際の売却額とずれることが珍しくありません。
公的な価格や過去の事例は、いまの需給をそのまま映すわけではありません。買いたい人が多い地域では目安より高く、少ない地域では低く動きます。
土地の形や日当たり、隣地との関係といった個別の条件も価格を左右します。最終的には、こうした要素を踏まえた査定で目安を補正していくことになります。
土地値での売却は「売り方」で手取りが変わる|現況・古家付き土地・更地
同じ土地値でも、売り方しだいで手元に残る金額は変わります。
土地値は固定ではなく、費用を引いた手取りで考える数字です。現況のまま・古家付き・更地という3つの選択肢を、手取りと手間と期間の同じ物差しで見比べます。
現況・古家付き土地・更地、3つの売り方の違い
土地値での売却には、現況のまま・古家付き・更地の3つの売り方があります。
現況のままは、今の状態で買い手に引き渡す売り方です。古家付き土地は建物を残したまま土地として売り、更地は解体してから売り出します。
どれを選ぶかで、売主が負担する費用も売れるまでの期間も変わります。まずは3つの違いを同じ項目で並べて見比べます。
| 売り方 | 向いている場面 | 想定価格の水準 | 費用負担 | 売れるまでの期間 |
|---|---|---|---|---|
| 現況のまま | 費用をかけず早く動きたい | 標準 | 解体費なし | 中 |
| 古家付き土地 | 買い手に建物の扱いを委ねたい | やや控えめ | 解体費なし | やや長め |
| 更地 | 費用をかけて売りやすさを優先 | 高めを狙える | 解体費を負担 | 短め〜中 |
現況や古家付きは、解体費をかけずに売り出せる手軽さがあります。一方で、買い手が古い建物の扱いを気にするため、価格は控えめになりやすい傾向があります。
更地は買い手が土地として検討しやすく、売りやすさで有利です。ただし解体費を売主が先に負担するため、その分を回収できるかが判断の分かれ目になります。
解体費用と固定資産税が手取りを左右する
手取りを大きく動かすのは、解体費用と固定資産税の二つです。
木造住宅の解体費は、一般的な目安として坪あたり3〜5万円です。50坪なら150〜250万円ほどかかり、鉄骨やコンクリート造はさらに高くなります。人件費や処分費の上昇で、相場は近年やや高くなる傾向があります。
建物が建つ土地は、固定資産税の負担が軽くなる特例の対象です。200㎡以下の部分は、課税のもとになる評価額が6分の1に抑えられ、毎年の税額が下がります。
解体して更地にすると、この特例から外れて固定資産税が上がります。買い手が決まってから解体する「更地渡し」にすれば、税負担の重い期間を短く抑えられます。
スピード重視か高値重視か、自分に向く売り方の選び方
売り方は、何を優先したいかで選ぶと迷いにくくなります。
早く手放したい、解体の手間や費用を避けたいなら、現況のままか古家付きが候補です。買い手に建物の扱いを委ねられ、すぐに売り出せます。
費用をかけても手取りを高めたいなら、更地にして買い手を広げる選び方があります。自分の優先順位を一つ決めると、3つの選択肢は自然と一つか二つに絞られます。
土地値で損しないために売却前に確認したい注意点
土地値での売却では、価格を下げる三つの落とし穴を先に確かめておきます。
売り方を決めても、確認を怠ると価格が下がったり後でトラブルになったりします。境界・契約不適合責任・再建築不可の3点を、売り出す前に押さえます。
境界が未確定だと土地値が下がる|測量の要否
土地の境界がはっきりしないと、買い手が不安を感じて価格が下がりやすくなります。
境界が確定していない土地は、面積や範囲をめぐって後から争いになりかねません。買い手はその不確かさを嫌い、価格を低く見たり購入を見送ったりします。
まずは登記簿や測量図、境界標の有無を確認します。隣地との境があいまいなら、土地家屋調査士による測量で範囲を確定できます。
確定測量には費用と時間がかかるため、すべての売却で必要とは限りません。土地の価格が高い場合や隣地ともめている場合ほど、測量の効果が大きくなります。
古家付きで売るときの契約不適合責任に注意
古家付きで売ると、引き渡し後に建物の不具合で責任を問われることがあります。
売った建物に雨漏りやシロアリなどの問題が後から見つかると、売主が修補や代金の減額を求められることがあります。これを契約不適合責任といい、古い建物を残して売るときに特に気をつけたい点です。
個人どうしの売買では、責任を負う範囲や期間を契約で取り決めるのが一般的です。建物の状態を正直に伝え、書面に残しておくと、後の行き違いを防げます。
再建築不可は土地値を大きく下げる|接道の確認
建て替えができない土地は、価格が大きく下がるため最初に確認します。
建物を建てるには、幅4メートル以上の道路に土地が2メートル以上接している必要があります。これを満たさない土地は再建築不可とされ、今の建物を壊すと新築できません。
再建築不可の土地は買い手が限られるため、相場より大きく安くなりやすい傾向があります。立地や状態によりますが、通常の土地の半分前後になる例も見られます。
前面道路の幅や接する長さは、市区町村の建築指導課や道路の台帳で確認できます。隣地の一部を借りる、買い足すなどで条件を満たせる場合もあるため、早めに調べておきます。
売却前に確認したい3点
- 境界標や測量図があり、隣地との境が確定しているか
- 古い建物の不具合を把握し、契約での扱いを決めているか
- 前面道路の幅と接する長さが、建て替えの条件を満たすか
土地値は会社で割れる|複数社の査定で売却額の妥当性を確かめる
土地値は会社によって評価が割れるため、複数社の査定で妥当性を確かめます。
1社の提示額だけでは、それが妥当かどうか判断できません。査定が分かれる理由を知り、複数社を比べたうえで納得して売り出す進め方を確認します。
同じ土地でも会社によって査定額が割れる理由
同じ土地でも査定額が分かれるのは、会社ごとに持つ情報と売り方が違うからです。
査定の精度は、その会社がどれだけ近い成約事例を持っているかで変わります。地域や土地の種類に強い会社ほど、相場に近い金額を出しやすくなります。
買いたい客を多く抱える会社は、高めでも売り切れる見込みから、査定額を強気に出せます。逆に短期での成約を重んじる会社は、控えめな金額を示すことがあります。
高い査定額が、そのまま売れる金額を約束するわけではありません。なぜその額になるのかを各社に尋ね、根拠の確かさで比べることが大切です。
一括査定で複数社の土地値を比較する手順
複数社の土地値は、一括査定を使えば一度の入力でまとめて比べられます。
一括査定では、土地の所在や面積などを一度入力すると、複数の会社へまとめて依頼できます。各社の机上での概算をそろえ、有力な会社には訪問査定を頼んで精度を上げます。
提示額は、高さに加えて根拠と対応の丁寧さで見比べます。複数の土地値を並べて確かめれば、納得できる価格と会社を選んで売り出せます。
一括査定なら、土地に対応する複数の会社へまとめて依頼し、土地値を比較できます。
まとめ:土地値での売却を、納得して進めるために
土地値とは、建物の価値が薄れた家を土地として捉え直した価格です。一つに定まる数字ではなく、調べ方しだいでおおよその目安をつかめます。
同じ土地値でも、売り方や事前の確認しだいで手元に残る金額は変わります。どれが正解かではなく、自分の状況に合う売り方を選ぶことが、損をしない近道です。
妥当な価格かどうかは、一社の提示だけでは判断できません。複数社の査定で土地値を見比べ、納得できる価格と会社を選んでから売り出しましょう。住み替えのトビラの一括査定なら、まとめて依頼して比較できます。
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